陸上ボート

陸上ボートは、地面に浮かぶボートです。水上にいるかのような動きをする手こぎボートで、池や川がなくても空き地や公園でボートの練習や気分を楽しめます。水のない場所でボートを操る体験ができるという、発想の面白さが際立つひみつ道具です。

空き地でボートに乗ろう

しずかちゃんと一緒に公園のボートに乗りたいのびたですが、池は危険との理由でママから反対されてしまいます。子どもを思う親心は理解できますが、のびたのような運動が苦手な子にとっては水上ボートが怖いということもあるかもしれません。そこで陸上ボートを使い空き地でボートの練習をするのびた。

陸上ボート
のんびりした時間である

出典:ドラえもんカラー2巻「陸上ボート」P145:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

次第にボートだけでは満足しなくなり、グレードアップした道具を要求し始めるのびたなのですが、こういう時はだいたい悪いことが起こるものなのです。エスカレートしていくのびたの欲求は、ドラえもんのひみつ道具の使われ方としてよく見られるパターンです。最初は控えめな道具で満足していたのに、徐々にグレードアップを求めていき、最終的に問題が起きるというのがドラえもんのお約束の展開といえます。

陸上を進むボート

陸上ボートは地面に置くと、水上にいるかのような動きをする手こぎボートです。

陸上ボート
操船の技術が必要

出典:ドラえもんカラー2巻「陸上ボート」P146:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

オールを操って動く様子は本物のボートそのものですが、周りがこの様子を見たら不思議に感じることは間違いありません。地面の上でオールを漕いでいる姿は傍目には奇妙に映りますが、乗っている本人は完全にボートを操っている感覚なのでしょう。陸上ボートは移動手段というより、ボートを楽しむための練習ツールや遊び道具として使うのが正しい活用法でしょう。空とぶじゅうたんタケコプターのように本格的な移動はできませんが、のんびりしたボート気分を地上で味わえる点が独自の魅力です。

実際のボートと同じ操船感覚で練習できるという点は、ボートを習いたい人にとってのトレーニングツールとしても価値があります。水上でボートを操る前に陸上ボートで動きを練習しておけば、実際のボートに乗ったときにスムーズに操作できるようになるかもしれません。プールや川がない地域に住む人でも、陸上ボートがあれば本格的なボート練習ができるわけです。水上スポーツへの入口として、陸上ボートは非常に有用なトレーニング道具になり得ます。

溺れる心配ありません

あくまでも陸上ボートが堅い地面を水面のように進むだけで、実際には地面なのです。仮にボートから落下してしまったとしてもドンブラ粉どんぶらガスのように沈んでしまう恐れもありません。のびたのように運動神経がない人でも安心してボートの練習ができるというわけなのです。

水に対する恐怖心がある人や、泳げない人にとって水上での活動は大きなストレスになります。陸上ボートなら転落しても地面の上に落ちるだけなので、心理的な安心感が全く違います。特に子どもへのボート体験の提供として考えると、陸上ボートは安全性の面で従来のボート体験を大きく超えています。保護者としても安心して子どもに体験させられるでしょう。

また、高齢者や障害を持つ方でも、陸上ボートなら水の危険性を気にせずに乗り物を操る体験ができます。ボートを漕ぐという動作は上半身の運動になりますし、リハビリや体力維持のためのツールとしても活用できるかもしれません。介護施設などでレクリエーションとして陸上ボートを楽しむという場面も想像できます。乗り物を操るという行為は手先の巧緻性や集中力の維持にも効果がありますし、ボートを漕ぐ動作が上半身の筋力を使うという点でリハビリの補助にもなり得ます。水に入れない状況でも水上スポーツに近い体験ができる陸上ボートは、適応できる利用者の幅が広い道具といえます。

用途に合わせて使い分けたいシリーズ

地面を進む道具には他にも陸上モーターボートや陸上せん水かんもあります。名前を見たら役割はなんとなくわかるでしょう。陸上ボートシリーズはそれぞれの特性を活かした使い方があり、状況に応じて選び分けることが大切です。

のんびりした時間を過ごしたい人はボート、素早く移動したい人はモーターボート、地中を隠れて進みたい・かつ攻撃したい人は潜水艦を使うといいですね。同じ陸上シリーズでも、手こぎボートはレジャー感、モーターボートはスピード感、潜水艦はステルス感と、全く異なる体験が得られるラインナップになっています。陸上ボートをただの移動ではなく、もしもボックスで設定した異世界の探索手段として使うという発想もあります。また寝ぶくろで快適に眠りながら陸上ボートが自動で進む仕組みがあれば、究極ののんびり移動が実現するかもしれません。水が怖い人や泳げない人でも水上ボートの感覚をリスクなく体験できる陸上ボートは、安全性という点で非常に優れた道具といえるでしょう。ボートというシンプルな乗り物を陸上に持ち込むというアイデアは、一見するとおかしく見えますが、使い方と楽しみ方次第で大きな価値を生み出すひみつ道具の好例です。

もし現実にあったら

陸上ボートが現実世界に存在したとすれば、水上スポーツの普及に大きく貢献するでしょう。日本では海や川、湖へのアクセスが難しい内陸部に住む人も多く、ボートや水上スキーを楽しもうとすれば遠出が必要になります。しかし陸上ボートがあれば、近くの公園や空き地でボートを漕ぐ練習ができます。ボートの技術を磨きたいオリンピック選手の練習ツールとしても有用で、雨天や冬場など水上での練習が難しい時期でも継続してトレーニングできます。また、映画やドラマの撮影現場でも活躍できそうです。本物の川や湖で撮影するとなると様々な許可が必要になりますが、陸上ボートを使えばスタジオのブルーバック前でも本格的なボートシーンを撮影できます。エンターテインメント産業での活用も大いに期待できる道具です。観光業への応用も面白い可能性があります。水辺のない内陸の観光地でも、陸上ボートを使ったボート体験ツアーを提供することで、新たな観光コンテンツを生み出せます。子ども連れの家族が安全にボート体験を楽しめる場所として人気スポットになるかもしれません。また、チームビルディングの研修プログラムとして、陸上ボートで協力して漕ぐ体験を取り入れる企業も出てくるでしょう。水の危険がない分、参加者全員が安心して楽しめるアクティビティとして重宝されそうです。陸上ボートはその見た目のユニークさ自体が話題を呼び、SNSでシェアされるフォトジェニックな道具としても注目を集めるに違いありません。地面の上でオールを漕いでいる様子は映像として非常にインパクトがあり、バズるコンテンツとして多くの人の目に触れることになるでしょう。そういった話題性もまた、陸上ボートの普及を後押しする要因になるかもしれません。のびたが最初にしずかちゃんと乗りたかったというシンプルな動機から始まった陸上ボートの物語は、水上ボートへの憧れを安全に叶えるという優しい発想に満ちています。ひみつ道具の中でも特に身近な問題を解決するためのもので、子どもの気持ちに寄り添ったドラえもんらしい道具だといえます。水が使えない状況でもボートを楽しみたいという欲求に応えたという点で、陸上ボートはドラえもんが持つ「できないことを叶える」という本質をシンプルに体現しています。

おすすめの記事