ヨンダラ首わ

首に着けると名前を呼ばれた時に体が自動的にその方向に引っ張られてしまう不思議な効果があるのが「ヨンダラ首わ」です。犬や猫などペットに使うと便利ですが、人間も装着することが可能です。

ペットを呼んでもなかなか帰ってこない、散歩に行ったきり戻らないなど、ペットを飼っている人には共通の悩みがあります。そんな時に、このヨンダラ首わがあれば名前を呼ぶだけで飼い主のもとに戻ってくるわけです。

しずかちゃんと首輪

しずかちゃんの飼い犬「ペロ」は子犬なので遊びたい盛り。すぐ家を飛び出し、呼んでもなかなか帰ってきません。そこでドラえもんは「ヨンダラ首わ」をしずかちゃんにプレゼントします。ペロにヨンダラ首わを着けて名前を呼ぶと、ペロがどこにいても首輪の力ですぐそこに連れてきてくれるのです。

ヨンダラ首わで呼ばれるペロ
犬にとっても不思議な体験である

ドラえもん14巻「ヨンダラ首わ」P46:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

ところが卑しいスネ夫がしずかちゃんへのプレゼントとしてペロからヨンダラ首わを取り上げてしまい、しずかちゃんが首わを着けたからさあ大変! 至るところで名前を呼ばれるしずかちゃんは右へ左で体が引っ張られてしまいます。最後には、合唱コンクールの課題曲で「しずかな子は半の森のかげから」という歌詞に首わが反応してしまい、テレビの前まで引っ張られてしまうしずかちゃんなのでした。

ヨンダラ首わで大勢に呼ばれるしずかちゃん
呼ばれたらとにかく体が反応してしまう

ドラえもん14巻「ヨンダラ首わ」P50:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

色々と問題ありの首輪

名前を呼ぶと勝手に体が引っ張られるというのは画期的な機能ですが、よく考えると色々と問題ありなひみつ道具です。実際にヒトが装着してしまった場合どうなるかを想像すると、かなり厄介な状況が生まれることがわかります。

同姓同名の場合

同じ名前の人がいる場合、ヨンダラ首わはそれを区別することができません。名前を呼ばれたらとにかく反応してしまいます。同じ職場や学校に同姓同名の人がいると、お互いのタイミングでお互いに引っ張り合う状況が生まれかねません。また「しずか」のように比較的よくある名前だと、同じクラスに複数いることもありえます。そうなると授業中でもひっきりなしに体が動いてしまって授業どころではなくなります。

引っ張られる時の安全性

首わに引っ張られている時はほとんど体の自由がききません。ひょっとすると道路のど真ん中を引っ張られてしまう可能性もあり、安全性に大きな疑問が残ります。ペットに使う場合も、川沿いや崖のそばで名前を呼ぶと、そのまま水の中や崖下に引っ張られてしまう危険があります。ヨンダラ首わを使う際は、周囲の地形や障害物をあらかじめ確認しておくことが必須です。

耳障りのいい名前には注意

コミックでもあったように、「しずか」という言葉が含まれる曲や文章が流れると、それにも反応してしまうのが厄介なところです。要するに名前の一部が含まれる言葉にも反応する可能性があり、日常生活の中で意図せず引っ張られる場面が出てくるかもしれません。自分の名前がよく使われる一般語に含まれている人は特に注意が必要です。

使い道はペット限定か

人間に使うと倫理的に何かと問題になりそうなヨンダラ首わです。見た目はキレイなネックレスなのでアクセサリーとして使う分にはいいのでしょうが、人を呼ぶ目的でヨンダラ首わを使うのは考えものです。呼ぶ側は便利でも、呼ばれる側には本人の意志と関係なく体が動かされるわけですから、人権的に問題があるとも言えます。

となると犬や猫限定で使うことになりそうです。例えばリード(散歩ひも)なしでペットを散歩させる場合、ヨンダラ首わを着けて周りへの迷惑を最小限に抑えることができそうです。普段は自由に走り回らせておいて、危ない場面でだけ名前を呼ぶ、というメリハリのある使い方が現実的でしょう。

もしも現実にあったとしたら

もしヨンダラ首わが現実に存在したとすれば、ペット産業に革命をもたらすアイテムになるかもしれません。首輪に内蔵した発信機で位置を把握するGPS首輪はすでに存在しますが、ヨンダラ首わはGPSで居場所を知るだけでなく、呼べばその場に引き寄せることまでできてしまいます。

家の外に出てしまった猫を呼び戻す、ドッグランで遊んでいる犬を呼ぶ、散歩中に他の犬と喧嘩しそうになった時に即座に引き寄せる、といった場面で絶大な効果を発揮します。ただし、呼ぶ人の声を認識する仕組みになっているのか、それとも誰でも名前を呼べば反応するのかは不明です。コミックを見る限り、しずかちゃんの歌にも反応してしまっていることから、音として認識している可能性が高く、飼い主以外の声にも反応してしまいそうです。

その場合、見知らぬ人に名前を呼ばれてペットが引き寄せられてしまうリスクもあり、使い方には工夫が必要になりますね。

引っ張られる力はどのくらいか

ヨンダラ首わに引っ張られる力がどれほどのものかも気になるところです。コミックの中でしずかちゃんが引っ張られるシーンを見ると、かなりの勢いで体が動かされている様子です。体格の大きな大人でも同様に引っ張られるとすれば、首に大きな負担がかかる恐れもあります。ペットに使う場合、小型犬や子猫などに着けて名前を呼ぶと、勢いよく引っ張られてペットが怪我をしてしまう可能性も否定できません。

引っ張られる力が体重に応じて自動調整されるのか、一定の力で引っ張るのか。このあたりの仕様がわかると、より安全な使い方ができそうです。

似た道具との比較

はいどうたづなが動物を乗り物として使う道具であるのに対して、ヨンダラ首わは動物を呼び寄せるための道具です。とりよせバッグが物を遠くから引き寄せる道具であるのと発想が似ていますが、ヨンダラ首わは生き物に装着することで機能する点が異なります。ヨンダラ首わマジックハンドを組み合わせれば、遠くにいるペットを呼び寄せてそのまま保護するという使い方もできそうです。しゅん間リターンメダルがボタンを押すと特定の場所に戻れる道具であるのに対して、ヨンダラ首わは名前を呼ぶ「声」がトリガーになるという点で、より直感的な操作が可能な道具といえます。

このひみつ道具が印象に残る理由

このひみつ道具の面白さは、ただ便利なだけではなく、使った瞬間に日常の見え方が少し変わるところにあります。ドラえもんの道具は、困りごとを一発で解決してくれるように見えて、実際には使う人の性格や判断がそのまま結果に出ます。のび太が使えば楽をしたい気持ちが前に出ますし、ドラえもんが使えば助けるための道具になります。同じ道具でも、誰がどんな目的で使うかによって印象が変わるのです。

また、名前や見た目が身近であるほど、効果とのギャップが強くなります。普通ならありえないことが、手の届きそうな形の道具で実現してしまう。そこに読者が「自分ならどう使うだろう」と想像したくなる余白があります。物語の中での出番が短くても、発想がはっきりしている道具は記憶に残りやすいですね。

日常で使うなら注意したいこと

もし現実にこの道具を使えるなら、まず考えたいのは周囲への影響です。自分にとって便利でも、家族や友達、近くにいる人に迷惑がかかるなら正しい使い方とはいえません。ドラえもんのエピソードでは、最初は小さな願いから始まった使い方が、だんだん大きな騒動に広がることがよくあります。便利さに気を取られるほど、基本的な確認を忘れてしまうのです。

効果の範囲、持続時間、元に戻す方法、失敗した時の対処。これらを分からないまま使うと、どんなに魅力的な道具でも危険になります。ひみつ道具は夢をかなえるアイテムである一方、使う人に責任を求めるアイテムでもあります。そこまで含めて考えると、単なる便利グッズではなく、未来の技術との付き合い方を教えてくれる存在だといえるでしょう。

読者が想像を広げやすい道具

作中で描かれた使い方は、この道具の可能性の一部にすぎません。学校で使ったらどうなるか、家で使ったらどうなるか、旅行や災害時に役立つのか、逆にどんなトラブルが起きるのか。そう考えていくと、短い登場シーンだけでは見えなかった魅力が広がります。

ドラえもんのひみつ道具紹介の楽しさは、性能を確認するだけでなく、その先の使い道を読者自身が想像できるところにあります。この道具も、便利さ、危うさ、ユーモアが同時に詰まっているからこそ、もっと深く考えたくなる一品です。

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