ついた嘘が本当のことになる『ソノウソホント』。
自分の思い通りのことを実現できる、まさに夢のようなひみつ道具ですね。
パパ、石を割って!
のび太が突然パパに「この石をげんこつでわってほしいの」と言いだします。
パパは「じょうだんでしょ。」とびっくりして、その場を逃げ出してしまいました。
ドラえもん4巻「ソノウソホント」P21:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
不思議に思ったドラえもんがのび太に理由を聞くと、どうやら友だち同士の会話の中でお父さんの自慢話になり、そこで出たジャイアンの話が原因とのこと。
「おやじはこれぐらいの(大きな)板ならかた手でバリンとわっちゃうぞ。」とジャイアンが自慢したことから始まり、ジャイアンに挑発されたのび太が「パパはゲンコツで石を割れる」とウソをついてしまったようです。
そこでドラえもんは、言ったウソが本当のことになる『ソノウソホント』というくちばしのようなひみつ道具を取り出しました。
パパはスーパーダン
ソノウソホントを使うと、どんなウソでも実現してしまう効果があります。
ドラえもんがソノウソホントを口に装着し「のび太のはなに花がさく」とウソを言えば本当に鼻に花が咲き、「今のはウソ」と言えば元に戻ります。
パパが今から石を割るとみんなの前でウソをつけば、パパがふらふらとやってきて石をゲンコツで叩き割ってしまいました。
その様子を聞いたジャイアンの親父がのび太のパパに相撲で勝負を挑みますが、ソノウソホントの力で相撲でも圧勝してしまいます。
運動神経のないのび太のパパの普段の様子から考えたら、ありえないことですね。
調子に乗ったのび太はパパが「スーパーダンなんだ。」とウソをついてしまいます。
ドラえもん4巻「ソノウソホント」P28:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
スッと浮かび上がったパパは空を自由に飛び回りますが、当の本人(パパ)にとっては迷惑きわまりないことですよね。
極めつけは、調子に乗ったのび太の行き過ぎた行為により、望遠鏡と自転車まで買わされてしまったパパ。
ソノウソホントを使い、せめて最後はパパにとって嬉しいウソの1つでもついて欲しいところでしたが、そこまではコミックでは描かれていませんでした。
災難だらけのパパ
自分の体を勝手に乗っ取られてしまったパパは、今回は本当にいい迷惑だったことでしょう。
石を割った時には自分でも驚いた表情をしていますが、相撲をしたり、スーパーダンになって空を飛ぶ時のパパの様子は、それはそれはかわいそうで見ていられません。
ドラえもん4巻「ソノウソホント」P27:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
挙句の果てには大金をはたいて望遠鏡と自転車まで買わされてしまう始末。
いくらのび太がかわいい息子だとしても、これは少し度を過ぎた行為だったかもしれません。
似ている道具が多い
ソノウソホントに似ているひみつ道具として、例えばコミック3巻に登場した『うそつ機』が挙げられます。
これは効果も見た目もソノウソホントとほとんど同じで、見分けるのはかなり難しいです。
どうして瓜二つのひみつ道具が2回も登場しているかは不明です。
それ以外でも『ウソ800(エイト・オー・オー)』『もしもボックス』『あとからホントスピーカー』も似たような効果がありますね。
よく考えて使いたいひみつ道具
ソノウソホントはドラえもんのひみつ道具の中でも危険な道具の1つに入るのではないでしょうか。
藤子先生がコミカルに描き上げているので危険な印象は薄まっていますが、それはあくまでも子どもののび太が使うからこそ平和なんです。
よくない思想を持っていたり、おかしな考えをする人がソノウソホントを手に入れてしまうと、世の中が大混乱に陥ります。
いや、普段は平和的な人でさえ、自分の思い通りのことが実現する道具が存在すれば、人が変わったかのように狂ってソノウソホントを探し求めるかもしれません。
ひょっとすると、存在すること自体が問題視されるひみつ道具かもしれませんね。