自宅にいながら好きなタイミングで初日の出が見られる道具、それが「初日の出セット」です。コントローラー操作で太陽を自由に動かせるという、現実ではあり得ない体験を可能にします。お正月に限らず毎朝使えば、365日初日の出の感動を味わえるという、なかなか贅沢な道具です。コミックプラス6巻「初日の出セット」に収録されたこのエピソードは、ひみつ道具を管理するドラえもんの姿が珍しく描かれる一編でもあります。
誰でもお手軽初日の出
のび太が部屋に入ると、暖かい丸い物体が中に浮かんでいました。実はこれ、ドラえもんが初日の出セットをメンテナンスしていたのです。好きな時に初日の出が見られることを楽しんでいたのび太ですが、ジャイアンに取り上げられてしまいます。
ところが、動かしすぎて太陽が故障し、真夜中にもかかわらず太陽が昇って昼夜逆転生活になってしまったジャイアンなのでした。動かしすぎた結果として故障するという展開は、ジャイアンが大雑把に扱ったことが原因であることが想像できます。精密な道具をガサツに操作すれば当然トラブルが起きます。
3点セット ドラえもんプラス6巻「初日の出セット」P112:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
このお話はコミックプラス6巻に収録されています。初日の出という日本の文化的なイベントをひみつ道具で再現するという発想が、このエピソードの面白さの核心です。毎年元日に寒い中を外に出て日の出を待つのが初日の出の醍醐味ですが、自宅でぬくぬくしながら好きな時に見られるとなれば、その意味がずいぶん変わってきます。
初日の出ジオラマという別の初日の出関連道具もあり、初日の出ジオラマはぐ〜たらお正月セットに含まれているため、正月気分をより手軽に楽しめる組み合わせになっています。
ラジコン操作の初日の出
初日の出セットは
- 太陽
- コントローラー
- 夜ガス
の3点セットです。
夜ガスで顔の周りを覆うとガスの中だけ夜になり、コントローラーで太陽を操作して初日の出が見られる仕組みです。太陽は地面に潜ることもできます。顔の周りだけ夜にできるというのが巧妙で、部屋全体を暗くしなくても初日の出の雰囲気を演出できるのが便利なところです。
天気を操る道具という観点では、お天気ボックスや雲よせ機といった道具とも共通した方向性があります。空や気象を人間がコントロールするという発想は、ドラえもんのひみつ道具の中でも特徴的なカテゴリーのひとつです。太陽そのものをラジコンで操作できるというのは、気象系の道具の中でも特に大胆な発想といえます。
太陽はお餅が焼けるほど熱い
ラジコンといってあなどることなかれ。
太陽はお餅を乗せておくと焼けるほどの熱さがあるため、素手で触ると危険です。縮小版とはいえ本物の太陽のエネルギーを持っているわけですから、扱いには注意が必要な代物です。
太陽に飯が乗っている ドラえもんプラス6巻「初日の出セット」P112:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
これをストーブだと勘違いしてお餅を焼いてしまうのび太の発想力に脱帽です。太陽の上に直接餅を置いて焼くというのは、現実では絶対に不可能な行為ですが、道具のスケールが小さくなっているためにそういった使い方が生まれてしまいます。メンテナンスの途中でこんな使われ方をされたドラえもんは驚いたことでしょう。
同じく光や温度を扱う道具として人工太陽やラジコン太陽もありますが、初日の出セットは「初日の出を楽しむ」という明確な目的を持って設計されているのが特徴です。汎用的な光源を作るのではなく、特定の体験に特化した道具というのがドラえもんの道具の面白さのひとつです。
メンテナンスが必要
太陽は定期的にペンキを塗る必要があります。
ドラえもんは自分の道具をたまにメンテナンスしますが、この時もペンキを塗って部屋で乾かしていた所、のび太に見つかってしまったのでした。
簡単なメンテナンスならお手の物 ドラえもんプラス6巻「初日の出セット」P112:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ドラえもんが自分の道具のメンテナンスをしているシーンは珍しく、ひみつ道具にも定期的なケアが必要なのだとわかります。太陽のペンキが剥げると故障するというのも、どこかユーモラスな設定です。太陽という天体にペンキを塗るという発想は、ドラえもんの世界らしいシュールなユーモアが詰まっています。
道具のメンテナンスという観点で見ると、他のひみつ道具もおそらく定期的なケアが必要なのでしょう。四次元ポケットの中にあるたくさんの道具を全部メンテナンスするのは大変な作業だと想像できます。ドラえもんがそういった管理を一手に引き受けているのも、のび太との共同生活の陰の苦労といえるかもしれません。
毎朝使えば毎日が元日
初日の出というのは元日の朝に見るものというイメージがありますが、初日の出セットがあれば毎朝初日の出の感動を味わえます。日の出を見ることには、一日の始まりに対する気持ちの切り替え効果や、清々しい気分になれるという心理的な効果もあると言われています。
そういった効果を毎日得られるとしたら、生活の質がかなり上がりそうです。天気や季節に関係なく、部屋の中で確実に初日の出が見られるというのは、現実世界で初日の出を見に行く際の寒さや混雑を考えると、かなり実用的な道具といえます。
天気を操作する道具という点では、台風の卵やさすと雨がふるかさも同じカテゴリーに属しており、雨や嵐を自在に発生させる道具と並べて考えると、ドラえもんの気象操作系道具の幅広さがよくわかります。気象系の道具の中でも、初日の出セットは特に生活に密着した楽しみ方ができる道具です。
初日の出の縁起という文化的背景
初日の出には縁起が良いという日本の伝統的な文化があります。新年の始まりに昇る太陽を拝むことで一年の無事を祈るという習慣は、古くから受け継がれてきました。初日の出セットを使えばその縁起を毎日享受できるわけですが、毎日見ることで特別感が薄れてしまわないかという懸念もあります。
元日の初日の出が特別に感じられるのは、1年に1度という稀少性があるからでもあります。初日の出セットで毎日見るとなれば、それはもはや「初日の出」ではなく「毎朝の太陽」になってしまうかもしれません。特別な日のために取っておくか、日常的な習慣として使うかは、その人の価値観次第です。
また、本物の初日の出には山の稜線から昇る様子や、雲の合間から差し込む光など、自然の偶然が生み出す美しさがあります。ラジコンで操作する太陽では、そういった偶然の美しさは再現できないでしょう。本物との違いを理解した上で、便利な代替として活用するという視点が大切です。
太陽の維持コストについて
初日の出セットの太陽には定期的なメンテナンスが必要です。ペンキを塗り直さないと故障してしまうということは、それなりに維持コストがかかるということです。
ドラえもんが日頃から道具のメンテナンスをしているということは、四次元ポケットの道具全体に対してそういった管理が必要なのかもしれません。数百種類とも言われるひみつ道具を全部メンテナンスするとなると、かなりの手間がかかります。ドラえもんの働きぶりは、のび太にとって当たり前のように感じられているかもしれませんが、その裏では相当な努力があると考えられます。
太陽のペンキを塗るというメンテナンス作業の具体的な内容も気になります。どんな種類のペンキを使い、どれくらいの頻度で塗り直すのでしょうか。少なくとも部屋で乾かせる程度のサイズの太陽だということは、手に持てる大きさということです。それでいてお餅が焼けるほどの熱を持っているというのは、エネルギー密度が非常に高い素材で作られているのでしょう。
別の方法で初日の出を楽しむ
もっとお手軽に初日の出を楽しみたい人は、ぐ〜たらお正月セットに含まれている初日の出ジオラマもおすすめです。
双子岩の奥から登る太陽を見てすがすがしい気持ちになれるのです。
初日の出だけと言わず、毎朝使ってもいいかもしれませんね。どちらの道具を選ぶかは好みの問題ですが、よりダイナミックな体験をしたいなら初日の出セット、手軽に雰囲気を楽しみたいなら初日の出ジオラマというふうに使い分けができそうです。虫の声の素と組み合わせれば、季節感のある演出が楽しめますし、インスタントツリーで自然の風景を作り上げた中で初日の出を見るという使い方も考えられます。






