ペットペンキ

ペットペンキは、石などの無生物に塗ると本物の動物のように動き出し、飼い主に忠実なペットになるひみつ道具です。生き物を飼えない事情がある子どもでも手軽にペットを持てる、ユニークな発想の道具で、石さえあれば好きな動物を生み出せます。

石をペットにしよう

ペットを飼いたいのびたですが、ママに反対されてしまいます。「動物を飼うのは責任が伴う」「世話が大変」「アレルギーが心配」など、親としての現実的な理由は十分わかりますが、子どもにとっては納得しにくいものですよね。そこでドラえもんが出したのがペットペンキ。石にペイントすると本物の動物のようになるのではないか、ということで早速試してみることになりました。

ペットペンキ
石の形も大切かも

出典:ドラえもんカラー2巻「ペットペンキ」P59:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

犬やネコ、オウムやパンダなど思い思いのペットを作るドラえもんたち。スネ夫は大量の石の小鳥に囲まれ、重みで動けなくなってしまいました。石とはいえ本物の小鳥のように動くわけですから、大量に集まれば相当な存在感になります。スネ夫らしい欲張りすぎる結末といえるでしょう。石だから軽いと思いきや、数が集まれば話は別ということですね。ちなみに石のペットは飼い主以外には懐かないと思われますが、見知らぬ人に攻撃的になるかどうかは謎です。もし番犬代わりに石の犬を大量に作れば、お金のかからない防犯対策になるかもしれません。

絵心が試されます

ペットペンキで石に絵を描くと、本物の動物のように動き出し、飼い主に忠実なペットが誕生します。上手な絵で描かないと思いがけない動物が誕生する恐れもあり、スネ夫やしずかちゃんが得意とするひみつ道具ですね。のびたの場合、絵が下手なので描いた通りに動くとなると一体どんな生き物が生まれるのか、ちょっと怖いものがあります。ジャイアンはいつも乱暴なイメージがありますが、絵筆を持たせると繊細な一面が出てくるのかもしれません。

ペットペンキ
意外と絵心のあるジャイアン

出典:ドラえもんカラー2巻「ペットペンキ」P62:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

描いた動物の絵によって性格が変わるかどうかも気になるところです。犬を描けば忠実に、ネコを描けば気まぐれに、といった個性が出るとしたら、ペットペンキで作ったペットはそれぞれに個性豊かな存在になりそうです。ヘビやトカゲのような爬虫類、あるいはドラゴンのような架空の生き物を描いたら一体どんなペットが誕生するのでしょうか。そう考えると絵の設計段階からワクワクする道具です。

石の形も動物の出来に影響するかもしれません。丸くて小さい石は小鳥に、細長い石はヘビに、大きくてどっしりした石はクマに適しているなど、石選びの段階からペット作りが始まっているのかもしれません。川原や公園で気に入った石を集めてから絵を描くという、ひとつの創作プロセスとして楽しめる道具です。石を集めるところから楽しめる道具といえるでしょう。

エサは不明

石のペットは何を主食にするのか解説がありません。何も必要としないのか、それともエサも石に描く必要があるのか、いずれにしてもお金と手間がかからないペットでしょう。食事が不要であれば、旅行中でも留守番させておけますし、病気になる心配もなく、動物病院に連れていく必要もありません。本物のペットを飼う際にかかる医療費やエサ代、グルーミング代などのランニングコストがゼロというのは、経済的な観点から見て非常に優れた点です。

もし食事が不要なら、ペットペンで生み出したペットよりもさらに手軽なペットといえます。ペットペンは何にでも描けば動く道具ですが、ペットペンキは石という素材に特化しており、より造形の自由度が高いのが特徴です。石の色や形を活かしながら個性的なペットを作れるという点では、ペットペンキのほうがアート的な楽しみもあります。石という自然素材を使う点では、環境にやさしいペット作りともいえるでしょう。

また、変身系の道具と組み合わせると面白く、例えば変身セット動物ライトで自分が動物になってペットペンキで作ったペットと目線を合わせるという遊び方も想像できます。さらに動物変身ビスケットと合わせれば、ペットと同じ種類の動物になって一緒に過ごすという体験もできそうです。人間の目線では見えない世界を、ペットと同じ視点で体験できるのは格別な経験になるでしょう。

ペットをつくるひみつ道具

ドラえもんにはペットをお手軽につくる道具がたくさん登場します。

のびたがペットを飼ってもらえない立場にあるので、その悲しみを癒やすため、そして同じ境遇にいる子どもたちのためにも似た道具をたくさん登場させているのかもしれません。ペットペンキはその中でも最もシンプルで、石と絵の具だけで始められる手軽さが魅力です。ペットクリームが既存の生き物に塗ることで変化させるのとは違い、ペットペンキはゼロから石を素材にして生み出すという創造性が際立っています。

また、コピーロボットが動物に化ける使い方と比べると、ペットペンキはゼロから自分でペットを創造するという点が独特で、作る楽しさも道具の魅力のひとつといえます。コピーロボットは既存の動物を模倣するものですが、ペットペンキは絵を描く人のイメージが反映されるという意味で、世界でひとつだけのオリジナルペットが生まれるわけです。アーティストが彫刻を作るように、ペットペンキでは石という素材に命を吹き込むという創作行為が楽しめます。

ペットの終わりはいつ来る?

ペットペンキでつくったペットに寿命はあるのでしょうか?明確に示されてはいないものの、ペンキが剥がれてくれば効力もなくなり、ただの石ころになると予想されます。石という素材の性質上、ペンキは時間が経つと劣化していきます。屋外に置けば雨や風で剥がれやすくなりますし、室内でも衝撃で欠けてしまえばそこから剥がれが進む可能性があります。

剥がれても再びペンキで塗れば復活するはずですが、以前の性格や記憶のままペットが復活するかどうかは不明。そうならないように定期的に色の状態は確認すべきですね。塗装剥がれ防止のスプレーを吹きかけておく手もあります。ペットペンキで生まれたペットとの別れを考えると、バイバインのように増え続ける性質を持つ道具とは対照的に、こちらは丁寧に管理してこそ長く付き合える道具といえるでしょう。

実際のペットを飼うよりも管理の手間は格段に少ないペットペンキのペットですが、ペンキのメンテナンスという独自のケアが必要になります。愛着を持って世話をするという意味では、本物のペットを飼うのと同様に責任感が育まれるかもしれません。石のペットを大切に扱い、ペンキを塗り直しながら長く共に過ごすという体験は、子どもにとって命を大切にすることを学ぶ良い機会になりそうです。ペンキの状態を毎日チェックする習慣は、本物のペットの体調管理に似た責任ある行動を育てると考えることもできます。

もし現実にあったら

ペットペンキが現実の世界に存在したとしたら、ペット業界には大きな変革が起きるでしょう。アレルギーがあって動物を飼えない人、集合住宅でペット禁止の人、世話をする時間や体力がない人など、従来のペット飼育ができなかった人々にとって革命的な道具になります。石という素材はゴミとして拾えるほど身近にあり、コストもほぼゼロです。ペットペンキ本体の価格さえ手が届くものであれば、誰もが気軽にペットを持てる社会が実現します。一方で、石のペットが普及すれば既存のペット産業は大打撃を受けるかもしれません。ペットショップやブリーダー、動物病院まで、ペットに関わるあらゆる産業のかたちが変わってくるでしょう。ひみつ道具が社会に与える影響の大きさを改めて感じさせられる道具です。

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