ゴキブリシーバー

周囲のゴキブリを一箇所に集めてコミュニケーションをとることができるゴキブリシーバーです。聞くだけで悪魔のようなひみつ道具ですが、その発想はドラえもんらしい共存の哲学から生まれています。

ゴキブリと協力する社会

家に出たゴキブリに怯えるのび太のママ。ドラえもんはゴキブリシーバーをつかって周辺のゴキブリを一箇所に集め、人の協力して一緒に生活しようと相談を持ちかけるのです。

大量のゴキブリたちはゴキブリカバーに入って優秀なロボットとして活躍するのですが、のび太がうっかり増やしすぎてしまったことから悲劇が起ころうとするのでした。

ゴキブリシーバー
想像したくないシーンである

ドラえもんプラス3巻「ゴキブリカバー」P187:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

ゴキブリと意思疎通

ゴキブリシーバーを使うと周囲にいるゴキブリを一箇所に集め、人の言葉でコミュニケーションをとることができます。のび太の家のゴキブリたちは意外と物分りがよく、自ら進んで人間の手助けをしてくれる存在に成長しました。

どこに住んでいるかによってもゴキブリの性格に違いが出るのかもしれません。のび太の家のゴキブリは比較的穏やかで協調性があったようですが、これが別の家のゴキブリであれば話し合いがうまくいかなかった可能性もあります。ゴキブリにも個体差や環境による性格の違いがあるという設定は、生き物への深い観察眼を感じさせます。

ゴキブリという生き物は3億年以上生きる化石とも言われています。彼らは彼らなりに食物連鎖の1つとして自然界に存在しているわけで、人が一方的に嫌っても何をしても共存していくしかないのです。それであればゴキブリシーバーを使っておたがい平和的に暮らしていくのは、案外いい案なのかもしれません。いや、生理的にやっぱり無理という人が圧倒的多数だとは思うのですが。

トモダチロボットのように友達を増やすことを目的とした道具とは違いますが、ゴキブリシーバーも異種間の共存という点では似たような発想を持っています。

人間と共存するゴキブリ

世界に1兆匹以上いるといわれるゴキブリ。3億年以上生きる化石ともいわれる彼らですが、人間文明と密接に共存してきた生き物でもあります。ゴキブリが居住空間に現れるのも、人間が生活するところに食べ物があるからです。嫌われ者というイメージが先行していますが、彼らは単純に生存本能に従って行動しているだけともいえます。

ゴキブリが意志を持ち、人の言葉を理解するという設定は非常にSF的です。ペッターが掃除機に意志を与えるように、ゴキブリシーバーは言語によるコミュニケーションを通じてゴキブリたちの協調性を引き出します。生き物を力ずくで排除するのではなく、対話による共存を模索するという発想は、のび太の世界らしい平和的なアプローチです。

実際にゴキブリが人間の言葉を理解できるなら、彼らの行動原理や生態についてもっと多くのことが明らかになるかもしれません。3億年の進化を経てきた生き物が人間と意思疎通できるとしたら、そこにはまだ私たちが知らない知性が存在するのかもしれません。ゴキブリシーバーはそういったSF的想像力を刺激してくれる道具でもあります。

ゴキブリカバーとセットで使おう

ゴキブリシーバーで集めたゴキブリたちをゴキブリカバーに入れることで、かわいい外見のロボットとして活躍させることができます。外見はかわいらしい人形に見えますが、中身は大量のゴキブリというギャップがこの道具の最大の特徴です。

ゴキブリシーバーで友好的な関係を築いてから、ゴキブリカバーでアシスタントとして活用するという流れが、この2つの道具のベストな使い方といえるでしょう。ただしゴキブリのエサを使って増やしすぎると手がつけられなくなるため、個体数の管理には十分注意が必要です。

ゴキブリシーバーは生理的な嫌悪感を持ちながらも、共存の可能性を示したユニークな道具です。バイバインで増殖するものが食べ物なのと同じように、管理できなくなった時のリスクがあるため、使いどころをよく考える必要があります。ゴキブリとの対話という非現実的な設定を笑いと共存の問いに昇華した、藤子先生らしいひみつ道具です。

ゴキブリシーバーが示す共存のテーマ

ゴキブリシーバーのエピソードは、人間と嫌われ者とされる存在の共存というテーマを含んでいます。ゴキブリたちが人間の手助けをしてくれるという展開は、種を超えた協力という温かいメッセージも込められています。

普段は嫌悪されがちな存在でも、ちゃんと向き合ってみれば案外一緒にやっていけるかもしれないという気づきは、人間関係にも通じるものがあります。誰でも第一印象で判断されてしまうことがありますが、実際に接してみると意外な一面が見えてくるということは、ゴキブリに限った話ではありません。

ドラえもんがゴキブリを排除するのではなく共存の方法を探ったように、問題に対して対話と協力で向き合う姿勢がこのエピソードの本質です。苦手つくり機で嫌いなものを増やすのとは真逆の方向性で、ゴキブリシーバーはすでに存在する苦手なものとの向き合い方を考えさせてくれます。道具としての面白さだけでなく、そういったメッセージ性もこのひみつ道具の魅力といえます。

ゴキブリシーバーの実現可能性

現実の科学の観点からゴキブリシーバーを考えてみると、非常に興味深い道具です。実際にゴキブリの感覚器官や信号伝達のメカニズムは研究されており、一部の研究ではゴキブリにセンサーを取り付けて遠隔操作する実験も行われています。

ゴキブリシーバーが実現するとしたら、それはゴキブリが発する化学信号(フェロモン)や音波を人工的に模倣して集合させる仕組みになるでしょう。実際にゴキブリは仲間を呼び集めるフェロモンを出すことが知られており、それを応用すれば特定の場所に集めることは理論的には可能かもしれません。

ただし人間の言葉でコミュニケーションをとるという部分はさすがに未来技術の領域です。ドラえもんの道具には現代科学の延長線上に見えるものが多く、ゴキブリシーバーもその一つとして見ることができます。遠い未来には実現するかもしれない技術のアイデアを、楽しいひみつ道具として描いた藤子先生の先見性は改めて驚かされるものがあります。ゴキブリシーバーは嫌われ者の扱い方を根本から問い直す道具として、コミカルでありながら深い問いを投げかける特別なひみつ道具です。

ゴキブリシーバーを使う前に知っておくこと

ゴキブリシーバーを実際に使う場合、まず重要なのは相手のゴキブリが協力的かどうかを見極めることです。長年人間と共存してきたゴキブリほど人間の意図を理解しやすいといわれていますが(コミック内の設定として)、家ごとにゴキブリの性格が異なる可能性があります。

また、呼び集めるゴキブリの数も重要です。少なすぎると十分な戦力にならず、多すぎると管理が難しくなります。ゴキブリシーバーで話し合いを行いながら、双方にとって利益になる協力関係を構築することが、この道具の正しい使い方といえます。

最終的には、ゴキブリシーバーは道具そのものよりも、それを通じてどのような関係を築くかが重要です。ドラえもんがゴキブリたちと真剣に話し合い、協力関係を提案するシーンは、異なる存在との対話の可能性を示しています。嫌いなものを排除するのではなく、理解しようとする姿勢が、このひみつ道具を機能させる本当の鍵なのかもしれません。

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