からだに塗ると、熱いものは冷たく感じ、冷たいものは熱く感じるようになる『あべこべクリーム』です。
暑さや寒さが厳しい日でも、あべこべクリームを塗っておけば、快適に過ごすことができます。
寒がりののび太
とある寒い日。
友達に遊びに誘われたのび太は、厚手のコートにマフラー、さらに湯たんぽまで持ち出して外出します。
さすがに湯たんぽはやりすぎだと思いますが、あまりにも寒がりなのび太は友達にバカにされてしまいます。
そこでドラえもんが出した道具が『あべこべクリーム』です。
熱さと冷たさが逆になる
のび太がクリームを塗ると、今まで寒かったのがうそみたいに体がポカポカ暖かくなってきました。
熱いもの(暑さ)は冷たく感じ、冷たいもの(寒さ)は暖かく感じる効果があるのがあべこべクリームの特徴です。
寒がりを笑われてしまったのび太は、おかげで薄着で外出して友達を見返すことができたのですが、実はクリームを使いすぎると危険なんです。
感じ方が極端になる
冬の冷たい空気を暖かく感じるのはいいことですが、雨粒に当たると走り回るほどヤケドし、水をかぶると全身真っ赤になり、湯船に浸かると凍ってしまうんです。
ドラえもん1巻「あべこべクリーム」P170:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
コミックを見る限り、ドラえもんとのび太がクリームを塗りすぎている様子はありません。
にも関わらず、生命に危険がおよぶ効果を発揮するあべこべクリームは、どうして未来の世界では製品化されているんでしょうか。
あべこべクリームの持続時間はハッキリしませんが、もし現代に実現するようなことがあれば、使う時は細心の注意を払い、子どもの手の届かないところに保管する必要がありそうです。
現代にも似たようなものがある
あべこべクリームを完全に再現できているわけではないものの、今の世界でも暑さを和らげるものがあります。
代表的なものでいえばハッカがそうですね。
スーッと涼を感じるハッカは、お菓子や入浴剤に使われることが多く、一定時間涼しさが得られます。
湯船に入れるハッカ油は使い方に注意が必要で、数滴入れるだけで全身が寒くなるほど冷えるんだとか。
感覚ではなく、物質が変化している?
ハッカ油は涼しさを得られますが、お湯に入れたところでお湯はお湯のままです。
あくまでも本人の温度の感じ方が変わっただけで、50℃や60℃の熱湯に大量のハッカ油を入れて入浴しても、実際はヤケドしてしまうでしょう。
ところがあべこべクリームを使ったドラえもんとのび太は、熱々の湯船に浸かるとヤケドするどころか凍ってしまったんです。
クリームに触れた物質の温度が瞬間的にプラス・マイナス逆転し、熱い(暑い)ものは冷たく、冷たい(寒い)ものは熱く変化していると考えられます。
ケーススタディ
あべこべクリームを使った状態で氷水に浸かると、体は一瞬で燃え尽きることが予想されます。
温度は上限なく上り続けるので、物体の温度を冷たくすればするほど、あべこべクリームを使った時の反応が大きくなります。
一方、冷たさにはマイナス273℃の下限があります(いわゆる絶対零度)。
コミックでは熱々の湯船(おそらく45℃前後か?)に飛び込んだドラえもんとのび太が「つめたぁい!」の言葉とともに凍りつく様子が描かれました。
もしこれが100℃のお湯に飛び込んでも凍りつくでしょうし、溶岩に飛び込んでも凍りつくと予想されます。
硬くなる度合いが変わってくるんでしょうか?
いずれにしても、あべこべクリームは注意して使わないと、生命の危機が危ぶまれるほどに危険なひみつ道具ということができますね。