空を雄大に泳ぐ大きな大きなこいのぼりを操縦できるひみつ道具『こいのぼりそうじゅうき』の紹介です。
小さな子どもさえ怒らせるスネ夫
事の起こりは例によってスネ夫が親からもらったこいのぼりをみんなに自慢してるところから始まります。
その自慢話を聞いて怒りをあらわにするのはのび太・・・ではなく、近所に住む小さな男の子のてつや君でした。
ドラえもん6巻「こいのぼり」P70:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
てつや君の家は母子家庭で生活が苦しく、こいのぼりを買ってもらえず、スネ夫の自慢はてつや君の心を深く傷つける結果となってしまいました。
こいのぼりを養殖しよう
ドラえもんは『雲製造機』で雲を作り出し、『こいのぼりそうじゅうき』でこいのぼりたちを泳がせます。
ドラえもん曰く「部屋を雲で満たして雲の池を作り、そこにこいのぼりを泳がす」との事。
雲の中をまるで生きているように泳ぎ回るこいのぼりたち。
原動力は柏餅です。
やがてこいのぼりたちが産卵し、そこから小さなこいのぼりがかえり始めます。
ドラえもん6巻「こいのぼり」P74:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
始まりは普通のこいのぼりなんですが、ひみつ道具を使うことで布のこいのぼりが産卵してしまうのです。
理屈がよくわかりませんね。
大きく成長したこいのぼりたちをてつや君の家まで泳がせて、てつや君を大喜びさせるのでした。
色々な意味で新しいドラえもんの在り方
スネ夫の自慢がのび太以外の人間を怒らせてしまい、それを見かねたドラえもんが助けるという、ある意味めずらしいパターンのお話です。
今回はむしろのび太が助ける手伝い側に回っていますもんね。
こいのぼりが空を泳いでてつや君の家まで行く光景はかなりシュールです。
というか空を泳いでやってくるこいのぼりたちを、何の疑問も持たずに受け入れているてつや君母子もかなりの強者のような気がします。
ドラえもん6巻「こいのぼり」P75:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ストーリーはページ数の少なさも相まって話の展開も早く、なんだかスネ夫が悪者にされただけのお話だった気もしますね。
似た効果のひみつ道具
似たような役目をする道具だと、無機物を生き物にして養殖する道具として、コミックス38巻「時計はタマゴからかえる」に出てきた『タマゴ産ませ燈』や、コミックス24巻「おかし牧場」に出てくる『おかし牧草』があります。
特に後者は物に命を与えて繁殖させるという所までそっくりですね。
はたで見てるとシュールな光景なところも似ています。
受け継がれるこいのぼり文化
どうやらドラえもんの未来の世界でも、日本伝統のこいのぼりの文化は継承されているようですね。
子ども、特に男の子の健やかな成長を願う気持ちは、今も昔も未来も変わらないということですね。
未来の技術を使えば布のさかな(こいのぼり)にさえ産卵させることが可能なので、今の時代とは全く異なるこいのぼりが人気を集めているかもしれません。
こいのぼりAとこいのぼりBを掛け合わせ、レインボーカラーのこいのぼりが産まれるなど、大人も楽しめる要素が加わっているかもしれませんね。
最近では大きなこいのぼりを出している家庭がすっかり珍しくなってしまいました。
やはり庭付きの一戸建てが必須条件となると、マンションに住んでいるご家庭では難しいのかもしれません。
何となくですが、まだ一戸建て住まいが普通だった時代を感じるお話ですね