本来は存在しない部屋を作り出すナイヘヤドア。近くにある部屋と全く同じ新しい部屋が出来上がります。鍵を外せばただの壁にしか見えなくなるので、誰にも気付かれることなく自分だけの場所が確保できます。
アパートやマンションに住んでいる人ならわかりますが、隣の部屋の生活音がうるさくて仕方ないことがありますよね。そんな時にこのナイヘヤドアがあれば……という話です。
野心あふれるのびたの独立
自分だけの力でお金を工面し、アパートなどを借りて独立したい!小学生ののびたはしっかり野心を持っていたのですね。この強い願望が将来の独立へとつながるのでしょう。普段はぐうたらなのびたが、珍しく自立心を見せるエピソードとして、ドラえもんを長く読んでいるファンには嬉しい場面です。
その心意気を聞いたドラえもんは感動し、ナイヘヤドアを出します。これを使うと近くの部屋と全く同じ新しい部屋を作り出すことができるのです。さすがにアパートを借りるお金はないので、住む場所ぐらいはドラえもんが提供してあげようという優しい心意気ですね。のびたの独立心に対してドラえもんが素直に応えるこのやりとりは、二人の関係の温かさを感じさせます。
住んでみたアパートはボロく、壁が薄いので生活音がうるさくて仕方ありません。
ラジオの音が漏れるとは、そうとう壁が薄いのだろう ドラえもん15巻「ナイヘヤドア」P45:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
自分の息子が独立して家を出たことになかなか気づかないママに業を煮やしたのびたは、結局ボロアパートをあきらめ、自宅にナイヘヤドアを設置します。それでも全く気付く気配のないママにあきれかえるのびたなのでした。自立を果たしたのびたを誰も気にしないというオチは、のびたのポジションをコミカルに表現した場面です。
自分が頑張っていることを認めて欲しいのびた ドラえもん15巻「ナイヘヤドア」P45:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
自分の場所として最適
ナイヘヤドアを使い、本来は存在しない部屋を作れば、誰にも気づかれることなく自分だけの場所が確保できます。アパートやマンションで使うこともできますが、存在しないはずのドアなので、大家さんに見つかるとトラブルになるのは確実です。
大家さんに見つかると面倒なことになる ドラえもん15巻「ナイヘヤドア」P42:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
鍵をはずしておけばただの壁にしか見えなくなるので、忘れないようにしましょう。秘密の部屋を持てるという発想は、誰しも子どもの頃に一度は憧れるものです。ナイヘヤドアはその夢をひみつ道具の形で実現した道具として、読者の共感を呼ぶ存在です。
未来の世界の賃貸事情は?
ナイヘヤドアを使えば、どれだけ高級なマンションだろうと自由に新しい部屋を増設できます。家賃もかからず、好きな部屋に好きなだけ住むことができる未来の世界では、賃貸という概念が成立していないのかもしれませんね。
壁などに貼り付けてドアを開けると、そこは広い空間が広がっているわけなので、物件の広さなどは関係なく、地価の高い東京の家賃問題も解消に向かう可能性があります。一方もちろん問題もあり、ナイヘヤドアが何らかの拍子に壁から剥がれてしまった場合、中の空間もめちゃくちゃになってしまいます。
現代の住宅問題を解決する道具として考えると、ナイヘヤドアのインパクトは非常に大きいです。都市部の過密化や地方の空洞化といった課題を、既存の建物に空間を追加するという発想で解決できるとすれば、社会全体の仕組みが変わります。ドラえもんの道具を社会課題の視点で眺めると、改めてその可能性の大きさに気づかされます。
スモールライトやガリバートンネルが存在しているので、例えばポラロイドインスタントミニチュアせいぞうカメラで撮影した建物に、スモールライトで小さくなった自分が住むことも出来ます。賃貸の仕事は消滅し、全く新しい別の商売が生まれている可能性がありますね。
ナイヘヤドアだけに頼り切るのは危険ですが、上手に活用したい道具ですね。かべ紙ハウスが壁紙の絵を実際の空間として使う道具であるのに対して、ナイヘヤドアは既存の建物の壁に新たな空間を付け足す発想で、居住空間を拡張するアプローチが異なります。自分だけの秘密の空間を持つという夢を、ひみつ道具でかなえてくれる道具として、ナイヘヤドアはドラえもんの道具の中でも特に人気の高い部類に入ります。のびたの独立という微笑ましい動機から生まれたこのエピソードは、夢と現実のギャップを笑いで包んだ、ドラえもんらしい一本です。
ナイヘヤドアが持つ可能性は、住宅問題の解決だけにとどまりません。例えば収納スペースが足りない時に壁にナイヘヤドアを設置すれば、部屋の広さに関係なく収納空間を無限に拡張できます。小さなアパートでも実質的に広い生活空間を持てるということは、都市部の住環境問題への一つの回答になりえます。さらに、防音の観点から考えると、壁の向こうに新しい部屋を作ることで、隣の部屋の音を物理的に遮断できる可能性もあります。のびたが体験したボロアパートの薄い壁問題も、ナイヘヤドアで別の部屋を作れば根本的に解決できたかもしれません。
ひみつ道具の中でも居住空間に関わる道具は、生活の質に直接影響するものとして特に実用性が高いカテゴリーです。ナイヘヤドアはその中でも、場所を選ばず空間を追加できるというシンプルな発想の力強さが際立ちます。秘密の部屋というロマンと実用性を兼ね備えたこの道具は、ドラえもんのひみつ道具の中でも長く愛される道具のひとつです。
が壁紙の絵を実際の空間として使う道具であるのに対して、ナイヘヤドアは既存の建物の壁に新たな空間を付け足す発想で、居住空間を拡張するアプローチが異なります。自分だけの秘密の空間を持つという夢を、ひみつ道具でかなえてくれる道具として、ナイヘヤドアはドラえもんの道具の中でも特に人気の高い部類に入ります。のびたの独立という微笑ましい動機から生まれたこのエピソードは、夢と現実のギャップを笑いで包んだ、ドラえもんらしい一本です。
ナイヘヤドアのエピソードは、のびたが珍しく自立心を見せる場面から始まり、誰にも気づかれないというオチで終わります。自立したいというのびたの願望と、それが誰にも認識されないという現実のギャップが、笑いの中に少しの切なさを生んでいます。ドラえもんという作品がのびたのキャラクターを描く上で巧みに使う手法が、このエピソードにも色濃く表れています。ナイヘヤドアという道具はその文脈の中で、のびたの夢を実現させながら、その夢の空虚さも同時に見せてくれる道具として機能しています。秘密の部屋を持つという夢が、最終的には誰も気にしないという皮肉な現実に帰結する。それがドラえもんの短編が持つ豊かな余韻です。独立を試みたのびたが最終的に自宅の壁に秘密の部屋を作って落ち着くというオチは、家という場所の持つ居心地よさを逆説的に示してもいます。どこへ行こうとしても結局は家に戻る。のびたという主人公の本質がこのエピソードにも宿っています。ナイヘヤドアはそんなのびたの物語を支えた道具として、コミック15巻の中でも印象深い位置を占めています。秘密の部屋という普遍的な夢と、誰にも気づかれないという現実の皮肉。その対比が、このエピソードを読み返すたびに笑いと切なさをもたらします。





