もしも海底を散歩でき、その散歩をスムーズにサポートしてくれる道具があったら・・・
通常ではありえないシチュエーションですが、ドラえもんの世界だったら十分あり得るお話。
そんなファンタジーかつ冒険心をくすぐるひみつ道具『快速シューズ』を紹介します。
太平洋横断の重要な役割
夏休みを利用し、太平洋を歩いて縦断する無謀かつ挑戦的な計画を実行するのび太。
そんな時にドラミちゃんが用意してくれた道具の1つが『快速シューズ』で、陸上の数十倍の速度で移動がすることができ、身体を支えるおもりにもなります。
太平洋横断計画の肝となる重要な役割のあるひみつ道具といえるでしょう。
ドラえもん4巻「海底ハイキング」P53:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
海底を歩くことに特化しているひみつ道具なので、陸上で快速シューズを使っても本来の性能が出せるかどうかは不明です。
ちょっと寄り道。ドラミちゃんの謎
この話に登場するのび太はいつになくやる気に満ち溢れ、当時はまだ未知の世界だった海底にも果敢に挑んでいく姿はまるで別人みたい・・・と思えるのは、それもそのはず。
実をいうと、コミックのドラミちゃんがメインで登場する話は、別雑誌で連載されていたスピンオフ作品だったのです。
タイトルも「ドラミちゃん」という名前で連載されていて、ドラえもんのストーリーと繋がるように世界観とキャラ設定を修正され、コミックに収録されているのです。
のび太じゃない
ちなみにこの作品でののび太君にあたるキャラは、「のび太郎」という、ドラえもんに登場するのび太の従兄弟という設定のキャラクターです。
ドラえもんを追いかけて20世紀に遊びに来たドラミちゃんがのび太郎君の事を気に入り、そのまま家に押しかける形で居候になる・・・といった感じの流れなんですね。
ドラえもんのような使命めいた目的は特にないようです。
行動的な登場人物
話の内容もちょっとした差別化がされていて、「ドラえもん」が道具がメインでそれにまつわるお話が多いのに対し、「ドラミちゃん」は、ひみつ道具こそ出てきますが、冒険系の話がメインです。
ドラえもん4巻「海底ハイキング」P49:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
のび太郎君も本家ののび太と比べると、見た目と基本的なところは似ていますが、いささか行動的(アクティブ)になっています。
登場人物も違います
コミック版の初版では、キャラの見た目はドラえもんに修正されているものの、一部でジャイアンを「カバ田」、しずちゃんを「みよちゃん」などと呼んでいるセリフの修正漏れがあったりします。
また、本家のスネ夫的な役回りの「ズル木」は長身メガネと見た目がスネ夫とかけ離れていて、なおかつ金持ち絡みの自慢でなく、普通の嫌味キャラとして描かれています。
ドラえもん4巻「海底ハイキング」P48:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
(修正前の「ドラミちゃん」は藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん (20)に修正後の分と一緒に収録されています。)
困難をともにする快速シューズ
さて、話を戻しまして、この快速シューズを使って暗い深海をどんどん進んでいくのび太でしたが、途中で海底火山の爆発というアクシデントに見舞われます。
そのときに、この快速シューズを始めとしたひみつ道具一式を失ってしまうんですね。
ドラえもん4巻「海底ハイキング」P60:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
暗い海底に身体一つで放り出されて途方に暮れるのび太でしたが、偶然通りかかった日本の潜水艦にしがみつき、なんとか東京湾まで帰ってくる、最後までハラハラさせる大冒険を繰り広げます。
こういった点も通常の「ドラえもん」と違った余韻を残しますよね。
快速シューズに似たひみつ道具
快速シューズに似たような道具というと、海底を歩くことが出来るという点では、大長編「のび太の海底奇岩城」に登場する「テキオー灯」、海底を猛スピードで移動出来る点では同じく「海底奇岩城」の「水中バギー」などが挙げられます。
ただし使えるシーンが海中に限られてしまうため、日常生活においてはなかなかお目にかかれないひみつ道具ともいえるでしょう。