法案を投入するとそれが日本全国の共通認識として広まるひみつ道具『ポータブル国会』。
要するに『もしもボックス』に似たような機能があるわけですが、大きく異なる点もあります。
のび太の独裁政治?
毎年お正月に来てくれる北海道のおばさんが、運賃(おそらく飛行機)の値上がりを理由に今年は訪問を見合わせるという連絡がありました。
お年玉を期待していたドラえもんとのび太だったのですが、『ポータブル国会』に運賃値下げの法案を通し、無事におばさんは来ることになりました。
ドラえもん15巻「ポータブル国会」P165:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ポータブル国会は自由に法案を通すことができ、それが日本全体に影響を及ぼします。
のび太は自分に都合のいい法案ばかりを通します。
- お年玉は1人1万円以上をあげる法案
- 子どもに仕事をさせてはいけない法案
- 物価が10分の1になる法案
- 漢字を変える法案(犬→太)
何でもかんでも自分の思い通りの世の中になることに気を良くしたのび太は調子に乗り、さらに都合よく物事を進めようとします。
- ゲームはかならずのび太に勝たせる法案
- のび太をバカにしたら死刑にする法案
- のび太の誕生日は国民の祝日にする法案、など
ところが無茶な法案を通しすぎるとポータブル国会は自動的に解散(=爆発)する仕組みになっていて、のび太の野望は無残にも終わりを告げたのでした。
ドラえもん15巻「ポータブル国会」P171:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
抑制機能は便利
『もしも』を叶えてくれるもしもボックスに似た機能を持つポータブル国会。
この2つの異なる点は、ポータブル国会には使用者の暴走を止めるための抑制機能(=解散・爆発)が付いていることです。
自分勝手な要望ばかりを機械が感知すると、自動的にそれ以上の使用ができなくなるんですね。
たしかに一定の効果はあるにしても、実際にのび太とドラえもんは運賃値下げや物価を下げる法案を通しているため、どの程度の法案が無茶なレベルかを判断する基準があいまいといえます。
のび太は政治家を目指す?
みんなが喜ぶ政治をして明るい日本をつくろうと決心したのび太。
日本全体に影響する力を手に入れたのび太が真っ先に思いついたのは自分のことではなく、日本国民のことでした。
ドラえもん15巻「ポータブル国会」P166:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
もとよりのび太は優しい性格として知られ、他人の幸せのためなら自己犠牲をいとわない人物です。
結果的に自分のことばかり考えてしまって失敗に終わる今回のお話ですが、根がマジメなのび太のような政治家が増えると嬉しいですね。
将来は自分で会社を興すはずだったのび太ですので、社会にいい影響を与えたいという気持ちは持っているはずです。