海水の一部を自由にコントロールできる「海水コントローラー」。囲いの内側の波形を変えたり海水温を上げたりと、サーフィン練習から楽しい水遊びまで自在に海をアレンジできます。ドラえもんカラー作品集1巻「海水コントローラー」として収録されたこのエピソードは、のび太がサーフィンに挑戦するも大失敗するという笑いあふれる展開が楽しい一話です。海という巨大な自然現象の一部をコントロールできるという発想は、天気・自然を操る系のひみつ道具の中でも特に大胆なアプローチを持つ道具のひとつです。
のび太と海の付き合い
スネ夫のいとこはサーフィンの名人です(毎度、この人の多才ぶりに驚かされます)。
それに感化されたのび太もサーフィンを練習するため、ドラえもんに海水コントローラーを出してもらいます。
けっこう大きな道具である ドラえもんカラー1巻「海水コントローラー」P82:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
穏やかな海、暖かい海などを形を自由にコントロールしてサーフィンを練習しますが、波に流されてのび太の部屋に海水が流れ込んでしまったのでした。
サーフィンという本来なら海辺でしかできないスポーツを、自宅の近くで練習できるようにするという発想は実用的です。しかし海水をコントロールするという行為は、一歩間違えれば大量の海水が予期しない場所に流れ込むという危険を孕んでいます。のび太の失敗はまさにその危険性が現実になった場面でした。
部屋はしばらく使えないだろう ドラえもんカラー1巻「海水コントローラー」P85:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
海を自由に操ります
海水コントローラーは大きな囲いの形をしていて、それを海水表面に乗せて使います。
囲われた内側の波形を変えたり海水の温度を変えるなど、色々と自由に遊ぶことができます。
天気を操る道具という観点では、お天気ボックスや雲よせ機のように気象を操作する道具と共通した方向性があります。ただし海水コントローラーは天気ではなく海そのものを操る点で、より直接的な自然への干渉といえます。海水浴ふうせんのように水を創り出す道具と組み合わせれば、内陸でも海の環境を作り出せるかもしれません。
サーフボードも出てきます
海水コントローラーをサーフィンモードに設定すると、どこに収納されていたのでしょう、サーフボードが出てきます。
便利な機能である ドラえもんカラー1巻「海水コントローラー」P84:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
至れり尽くせりとはまさにこのことです。
道具の使用目的に合わせて必要な付属品まで自動で提供されるという設計は、ユーザビリティを徹底的に考えた未来的な発想です。サーフィンモードに切り替えれば自動でサーフボードが出てくるなら、利用者はコントローラーだけ持っていれば海のアクティビティを楽しめます。
他の効果を考えてみる
海水コントローラーにはいくつもボタンが搭載されていますが、今回のストーリーに登場する効果は
- 波を静める
- 海水温を上げる
- サーフィンモード
- 流れる海水
の4つだけ。
他にもこんな効果があるんじゃないか?というのをドラニュー的に考えてみます。
海水を無くす
囲いの中の海水が無くなり、海底を直接歩けるようになる(水よけロープと同じ効果)
魚を集める
周辺の魚を囲いの中に集める。サメなど人に害を与える魚は来ない。
海水を凍らせる
囲いの中の海水を凍らせ、氷河のようにする
海水の上に立つ
水の上に立ち、移動できるようになる
いろいろと考えてみるだけでも楽しいですね!
海や水を制御するという観点で見ると、そくせき海つくり機のように海そのものを生み出す道具や、雨そうじ機のように水を除去する道具など、水に関するひみつ道具は非常に多様なアプローチを持っています。海水コントローラーはその中でも「すでに存在する海を操作する」というアプローチが特徴的です。海岸近くに住む人や水上スポーツを楽しむ人にとっては、非常に実用的な道具といえます。
スネ夫の多才ないとこ
スネ夫のいとこがサーフィンの名人として登場するのは、ドラえもんのコミックの中でスネ夫が裕福な家庭の子供として様々な特技や趣味を持つという設定とも一致しています。ピアノ、水泳、サーフィンなど多岐にわたる才能を持つスネ夫のいとこは、毎回のび太に対して自慢の種になっています。
スネ夫がいとこの自慢をするたびに、のび太はひみつ道具を借りてそれに対抗しようとします。このパターンはドラえもんのコミックの中でも繰り返し登場するお約束の展開で、スネ夫とのび太の関係性をよく表しています。のび太が海水コントローラーを借りてサーフィンを練習しようとしたのも、この流れを汲んだエピソードです。
自然を操る責任
海水コントローラーのように自然現象を操作できる道具は、便利さと同時に大きな責任も伴います。のび太のように不注意に使えば、部屋に海水が流れ込むという事態になります。実際のスケールで海を操作できるとしたら、その影響は個人の部屋だけにとどまらず、周囲の環境や生態系にも影響を与える可能性があります。
海水温を上げるという機能は、周辺の魚の分布に影響を与えることがあります。また波を制御することで海岸の砂浜の浸食パターンが変わることも考えられます。囲いの内側だけに効果が限定されているとはいえ、そのエリアで行った変化が外部に影響を与えないかどうかについては慎重に考える必要があります。
天気や自然を操作するひみつ道具全般に言えることですが、自然への干渉は意図しない影響を生む可能性があります。海水コントローラーを安全に使うためには、使用前に周辺環境への影響を十分に確認することが重要です。
海のレジャーを変える可能性
もし海水コントローラーが普及すれば、海のレジャーの形が大きく変わる可能性があります。波の高さや形を自在に調整できるとしたら、初心者でも安全にサーフィンを練習できる環境が整います。また、海水温を快適な温度に保つことができれば、真夏でも真冬でも快適に海水浴が楽しめます。
プロサーファーにとっては理想的な波を作り出すトレーニング環境として、初心者にとっては安全な練習場として、異なるニーズに応えられる道具といえます。スポーツ施設という観点でも、海水コントローラーを設置した専用の練習エリアが作られれば、天候に左右されない安定したトレーニング環境が実現します。
さらに海水を凍らせるという応用的な使い方ができれば、夏の海辺でスケート場を作るという逆転の発想も実現できそうです。あるいは海の上に立てる機能があれば、まったく新しいウォータースポーツが誕生するかもしれません。海水コントローラーは現状でも便利な道具ですが、その応用の可能性は無限大といえます。海という環境を手軽に制御できることで、海辺の観光地や水上レジャー施設の運営も大きく変わるでしょう。理想的な天候でなくても、コントローラー操作で最適な海の状態を作り出せるとすれば、海のアクティビティが気候や季節に左右されない常設施設として成立します。海水コントローラーは大きな道具ですが、使い方は直感的なボタン操作というシンプルさが特徴です。複雑な操作を必要とせずに海を自在に操れるという設計は、専門家だけでなく一般の人でも使いこなせるようになっています。今回のエピソードで示されたのはサーフィン練習という使い方でしたが、海釣りや水泳、シュノーケリングなど他の海レジャーにも応用できそうです。特に透明度の高い海水にする機能があれば、シュノーケリングや海底観察に理想的な環境を作り出せます。





