『Yロウ(ワイロウ)』を差し出すと、無条件で相手が全てを受け入れてくれる不思議な効果があります。
『賄賂(わいろ)』にかけた言葉遊びのひみつ道具ですが、受け取った本人もいまいち使いみちに困ってしまうというデメリットもあります。
選抜チームに選ばれたくて
ジャイアンズ(ジャイアンが率いる野球チーム)の成績がパッとしない中、これまで全員野球で取り組んでいた体制を変え、二軍制度を導入すると名言したジャイアン。
ドラえもん11巻「Yロウ作戦」P111:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
小学生の野球チームなのにリーグや成績まで管理しているとは、のび太の街の野球熱はかなり高いですね。
成績順で選ばれるので、当然ながらのび太は二軍落ちがほぼ決定です。
自らの力で一軍を勝ち取るべくドラえもんと猛特訓をしますが、あまりの下手くそぶりにドラえもんまで見放してしまう始末。
そこで登場した最後の切り札が『Yロウ(ワイロウ)』でした。
これを受け取った人は無条件で頼み事を受け入れてくれるようになりますが、Yロウ(ワイロウ)の具体的な使いみちがあるわけでもないので、受け取った人も渡した人も困ってしまうんですね。
ドラえもん11巻「Yロウ作戦」P114:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
一度承認した頼み事は何があっても実行しなければならない成約もあり、Yロウ(ワイロウ)は使い所が難しい道具の1つです。
Yロウ(ワイロウ)=賄賂
Yロウ(ワイロウ)がドラえもんに登場した当時、政治業界の賄賂事件が世間を賑わせていました。
それをもじったひみつ道具なのですが、藤子先生もそこを切り取ってくるとはなかなかズバッとした性格をしていますね。
Yロウ(ワイロウ)は非常にいいもの?
Yロウ(ワイロウ)を受け取った人はみんな涙を流して喜んでいます。
ドラえもん11巻「Yロウ作戦」P117:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
おそらくYロウに仕組まれているコンピューターが相手に働きかけ、そのように錯覚を起こさせているのでしょう。
「こんないいものを受け取っていいのか!?」というありがたい気持ちが芽生える代わりに、他人の頼み事を何でも受け入れてしまうわけですね。
周りから見たら理不尽な要求でも飲んでしまうのがYロウの効果で、ジャイアンは周りから糾弾される結果となってしまいました。
ドラえもん11巻「Yロウ作戦」P117:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
のび太の良心も働かず
なんとしても野球の試合に出たいのび太は、結局さいごの最後までYロウに頼りきって試合に出ることになりました。
途中ドラえもんが「こんなことして良心がとがめないか」という最後通告とも取れる助言をのび太に出すのですが、のび太はこれをスルー。
いつもは真面目キャラののび太ですが、この時ばかりは良心よりも自分の願望を優先させることにしました。
ドラえもん11巻「Yロウ作戦」P118:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
実際の賄賂もこういうところなんでしょうか。
良心・常識よりも自分の願望を優先したいがために、見返りを受け取って他人の理不尽な要望を受け入れる。
人間とは得てしてこういう存在なのかもしれません。
のび太の今回の行動を通して、人間の本質を学ぶいい機会かもしれませんね。