場所を選ぶことなく、どこでも金魚や熱帯魚などをペットとして飼うことができるひみつ道具『ペット用魚えさ』を紹介します。
スネ夫の自慢に対抗するのび太
例によって、庭の池で飼っている魚を自慢するスネ夫。
のび太は羨ましくなりますが、普通の住宅には池なんてないし大きな水槽もありません。
あきらめムードののび太がドラえもんにその話をすると、ドラえもんは憤慨し、「うちでも魚を訓練しよう!」といいだします。
しかも水槽もいらないというではありませんか!
のび太のこの「自分も欲しい、羨ましい」と声に出して意思表明する姿勢がいいですよね。
空を飛ぶ魚たち
せっかく飼うのなら珍しい魚で、しかも無料で手に入れようと、ドラえもんが取り出したのが『ペット用魚えさ』です。
ドラえもん7巻「空とぶさかな」P38:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
まず餌をギュッと掴む事で自分のにおいを付け、海にばらまきます。
すると餌を食べた魚たちが次々に空中に浮かんできます。
ペット用魚えさを食べると、空気の中でも生きていけるようになり、しかもにおいを付けた人によくなつくという効果まであるのです。
スネ夫の悪い癖
世にも珍しい魚のペットを見たスネ夫は悔しがり、ドラえもんたちの隙をついてペット用魚えさを盗み出します。
どうしてスネ夫はこうやって影でコソコソ動くような真似をするのでしょうか。
素直に自分も分けて欲しいと一言いえば済む話なのに・・・。
外航船の船長をするおじさんに頼み、海のど真ん中でペット用魚えさをばらまいてもらったスネ夫。
それを深海魚が食べ、最終的にスネ夫の前に現れたのは、グロテスクな深海魚ばかりというオチでした。
ドラえもん7巻「空とぶさかな」P42:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
自分のことにように怒るドラえもんに感謝
いつもいじめられてばかりののび太がドラえもんに相談すると、ドラえもんはまるで自分ごとのように怒りをあらわにし、仕返しを企てます。
のび太と二人三脚で生活し、苦楽をともにする友情があるからこそ、大きな信頼関係が生まれているんでしょうね。
ドラえもん7巻「空とぶさかな」P36:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ここまで親身になってくれるドラえもんの姿を見ると、安心できます。
色々な意味で主役の魚たち
今回のポイントはこの魚たちで、普通の魚が空を泳いだりのび太に懐いている姿はとてもシュールで、この光景だけでも充分おもしろ過ぎたりします。
ドラえもん7巻「空とぶさかな」P40:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
オチとなる「海の真ん中の深海魚」は勉強になるポイントです。
ほとんどの魚が生息しているのは大陸だな。
陸も何もない海で生息しているのは深海に住んでいる深海魚ばかり。
この違いを上手に書き分けているところもさすがですね。
ちなみに描かれている深海魚も、資料に基づいてしっかりと描かれていて、いい加減なデザインの物がいないのもポイントです。
あまり例がないひみつ道具
ペット用魚えさは、道具名だけを聞くとごく普通に売ってそうな魚の餌ですよね。
実はその機能はとてもすごく、水生生物を陸で生活できるようにするどころか空中での移動までも可能にし、人間に対しても従順になるという至れり尽くせりな内容です。
動物が従順になる道具というと「桃太郎印のきびだんご」がお馴染みですが、あちらは魚の生活環境までは変化させてくれません。
効果が切れた時はどうなるのか?
ドラえもんのひみつ道具は、その大半が一定時間が経過すると効果が切れてしまいます。
ペット用魚えさの効果が切れると、それまでペットとして動いてた魚たちはどうなるのでしょうか?
水の中にいればまだ安心ですが、空中を飛んでいる時に我に返ると、地面に落下してしまう恐れがあります。
効果が切れそうになると勝手に海に戻るのか、それとも効果が切れた場所で一生を過ごすことになるのか。
いずれにしても人間本位で連れてこられている不運な境遇の魚たちなので、人が最後まで責任を持って面倒をみてやる必要がありますね。
こんなところでも、動物との接し方を学ばせてくれるドラえもんに感謝です。