絵や写真に吹き付けることで、その情景の続きの様子が見られる不思議なひみつ道具『つづきスプレー』を紹介します。
つづきスプレーとは
噴霧スプレー型ひみつ道具。
大きさはみかんを一回り大きくしたサイズです。
マスクメロンの様な網目模様の丸い容器に、上部に備え付けられている丸皿状の部分を押すことにより、霧状の溶剤が対象物に吹き付けられます。
絵や写真に吹き付けることにより、吹き付けた絵や写真の続きを再現することができます。
ただし、続きの再現について法則は見かけられない点と、再現してしまうと、絵や写真を元に戻すことはできません。
絵が下手くそなのび太
絵心のないのび太は、戦艦大和が海上を悠々と進む疾走感のある絵がどうしても描けません。
「僕には無理だ―」とあきらめるのび太に、「無理とはなんだ、ちょっとやってみて諦めるなんてそれでも男か」と鼓舞をするドラえもんですが、のび太の絵を見て愕然とします。
ドラえもん5巻「つづきスプレー」P132:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
そこでドラえもんが取り出したひみつ道具が『つづきスプレー』です。
画用紙の隅に戦艦の舳先だけをなるべく詳しく描くように指示したドラえもん。
舳先だけが描かれた画用紙につづきスプレーを吹き付けると、描いた絵の続きとして戦艦の姿が現れました。
絵が動き、シーンの次の情景が現れる画期的な効果があります。
ドラえもん5巻「つづきスプレー」P133:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
つづきスプレーを使いまくれ
絵や写真の続きを見ることができる娯楽性の高いひみつ道具の登場で、のび太は自分の絵そっちのけで盛り上がります。
部屋に掛けてあった7月の風景画のカレンダーに吹きかけると秋の風景に変わります。
自分の入学式の写真に吹きかけると、お漏らしをしたのび太の写真に変わります。
近所の美術愛好家の成金(なりきん)さん宅を訪ね、名画名作のレプリカを次々と「つづきスプレー」で続きの作品に変えてしまいます。
ドラえもん5巻「つづきスプレー」P136:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
最後は誤ってママのへそくりのお札に吹き付けて、お札の絵柄を変えてしまいました。
ドラえもん5巻「つづきスプレー」P137:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
現代ではLivePhotos
現代のテクノロジーでは、iPhoneのカメラに取り入れられている技術「LivePhotos(ライブフォト)」機能がこれに似ているかもしれませんね。
ライブフォトで撮影された写真は、1秒ほどの短い動画として記録され、好きなシーンを切り取って写真に仕上げることができます。
つづきスプレーの注意点
一度スプレーを吹きかけると元に戻せない点には注意する必要があります。
コミックでのび太は、成金さんのコレクションにスプレーを吹きかけていきますが、レプリカ作品とはいえ名作コレクションを次々と変形させてしまったのです。
元に戻せないことを考えると、ややいたずらの領域を超えているようにも感じられますね。
最終的にママのへそくりのお札の肖像をつづきの絵柄に変えてしまいますが、場合によっては偽札を指摘されるリスクがありますので注意が必要です。
もしつづきスプレーが実現したら
コミックでは、絵や写真や彫刻のつづきを見る娯楽性に特化した内容で描かれたつづきスプレー。
もしも現代にこのひみつ道具があった場合、大変有益な道具であると考えます。
- 監視カメラで撮影した犯人のその後の逃走経路の予測
- 衛星写真から台風の進路の正確な予測
- 競馬や競輪、競艇等の着順予測
- 株価や為替レートの予測
など、少し考えただけでも、使いみちがわんさか出てきます。
未来の世界では「予測」という単語はすでに消滅し、「事前把握」が一般的になっているかもしれませんね。
毎日自撮りをしてつづきスプレーを吹きかけると、直近の事故やトラブルを未然に把握できるかもしれません。
ただし、把握したリスクを避けることができるかどうかまでは、つづきスプレーではお約束が難しいと思われます。