二人の心と体が入れ替わってしまうというお話は、古くは映画「転校生」、最近では「君の名は」が有名です。
もちろんドラえもんでもそういった道具はいくつかあります。
今回はそんな『トッカエバー』というひみつ道具を紹介します。
トッカエバー
棒状の道具で、お互いが棒の端を持つことで精神を入れ替えることが出来ます。
入れ替わると精神だけが別人になってしまいますが見た目は変わらないので、事情を知らなければ他人からはまったく気づかれません。
しかし記憶や才能などは入れ替わる前の人間のままなので、別人になったからといって急に特殊な力を発揮できたりというわけではありません。
本編での使われ方
ドラえもんとのび太が夢中になっているスーパーアイドル・丸井マリちゃん。
そのマリちゃんがなんと野比家の近所で撮影をやっているといいます。
喜んで見に行く二人でしたが、カメラの故障で修理をしているうちに肝心のマリちゃんが行方不明になったといいます。
ひょんな事から隠れていた丸井マリと対面したドラえもんとのび太が事情を聞くと、あまりの忙しさに何もかもが嫌になって逃げだしてしまったとか。
ドラえもん8巻「ぼく、マリちゃんだよ」P160:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
休ませてあげたいという気持ちと、一度でいいからアイドルになってみたいという考えがあったドラえもん達は『トッカエバー』でマリちゃんとのび太を入れ替えました。
アイドルとしてキャーキャー注目を浴びる一方、その大変さを身をもって感じたのび太なのでした。
アイドルはつらいよ
アイドルは華やかではありますが、人気が出れば仕事も多くなり、沢山の仕事をこなすために学校を休んだり睡眠時間を削らなければなりません。
マリちゃんもそんな忙しいアイドルのご多分に漏れず、鬼よりもおっかないステージママな母親に四六時中くっつかれて過酷な労働を強いられていました。
ドラえもん8巻「ぼく、マリちゃんだよ」P166:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
そんなマリちゃんの身体に入ったのび太。
歌を歌えば下手くそだし、インタビューで好きな食べ物を『しるかけごはん』と言ったり、趣味を『テレビとひるねとマンガ』と答えたりと、アイドルとしてあまりに自由過ぎる発言を繰り返し、母親に怒られます。
実際のアイドルもこれに似たような感じなんでしょうね。
アイドルは自分のためではなく、あくまでもファンあっての存在ですので、当然ながらファンに気に入られるような言動を取る必要があります。
ドラえもん8巻「ぼく、マリちゃんだよ」P169:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
本当の自分を押し殺し、言いたいことも言えず、やりたいこともできない生活は本当に大変なのでしょうね。
悪用は厳禁!
コミック中ではトッカエバーの端をしっかり握っていますが、身体と身体に触れるだけでもお互いが入れ替わってしまいます。
もしトッカエバーが現代にあったとしても、意中の異性の身体に勝手に触れて身体を入れ替えるなんて悪用は絶対に駄目ですよ。
どれくらいの期間入れ替わったままになるか解説がありませんが、悪意を持った人が使うとどんな悪事にも利用されてしまいますからね。
トッカエバーに似た道具
ドラえもんでは、人間同士と精神を入れ替える道具は複数存在しています。
まず似たような道具として挙げられるのはコミックス15巻に登場する『入れ替えロープ』があります。
端と端をお互いが持つと精神と身体が入れ替わります。
コミックス42巻『男女入れかえ物語』と、38巻『スネ夫の無敵砲台』、ドラえもんプラス5巻『45年後・・・』にも入れ替えロープは登場しています。
あまり知名度はありませんが、実は陰ながら頑張ってる道具なんですね。
さらに、ドラえもんプラス6巻に登場する『みがわりバー』もトッカエバーとほとんど同じ効果がある道具として使われています。
ドラえもんプラスはもともと単行本に未収録の作品を集めたもの。
効果が似ていたり、ボツ作品だったり、掲載されなかった理由はいろいろありますが、そういう意味で本編と似た効果のある道具が登場しても不思議ではないですね。