だっしゅうざい

臭いを脱臭・除臭する粉末状の粉を散布するハンディサイズのペットボトル容器形のひみつ道具『だっしゅうざい』。

ドラえもん第3巻にひとコマのみ登場しました。

脱臭・除臭したいものに容器内の粉を振りかけて使用します。

肥溜めに落ちたのび太のため

「白ゆりのような女の子」回にて、のび太のパパ野比のび助の少年時代にタイムスリップしたドラえもんとのび太。

少年期のパパを探して歩いている最中に肥溜めにはまってしまい、川で汚れを落としても臭いが消えなかったことから、ドラえもんが使ったひみつ道具です。

肥溜めに落ちるのび太
顔まで全部つかるとは・・・

ドラえもん3巻「白ゆりのような女の子」P169:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

強力な脱臭効果をもつひみつ道具

だっしゅうざいを取り出し、のび太の頭から全身にかけて、大量に(顔から身体にかけて覆う程の量!)をふりかけました。

ひみつ道具のだっしゅうざい
ちょっとかけすぎでは?

ドラえもん3巻「白ゆりのような女の子」P169:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

その後、ドラえもんとのび太の間で臭いに関する会話が一切ないことから、一瞬のうちに脱臭・除臭を達成したと考えられ、だっしゅうざいの絶大な効果が認められます。

臭いに敏感な世の中

現代社会において、臭いへの感じ方ほど、属人的で千差万別、敏感でデリケートな扱いを受ける事柄はありません。

電車内での体臭、化粧臭や柔軟剤の香り、部活動の少年少女、加齢に伴う臭いの変化など、人の好みは十人十色、好き嫌いに関しても意見は千差万別に分かれることと思います。

恐るべきは、ドラえもん第3巻の初版が発売されたのは1974年であり、40数年も昔から臭いを消すアイテムとして「だっしゅうざい」というひみつ道具が登場することです。

洋の東西、今も昔もそして未来の世界でも、臭いの研究が盛んに行われているということですね。

臭いに関する理解

だっしゅうざいは脱臭機能に特化したひみつ道具です。

私たちが普段意識せず併用している消臭剤・芳香剤とは違うので注意しましょう。

  • 【芳香剤】良い香りを出す目的の薬剤(香りは上から下に行くため、高い位置に置く)
  • 【消臭剤】悪臭を分解・中和して消す目的の薬剤(低い位置に置いて使用するのが効果的)
  • 【脱臭剤】悪臭を吸着して除去する目的の薬剤(冷蔵庫や下駄箱、タンスなど、芳香剤との同時使用はNG)

ひみつ道具「だっしゅうざい」も、のび太の頭から体全体にかけて散布し、悪臭を薬剤に吸着させ除去をしていますので、現代に生きる私たちにとっても合理的で、理に適ったものとなっています。

ただ臭いを無くしたい。そのためだけに

だっしゅうざいは、ドラえもん全編にわたり一度しか登場しないレアなアイテムです。

その目的はシンプルに一つ、すなわち、悪臭を吸着して除去する一点のみに集約されます。

今も昔もそして未来も、臭いに関してはこの一点だけの機能を追求するのです。

ドラえもんのひみつ道具には様々な夢のような機能・効能のある道具が全編にわたって毎回登場し、いつもそして大人になってもハラハラドキドキやワクワク感が止まりません。

が、このひみつ道具「だっしゅうざい」は、とにかくその目的を「悪臭を吸着して除去する」ことだけに集中し、その形状やデザイン、本来の効能や効果の継続する期間などには一切触れられておらず、すべてを読者の判断に委ねるスタイルで表現されています。

臭いとは、本来的にもっとも動物的な感覚器官である嗅覚で情報を処理する事柄であり、感じ方も人それぞれの感性で異なります。

私にとっての良い香りが、必ずしもあなたにとって良い香りであるとは言えない世界といえばわかりやすいですね。

ドラえもんのひみつ道具といえども、人それぞれの感覚の領域に踏み込まないというあえて遊びの部分を残したスタンスで作品を描くことで、人それぞれが自由に感じることの楽しさ、まさにハラハラドキドキやワクワク感を表現したのかもしれません。

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