ペタリゴンドラ

ペタリゴンドラは、空飛ぶイルカに取り付けると気球のように空から群れを探すことができるひみつ道具です。同じコミックプラス6巻「ペタリ甲板」のエピソードで登場し、群れからはぐれたイルカを空から発見するために活躍します。

世にも珍しいイルカ

ドラえもんとのび太が海で一緒に遊んでいたイルカは、実は群れからはぐれてしまった1匹だと判明します。

ドラえもんはペタリゴンドラをイルカに取り付け、気球のように空からイルカの群れを探すことにします。

プカリゴンドラ
イルカも上空から見る海は初めてだろう

出典:ドラえもんプラス6巻「ペタリ甲板」P64:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

途中、カモメから情報収集するなどしてようやく群れを見つけることができたのでした。

海の生き物であるイルカが空を飛ぶという光景は、どんな人が見ても驚く珍しい体験です。スネ夫の骨川家(スネ夫の家のこと)はたくさんの贅沢をしてきたはずですが、彼らだって飛ぶイルカを見たら驚きます。

プカリゴンドラ
似たもの親子

出典:ドラえもんプラス6巻「ペタリ甲板」P64:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

ドラえもんも、誰かに見られて混乱を招く可能性を頭に入れておくべきでしたね。

海の哺乳類が空を飛ぶという前代未聞の光景は、目撃した人がどれほど驚くかを考えると、ひみつ道具の使用に際しての周囲への配慮が必要だということを改めて感じさせます。イルカの旅を助けるという目的は正しかったとしても、その手段が周囲に与える影響まで考える必要があるという、ひみつ道具の使い方の難しさが見えてきます。

途中でカモメに情報を集めるという場面も印象的です。イルカの群れの場所を探すために、空にいるカモメに話しかけて情報を得るという発想は、動物同士のコミュニケーションを活用するという独特のアプローチです。ドラえもんがイルカやカモメと話せるということは、動物の言葉が理解できるひみつ道具を持っているか、あるいは22世紀のロボットとして自然に動物言語を解析できる能力があるのかもしれません。

発想がぶっ飛んでます

ペタリゴンドラをイルカに取り付けることで、イルカがまるで気球のように浮かび上がります。

海の生き物をゴンドラにする発想が普通とは違います。

海洋哺乳類であるイルカなので浮かんでも支障はありませんが、飛んでいるイルカ自身はいったいどんな気持ちなのでしょうか?

ペタリゴンドラはペタリ甲板と名前が似ていますが、甲板が海中の乗り物であるのに対し、ゴンドラは空中の乗り物です。同じ「ペタリ」シリーズとして、イルカを様々な乗り物に変えてしまうという発想の豊かさには脱帽します。「ペタリ」という名前を冠した道具群が存在することで、イルカというひとつの生き物がひみつ道具の世界で多彩な役割を持てるようになっています。

空を飛ぶためのひみつ道具はタケコプターを筆頭に数多くありますが、フワフワオビのように体に身につけて飛ぶものが多い中、ペタリゴンドラは生き物を媒介にして飛ぶという全く異なるアプローチを取っています。人工的な機械で飛ぶのではなく、生き物のエネルギーと動きを利用して飛ぶという発想は、ひみつ道具の移動手段の中でも独特な位置を占めています。

また、ペタリゴンドラは上空から周囲を見渡すという探索機能も持っています。群れを探すために空から海を見下ろすという使い方は、地上や海面からでは得られない広い視野を活かしたものです。偵察や探索に使う道具として、実用的な側面も持っているといえます。もし現実にこのような道具があれば、海難救助や環境調査にも応用できそうです。

骨川家だって驚きます

お金持ちとして知られる骨川家(スネ夫の家)はたくさんの贅沢をしてきたはずですが、彼らだって飛ぶイルカを見たら驚きます。

どんなにお金を持っていても、22世紀のひみつ道具が生み出す体験には及ばないということを、このエピソードは示しています。ヨットを自慢していたスネ夫も、イルカを乗り物にして空を飛ぶという体験には太刀打ちできません。ひみつ道具の価値は金銭では測れないという、ある意味でドラえもんらしいメッセージが込められています。

骨川家が目撃したら一番動揺するのはスネ夫本人かもしれません。自分がヨットを自慢した相手のお父さんが、空飛ぶイルカに乗っているという光景は、ヨットの自慢をすっかり色褪せさせてしまいます。スネ夫にとってものび太にとっても、このエピソードは忘れられない海の思い出になったことでしょう。ひみつ道具が生み出す非日常的な体験は、どんな贅沢よりも記憶に残るものかもしれません。

イルカにとっていい思い出かも?

よく考えると、イルカが高い空からイルカの目線で海を見渡す機会は一生に一度もありません。

群れからはぐれて寂しくなっていたところ、ドラえもんとのび太の存在は、イルカにとって驚くべきものであったと同時に、空を飛ぶという貴重な経験を与えてくれた存在でもあったのです。

このイルカが群れに戻った後で仲間に話しているかもしれませんね。

「自分は空を飛んだんだ」と。

イルカ仲間の間で長く語り継がれることでしょう。

生き物の視点から見た時、ペタリゴンドラが提供する体験は人間にとってだけでなく、イルカにとっても一生に一度の貴重な体験かもしれません。道具を使うことで人間が恩恵を受けるという一方的な関係ではなく、生き物も含めた双方に価値のある体験が生まれるというのは、ドラえもんのひみつ道具の理想的な使われ方といえます。

ペタリゴンドラはペタリ甲板と対になる道具として設計されており、甲板が海の中、ゴンドラが空という対比が美しいです。同じイルカを媒介にしながら、一方は海中を、もう一方は空中を旅するという全く異なる体験が生まれます。ひみつ道具の開発者が「ペタリ」という名前で一つのシリーズを作り上げ、海と空の両方に対応した道具を揃えたとすれば、その発想のスケールには驚かされます。

同じエピソードにはイルカを探す機械ペタリ甲板プカリクリームと複数の道具が登場し、それぞれが役割を担いながら一つの物語を作り上げています。これらの道具が連携することで、スネ夫へのライバル心から始まった話が、迷子のイルカを助けるという感動的な結末へと向かう展開に深みが生まれています。

コミックプラス6巻はハーメルンのごきぶりふえなどの道具も含め、生き物との関わりをテーマにしたエピソードが印象的な一冊です。ペタリゴンドラはその中でも、生き物と人間が共に体験を共有するという意味で、この巻を象徴する道具のひとつといえます。

ペタリゴンドラは単なる移動道具を超えて、迷子のイルカを助けるという物語の重要な局面で活躍します。地上や海面での探索では群れを見つけられなかったところ、空から見渡すことで発見できたという展開は、視点を変えることの重要さを示しています。行き詰まった時に別の角度から問題にアプローチするというのは、ひみつ道具の使い方だけでなく、日常の問題解決にも通じる考え方です。

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