糸電話のような形をしたひみつ道具『おしかけ電話』の紹介です。
もしもしと話すと、自分の体が相手の場所まで瞬時に移動する効果があります。
場所が移動する便利な道具
紙コップを2つ、底の部分を細い糸で繋げた形のおしかけ電話。
糸の長さは調節が可能で、町内区画程度であれば延長可能な描写があります。
ただし、物理的に片方のコップが置かれている場所へテレポート先が限定されてしまうため、話したい人の自宅に片方のコップをあらかじめ設置する必要があります。
そのため、頻繁に出入りする場所があれば、おしかけ電話を仕掛けておきさえすれば、あっという間に相手の元に移動できてしまうわけです。
糸がブラブラするのであれば、地面に埋めるなどして工夫すれば回避できますね。
いたずらを楽しむのび太とドラえもん
パパに長電話をたしなめられるのび太は、ドラえもんから『おしかけ電話』を借りました。
ドラえもん5巻「おしかけ電話」P169:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
相手の元に瞬時に移動できることに楽しさを覚えたのび太は、友達の家におしかけ電話の片方のコップ型通話機の設置をドラえもんに頼みます。
通話機に番号案内があるわけではないので「もしもし」と言ってみないとどこにテレポートするのかは分かりません。
そんなスリルも相まって、のび太とドラえもんのいたずらがエスカレートしていきます。
いたるところに移動しよう
のび太がもしもしと言うと、おやつのホットケーキを目の前にしたスネ夫の家にテレポートし、おやつをご一緒することができました。
ドラえもん5巻「おしかけ電話」P171:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
調子に乗ったのび太は、しずかちゃんの家におしかけます。
物音に気付いたしずかちゃんは急に怖くなり、警察に電話して「もしもし」と言葉を発した瞬間に、おしかけ電話に吸い込まれてしまうアクシデントも。
ジャイアンの趣味「ままごと」
ドラえもんがおしかけ電話を使って移動した先はジャイアンの家でしたが、なんとそこで趣味のままごとに興じるジャイアンを発見してしまったのです!
男らしくて凶暴なジャイアンは、実は乙女チックなままごとが趣味だったのです!
ドラえもん5巻「おしかけ電話」P172:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
これに驚いたジャイアンは、ドラえもんを殴り飛ばすどころか、どら焼きをプレゼントして口封じをする始末。
いつものジャイアンの様子とは明らかに異なりますね。
弱みを握ったドラえもんは、今後ジャイアンに対して強気にでることはあるのでしょうか・・・。
結局、ジャイアンの趣味がままごとという設定は、この後どの巻でも語られることはありません。
どこでもドアにはない「何か」
きっと10人中9人が「どこでもドア」で良くない?…そう思ったことでしょう。
たしかにそうなのですが、きっと直接訪問することよりも、電話で気持ちを伝えたい、その様な欲求を満たしたい何かが「おしかけ電話」の企画・構想として、ひみつ道具製作者の心に秘められているのだと考えます。
物理的に通話相手の目の前に現れるのは、現代技術では不可能です。
しかしテレビ電話で相手の顔を見ながら通話は可能なので、おしかけ電話の肝の企画部分、つまり、相手の顔を見ながらの通話に関しては、実現できていると考えて差し支えないと思います。
ストーカーにならないよう気を付けよう
ドラえもんの物語は時々、とても羽目を外してしまいますが、この回もなかなかの羽目の外し方です。
予告もなく突然目の前に現れるのは、場合によってはストーカー行為として認定されてしまいそうです。
ただ、おしかけ電話が登場するドラえもん5巻は1970年代の作品です。
その当時、携帯電話なんてスパイ映画のアイテムとしてすら登場していない事を考えると、通話相手に会いに行くという奇想天外な発想こそ、思いもよらないアイデアだったのではと思います。
おしかけ電話の学び
時代は下り、今や顔を見ながらの通話もすっかり定着しています。
技術面では難なく相手に会いに行ける時代となりましたが、どんな時代も通話相手のことを思い、通話相手同士で顔を見たい見せたいと思いながら通話するその気持ちこそが、もっとも大切で普遍的な価値なのだと、この物語から教えてもらった気がします。