ドラえもんには時間に関係した道具が数多く登場します。
今回はその中でも時間の流れを自由に調節できるひみつ道具『驚時機(きょうじき・マッドウォッチ)』の解説です。
驚時機とは
見た目はメモリの多いストップウォッチのような形をしていますが、ダイヤルを調節する事で時間の流を早めたり遅らせることが出来ます。
早めた時はビデオの早回しのようになり、遅くするとスローモーションになります。
効果が現れる範囲は驚時機(マッドウォッチ)のごく周辺のみで、それ以外は普通に時間が流れています。
ドラえもん8巻「マッド・ウォッチ」P25:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ちなみに驚時機(マッドウォッチ)を動かしてる人間と、近くいる指定した人間には時間の影響は出ないようです。
コミックでの使われ方
ママの長いお説教にうんざりしたのび太が、お説教を手早く済ませるために使用しました。
速度を20倍に設定すると、ママのお説教は早回しのようになり、いつもは1時間かかるお説教があっという間に終了してしまったのです。
ドラえもん8巻「マッド・ウォッチ」P26:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
その後この機能を面白がったのび太が、驚時機(マッドウォッチ)を取り返そうとするドラえもんから逃げるために、ドラえもんの周辺時間を100倍遅くして逃げる事に使いました。
(この後うっかりドラえもんに近寄ったパパとママが巻き込まれます)
しずかちゃんが遊びに来た時には、時間を早めてお湯をあっという間に沸かしたり、話の間が持たない時にしずかちゃんの時間を遅くして、スローモーションになるしずかちゃんをながめたり、やりたい放題。
そうこうしているうちにうっかり居眠りしてしまい、そのまま長い時間が経過してしまいます。
慌てて起きたのび太がみんなの時間を元に戻しますが、外の世界の時間は真夜中になっていたのでした。
最初は違う名前で登場した驚時機(マッドウォッチ)
現在出回っているコミックでは「驚時機」という名称になっていますが、初版から80年代あたりまでの間は「狂時機(マッドウォッチ)」という名称でした。
どうにも「狂」という文字が負のイメージを連想させてしまうからという配慮のようです。
とはいえど「時間を狂わせる」という道具本来の意味をきちんと表現している上に、「マッドウォッチ」という名称のセンスがいいだけに、ちょっと残念な気もしますね。
(本によっては「驚時機」と書いて「マッドウォッチ」とフリガナがされるおかしな表記のものもあります。)
しかしこの改変は後に「原作者の意思によるものではない改変」という結論が出て、藤子F不二雄大全集では「狂時機」の表記に戻っているそうです。
再登場する驚時機(マッドウォッチ)
そんな大人の事情を挟みつつも、使い勝手はとても良いので、驚時機(マッドウォッチ)は別の話で何度か再登場しています。
コミック21巻「ひろびろ日本」と、コミック42巻「万能クリーナー」では時間を止めるために使われました。
さらに、コミック24巻「ガンファイターのび太」では、銃撃されたのび太を助けるために、弾丸のスピードを落とすのに使われました。
また、実際に使われはしなかったものの、コミック34巻「『時』はゴウゴウと流れる」では名前のみが登場しています。
驚時機に似た道具
驚時機(マッドウォッチ)に似たひみつ道具では、コミック31巻「時門で長〜〜い一日」で登場した『時門(じもん)』があります。
小さな水門のような形をしていて、門の入り口を少し閉じる事で水門のように時間の流れを緩やかにすることが出来ます。
驚時機(マッドウォッチ)との違いは、時間の流れを変えた影響が世界中に及ぶので、あまりやりすぎると世界中に迷惑を掛ける事があることです。
アニメ版では長い間閉じて時間をせき止めると開けた時に一気に時間が流れ出て、物凄い勢いで時間が進む・・・という副作用がありました。
こちらも複数回登場し、劇場版のコミカライズ「ドラえもん のび太と緑の巨人伝」に登場しています。
こちらでは門を完全に閉じると、時間も完全に停止してしまうという設定が新たに加わっています。