エラチューブ

鼻に詰めるだけで水中でも呼吸できるようになるひみつ道具、それが「エラチューブ」です。

陸上で生活する人間は、長い時間水中にいることができません。それは水の中では呼吸することができないからです。もしも水中でも呼吸ができて、超長時間水中にいられるようになったら……そんな夢を叶えてくれるのがエラチューブです。

海底ハイキングの重要なアイテム

エラチューブは、のびたが夏休みの課題として海底を歩いて横断する計画を立てた際に使われた道具の1つです。水中からも酸素を取り入れることができて、鼻に詰める事で水中でも呼吸ができるようになる効果があります。

役回りとしては地味な感じですが、「海底を歩いて横断する」という目標のためには欠くことのできない道具となっています。

キレイな海底の描写にビックリ

エラチューブで水中でも呼吸ができる用になる事で、のびたはどんどん海の深い部分に足を踏み入れていきます。この話が公開された当時は、まだ海底の様子がほとんど解明されていなかったにもかかわらず、この時の海底の描写は圧巻ですね。

キレイな海底の描写
いつか海底を歩いてみたい

ドラえもん4巻「海底ハイキング」P53:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

のびた君もいつものへたれぶりがどこへやらで、いつになくやる気が満ちているです。ドラミちゃんが絡む話だと、のびたの行動力はドラえもんといる時よりも倍増されるようです。

後でも登場するエラチューブ

エラチューブは、コミック9巻「無人島の作り方」で海底探検をする時にも再び登場します。新しい土地(島)を作り出すために、マグマ層を刺激して、海底火山の爆発を誘発させるという、これまた科学のお勉強になるお話です。

ドラえもんと一緒に海底を歩いてマグマ層を探すために使われたひみつ道具がエラチューブでした。モモボート瞬間移動潜水艦のような水上・水中移動系の道具が別途あっても、水中で自力呼吸できるエラチューブは欠かせない存在です。

テキオー灯とどっちがいいか?

エラチューブと似たような効果をもたらすひみつ道具としては、大長編「のびたの海底奇巌城」に登場する「テキオー灯」が代表として挙げられます。テキオー灯から照射される光線を浴びると、宇宙だろうが海底だろうが地上と変わらず過ごすことが出来る超便利アイテムですが、有効期間はたった24時間しかありません。

エラチューブ以外にも色々とアイテムを装備しないといけなかった「海底ハイキング」の頃と比べると、テキオー灯1本ですべての事が足りてしまうので、22世紀の道具も進歩しているのですね。しかし便利であるが故に問題点もあります。

  • 地上と変わらない環境のため、いま自分が海底や宇宙のような厳しい環境下にいることを忘れること
  • 24時間しか効き目がないこと

大長編「海底鬼岩城」では、海中トレイの大切さをドラえもんが力説したり、テキオー灯24時間の効果のことを忘れたジャイアンとスネ夫が、あわや命を落とす一歩手前まできてしまったことがありました。

エラチューブの明確な有効時間は紹介されていませんが、万が一のことを考え、テキオー灯と一緒に使っておくと安全ですね。

鼻づまり注意

エラチューブは海水から酸素を取り出し、呼吸するための道具です。つまり、鼻呼吸をする時だけ地上と変わらず生活できると考えられるのです。口から息をすると海水がガボッと入ってきてしまう恐れがありますね。

鼻づまりのある人はエラチューブを使う時は十分に注意しましょうね。

縄の下の力持ち

鼻に詰めておくというのが基本的な使い方なせいか、コミックではほとんど姿を見ることがないエラチューブです。しかし、物語後半での海底火山の爆発のショックで、すべてのアイテムを無くしてしまったのびたが、唯一無くさずに身に着けていた道具で、最終的にのびたの命を救う事になりました。

エラチューブを無くしたのびた
ピンチをどう切り抜けるか

ドラえもん4巻「海底ハイキング」P60:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

そういった意味でも、地味ながら縄の下の力持ちの重要な役目を果たした道具といえますね。エラチューブはいどうたづなと組み合わせて水中の生き物に乗ることを可能にしたり、ドンブラ粉の使用中に地中深く潜る際にも活用できるでしょう。地底探検車が地中探検に特化した乗り物なのに対して、エラチューブは道具を持たない状況での水中行動を可能にする点で、他の道具とは異なる独自の価値があります。

海底探検という夢のロマン

エラチューブが活躍した「海底ハイキング」のエピソードは、未知の世界への探求心を子どもたちに伝える物語です。海底は地球上で最も謎に満ちた場所の一つであり、現代でもその全貌は解明されていません。深海に潜む巨大生物の謎、海底地形の複雑さ、海溝の最深部に存在する生命体——それらはすべて子どもたちの想像力をかきたてる素材です。

のびたがエラチューブをつけて海底を歩くという行為は、普段ヘタレで勉強嫌いなのびたが、好奇心に突き動かされて冒険に踏み出す姿を見せてくれます。ひみつ道具があれば誰でも冒険者になれる——エラチューブはそのことを体現した道具です。小さく地味な見た目ながら、夢のある海底冒険を可能にする縁の下の力持ちとして、ドラえもんのひみつ道具の中でも特別な位置を占めています。

地味な道具がクローズアップされる瞬間

エラチューブはコミックの中で、ほとんど画面に映らない道具です。鼻に詰めているだけなので視覚的な存在感がなく、他のひみつ道具のように「使っている!」という感覚も薄いです。しかしすべての道具を失ってもエラチューブだけは鼻に残っていた——このシーンは地味な道具がいかに重要かを示す名場面の一つです。

ドラえもんのひみつ道具には、派手に活躍するスター道具の陰で、縁の下の力持ちとして機能するものが多くあります。エラチューブはその典型例です。どんなに優秀な道具を揃えていても、水中で呼吸できなければ海底探険は成り立たない。そのシンプルな事実を、ドラえもんは鼻にちょこんと詰めたエラチューブという形で表現しました。目立たないけれど不可欠——それがエラチューブの最大の魅力です。

エラという器官から着想したネーミング

「エラチューブ」という名前は、魚がエラを使って水中から酸素を取り込む仕組みにヒントを得た命名だと考えられます。魚のエラは水を通過させる際に溶存酸素を取り込む器官で、人間が鼻で空気から酸素を取り込むのと根本的には同じ仕組みです。エラチューブはその魚の機能を人間の鼻に付与する道具として名付けられたわけです。

道具の名前が機能を直感的に説明しているという点で、エラチューブは非常に優れたネーミングです。エラ+チューブという2つの言葉を組み合わせるだけで「水中で呼吸できる筒状のもの」というイメージが伝わります。ドラえもんのひみつ道具の名前は、こうした直感的なわかりやすさを持つものが多く、子どもでも使い方が名前から想像できるというのが藤子・F・不二雄先生のネーミングセンスの特徴です。

エラチューブが示す未来の可能性

エラチューブのように水中で呼吸できる技術は、現代の科学でも研究が進んでいます。液体呼吸(液体で充たした肺から酸素を取り込む技術)や、水中で酸素を抽出するデバイスの研究などがその例です。まだ人体への実用化には至っていませんが、理論的な可能性は存在しています。エラチューブのように鼻に詰めるだけで機能するという手軽さは、現実の研究とはかけ離れていますが、その発想の方向性は正しいといえます。藤子・F・不二雄先生が1970年代に描いたこの発想が、現代の科学研究と共鳴しているという点に、ドラえもんの科学的先見性を感じます。

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