ジャンボチューイングガム

お菓子をあらゆる外部の敵から守るジャンボチューイングガム。羊牧場でいうところの番犬代わりになる巨大なガムで、近寄るものに噛みついて追い払ってくれます。

のびたのお菓子牧場を守れ!

お菓子をたくさん食べたいのびたはおかし牧草のたねを使って空き地でお菓子を育てることにします。アリがたかないためのクスリなどを使って順調に育ってきたお菓子たちですが、夜な夜な誰かが盗んでいっていることが判明しました。犯人はジャイアンとスネ夫で、彼ららしい強引さでのびたのお菓子を食べ続けていたわけです。

お菓子を盗まれたドラえもんとのびた
かわいいお菓子が盗まれる大事件である

ドラえもん24巻「おかし牧場」P64:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

外部のお菓子たちを守るためにドラえもんはジャンボチューイングガムを用意します。番犬代わりになる巨大なガムで、怪しい人が寄ってくるとガムが噛みついて追っ払ってくれるのです。お菓子を盗もうとしなければいいだけの話ですが、ジャイアンとスネ夫には通じないというのが現実です。

人間ほどもある巨大なガム

空き地の土管にすっぽり収まるジャンボチューイングガムは、人間とほぼ同じサイズの巨大なガムであることがわかります。

人間サイズのジャンボチューイングガム
蛇のような動き方が特徴

ドラえもん24巻「おかし牧場」P65:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

ジャイアンとスネ夫はこんな巨大なガムでさえ噛みごたえがありそうだなと食べる気でいたのですから、彼らの食欲はおそろしいものです。人間サイズのガムを見て食欲が湧くというのは、通常の感覚からすると相当なものですが、それがジャイアンとスネ夫のキャラクターらしさを際立たせています。

凶暴!近づくな!

近寄るものに攻撃するジャンボチューイングガムは性格がかなり凶暴です。

人を襲うジャンボチューイングガム
髪にくっつくと処理が大変そうである

ドラえもん24巻「おかし牧場」P65:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

粘着性のあるガムに襲われたらおそらく身動きが取れなくなり、最悪の場合はガムの中で窒息なんてことにもなりかねません。お菓子を盗もうとしなければいいだけの話ですが、うっかり空き地に足を踏み入れてしまったが最後、巨大ガムの餌食になってしまう可能性もゼロではないのです。守衛機能として見ると相当な性能を持っていますが、誰でも寄ってきたら攻撃するという設計は、使い手以外にも危険が及ぶリスクがあります。

ドラえもんのひみつ道具の中でも、周囲を無差別に攻撃する道具というのは珍しい部類です。ほとんどの道具は使い手の意思で動きますが、ジャンボチューイングガムは自律的に動いて敵を撃退するという、より原始的な番犬に近い設計になっています。

たしかにおいしそうではある

パッケージを見るとなんとなくおいしそうな雰囲気のガムに見えなくもないジャンボチューイングガム。ジャイアンたちが食べようとしていたのも無理はありません。番犬代わりとはいえ材料はガムなので、食べようと思えば食べられるのでしょう。もしこれを食べると何日くらいかかるのか、そういうことを想像しながらコミックを読むのもドラえもんの楽しみ方の1つといえます。ガムとしての味はどうなのか、普通のガムより大きいだけなのか特別な味がするのか、そういった細かい疑問を持ちながら読むのもドラえもんファンならではの楽しみです。

おかし牧場というエピソード自体、食べ物に対するのびたの愛情と創造力が光る話です。お菓子を育てるという発想も面白いですが、それを守るためにガムを番犬にするというドラえもんの発想の飛躍もなかなかのものです。ひみつ道具同士の組み合わせで一つの世界が完成していくのが、このエピソードの面白さです。

番犬という概念をガムという形で実現するという発想は、ドラえもんのひみつ道具の中でも特にユニークな部類です。通常の番犬は生き物ですが、ジャンボチューイングガムはあくまでも物体でありながら自律的に動いて番犬の役割を果たします。この曖昧さが道具としての面白みを生んでいます。食べ物が警備システムとして機能するというシュールな発想は、読んでいて思わず笑ってしまいます。

お菓子牧場のエピソードを通じて、のびたがお菓子に対していかに真剣な情熱を持っているかが伝わってきます。たねを植えて育てて守るという一連の過程は、農業に近い真剣さがあります。普段はやる気がないのびたが、好きなことに対してはこれほどの努力ができるという描写が、キャラクターへの親しみを深めてくれます。ジャンボチューイングガムは、そのお菓子への愛情を守るための最終兵器として、このエピソードの締めを飾った道具です。

おかし牧場のエピソードは、ドラえもんの道具が日常から生まれる小さな夢を実現するという原点を体現しています。たくさんお菓子を食べたいというシンプルな願いが、種まきから収穫、そして護衛という一連の農業的なプロセスに発展するのは、のびたの発想の豊かさと同時に欲張りさも示しています。ジャンボチューイングガムはそのプロセスの最後に登場する、守護者的な存在です。道具のインパクトと機能がエピソードの締めにぴったり合っており、このエピソードの完成度を高めています。

お菓子・食べ物系の道具

食べ物に関わるひみつ道具は数多く登場します。グルメテーブルかけは食べたいものを言うだけで何でも出てくる夢のような道具で、お菓子牧場でのびたが育てたお菓子をさらに自在に楽しめます。おすそわけガムもガムという形でユニークな効果を持つ道具として共通します。超風船ガムは食べると体が膨らんで飛んでいく効果があり、ジャンボチューイングガムと同じく食べさせて撃退するという発想を持つガム系の道具です。お菓子をめぐる争いという観点ではバイバインがのびたのくり饅頭を無限増殖させるエピソードも同じお菓子欲がテーマのひみつ道具として印象的です。

ジャンボチューイングガムが登場するおかし牧場のエピソードは、のびたの欲望と創意工夫が詰まった一本です。好きなものを育てて、守って、食べるという原始的な喜びを、ひみつ道具でコミカルに表現した点が印象的です。番犬として使われるガムというシュールさと、農場を守るという真剣さの組み合わせが、このエピソードを読み返すたびに新鮮な笑いを届けてくれます。ジャンボチューイングガムはその笑いの中心にある道具として、おかし牧場という一本の代名詞になっています。

おかし牧場というエピソードはのびたの食い意地と創意工夫がコラボした傑作です。お菓子を育て、番ガムで守り、最終的に食べるという一連の流れが完成した時、のびたにとって最高のお正月が実現します。その夢を支えた道具の一つがジャンボチューイングガムで、農場の守護神として獅子奮迅の活躍をします。コミック24巻のこのエピソードは、のびたの欲張りさをある意味で肯定した、愛らしい一本です。好きなものに対して真剣になるのびたの姿は、ドラえもんという作品が持つ明るい人間讃歌の一面を体現しています。ジャンボチューイングガムはそんなのびたの思いを最後まで守り続けた道具として、このエピソードに温かみを添えています。お菓子というテーマと番犬というコンセプトの組み合わせが生み出す独特のユーモアは、ドラえもんの短編の中でも特に印象的で、読み返すたびに笑ってしまう場面が詰まっています。コミック24巻のおかし牧場は、そういうドラえもんらしい笑いの傑作のひとつです。

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