触ったものが何もかもあべこべになってしまう『アベコンベ』というひみつ道具。
実はこれ、設定がかなり複雑なひみつ道具で、コミックを読んでも理解するのに苦労します。
全てを逆に?アベコンベの効果
ドラえもんが腕を組み、「何か使いみちはないかなぁ?」と悩んでいます。
自分が持っているひみつ道具なのに、使いみちを見出すことができないもの、それがアベコンベです。
あのドラえもんがのび太にひみつ道具の使いみちを尋ねることなんてびっくりですよね。
ドラえもん4巻「アベコンベ」P38:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
アベコンベは、触れたものの性能や性質、見た目をアベコベ(逆さま、反対)にしてしまう効果があります。
コミックで紹介された例を挙げてみましょう。
- 消しゴムが文字を消さず黒塗りされる
- 扇風機から熱風が出る
- タバコを吸えば吸うほど伸びる
- 掃除機からゴミが出る
- ヒゲ剃りで剃ると、ヒゲが伸びる
- 風船が鉄のように重くなる
- 泥棒が警察を追いかける
- 猫が金魚鉢に入り、金魚が猫を襲おうとする
- 傘から雨が出る
ドラえもん4巻「アベコンベ」P44:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
もはやわけがわかりません。
ありとあらゆるものがおかしくなってしまいました。
あらゆる事象が反対になってしまうので、それを知っているドラえもんが使いみちに頭を悩ませるのも無理はありません。
使用者の意思を反映するのか?
コミックの最後で唯一見出した使いみちとして、のび太の頭を良くするというものがありました。
のび太の頭をアベコンベで触れると、普段は勉強が全くできないのび太がスラスラ問題を解けるようになりましたね。
ドラえもん4巻「アベコンベ」P45:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
一方、同じようにドラえもんの頭にアベコンベが触れた時は、頭が良くなることはなく、なぜかドラえもんの顔が上下逆さまになるという不思議な現象が起こっています。
ドラえもん4巻「アベコンベ」P44:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
のび太は頭が良くなり、ドラえもんは顔が逆さまになる。
二人とも頭にアベコンベが触れているにも関わらず、どうして結果に違いが出るのでしょうか。
1つ言えることは、ドラえもんはこのとき明らかに「のび太の頭の悪さ」を意識した状態でアベコンベを使用したということ。
のび太の頭が良くなるようにと考えた上でアベコンベを使いました。
しかし、ドラえもんの顔が上下逆さまになった時は、アベコンベを使ったドラえもん自身の意識が無い状態だったため、明確な意図を持っていたわけではありません。
おそらくアベコンベは、使用者の意思を感じ取り、明確な意図があればそれを反映し、何も考えずに使った時にはランダな効果を発揮するものと思われます。
使いすぎは混乱を招く
アベコンベは使い方によっては便利かもしれませんが、闇雲に使うと町中がパニックになってしまいます。
しかも、元に戻すにはアベコンベを逆の向きでもう一度触れなければならないので、混乱を戻すにも根気が必要ですね。
ガラクタのようなひみつ道具の魅力
ドラえもんが持っているひみつ道具は、タケコプターやどこでもドアのように便利な代物から、今回のアベコンベのように使いみちがないガラクタのようなものまで幅広くあります。
いつも安ものしか買わず、ポケット整理をろくにしないドラえもんの性格がよく表れているともいえるでしょう。
しかしそれは逆に読者の発想力を広げたり、間抜けなドラえもんの姿を見ることで親近感を沸かせたりするなど、藤子先生なりの戦略であったのかもしれませんね。