シャシンシャベールは、写真やポスターなどに塗ると映っている本人が話し始め、その人しか知らない情報や秘密まで教えてくれるひみつ道具です。写真という記録媒体に対話の機能を加えるような道具で、亡くなった人や遠く離れた人との会話を可能にする夢のようなツールです。
ゴシップネタを追え
芸能人同士のゴシップネタに興味津々のびた。スポーツ選手や芸能人の写真集やブロマイドには、本人しか知り得ない舞台裏の話が詰まっているはずだという期待でいっぱいです。ブロマイドにシャシンシャベールを塗ると本人しか知り得ない情報をたくさん教えてくれるのです。
大体のことは答えてくれる 出典:ドラえもんカラー2巻「シャシンシャベール」P76:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
情報ツウのスネ夫でさえ知らない事実を掘り当てたのびたでしたが、シャシンシャベールを塗ったママの写真に勉強を監視されてしまうのでした。これがシャシンシャベールの皮肉な使われ方で、のびたが得意になって使っていた道具が、今度は自分に向けられることになるわけです。外出中のママの目が写真を通して部屋に残り、勉強の監視員になるという展開は何とも笑えます。
写真に命を与えます
シャシンシャベールを写真やポスターなど人物が写ったものに塗ると、本人がしゃべり始めます。こちらからの問いに対して基本的に写真は何でも答えてくれます。その人しか知らない事実を話してくれたり情報を提供してもらえるんですね。写真という静的な記録が、動的な対話相手に変わるという発想は非常に革新的です。
会いたくても会えない人の写真に塗れば、まるで本人と話しているような体験ができます。遠方に住む家族や友人の写真にシャシンシャベールを塗れば、日常の会話ができるかもしれません。タイムカメラが映像を通して過去を見せてくれるとすれば、シャシンシャベールは写真の中の人物との対話を実現します。また写真入りこみスコープが写真の世界に入り込む道具だとすれば、こちらは写真の人物を外に引き出す道具ともいえます。
特に感動的な使い方として考えられるのが、故人の写真にシャシンシャベールを塗ることです。亡くなった祖父母や親の写真に塗れば、もう会えないと思っていた人ともう一度話すことができるかもしれません。もちろんそこに映っている人物が生前にどのような考えや気持ちを持っていたかが反映されるわけですが、最後にこれだけ聞いておきたかったという後悔を少しでも癒せる道具として、感情的な価値は非常に大きいでしょう。
写真でも性格が出る
こちらからの問いに対して基本的に写真は何でも答えてくれます。ただし恥ずかしい写真や秘密にしておきたいことは隠すこともあり、万能というわけではないようです。写真の中の人物はあくまでも本人の性格や価値観に基づいて話すため、秘密を守りたい性格の人の写真は口が堅いかもしれません。
節度をわきまえよう 出典:ドラえもんカラー2巻「シャシンシャベール」P76:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
自分自身の写真にシャシンシャベールを塗って向かい合えば本人同士で会話が成立します。ちょっと不思議な気分かもしれませんが、例えば悩み事や考えていることを第三者視点から見る機会かもしれません。人と会話することが悩み解決の一番の方法ともいいますし、上手に使いたいひみつ道具ですね。客観的な自己と対話することで、自分では気づけなかった考えや感情が引き出されるかもしれません。
写真のどの瞬間を切り取っているかによって、話してくれる内容も変わるかもしれません。笑顔の写真と怒っている写真では、同じ人でも発言の雰囲気が異なるかもしれず、写真選びも重要な要素になってきます。また、集合写真に塗った場合は複数人が一斉にしゃべり始めるのでしょうか。それとも指定した一人だけが話すのでしょうか。コミックでは一対一の対話が基本でしたが、応用次第では会議の録音・再生のような使い方もできるかもしれません。写真に写っている全員の話を同時に聞けるとしたら、情報収集の効率は圧倒的に高くなります。
プライバシーの問題へ
シャシンシャベールが実用化されると懸念されるのはプライバシー問題でしょう。自分が知らないところで自分の情報が暴露されていると思うと怖いですよね。本人が守りたいと思っている秘密を、写真という形で残っている限りいつでも引き出せてしまうというのは、プライバシー権の観点から見ると相当に問題のある道具です。
架空通話アダプターも同じですが、未来の世界では個人のプライバシーに対してはどういう対策が施されているのでしょうか。未来の技術は強力な分、倫理的な議論も同時に進んでいるはずです。ドラえもんの世界では22世紀の未来から来た道具がたくさん登場しますが、その中には現代の価値観では問題になりそうなものも多く、未来社会でどのような法整備や規制がなされているのか、非常に気になるところです。
また、のろいのカメラやサウンドカメラといったカメラ系の道具と組み合わせれば、撮影から情報取得まで一連の流れを作ることもできます。現実の防犯カメラに写った人物にシャシンシャベールを塗れば、防犯や捜査の面でも画期的な使い道があるかもしれません。犯罪捜査において、事件現場に残った写真や防犯映像のスクリーンショットに塗ることで、目撃者や関係者から情報を引き出すという使い方は、倫理的な問題を脇に置けば非常に革命的な捜査ツールになり得ます。
有効期限は不明
シャシンシャベールを塗って写真が動き続ける時間は不明です。ドラえもんが持つひみつ道具は基本的に安物が多く、せいぜい1日ぐらいは効果があると想像されますね。もし効果が永続するとなれば、一度塗ったら永遠に写真の中の人物がしゃべり続けるということになり、それはそれで困った状況になりそうです。
効果が切れても再度シャシンシャベールを塗れば復活するはずで、大切な写真に塗る場合は写真自体を傷めないか注意が必要かもしれません。特に古い写真や貴重なプリントに塗る場合は、塗料の成分が写真を劣化させないかどうかを確認したいところです。デジタル写真をプリントしてから塗るというのが安全な使い方かもしれません。効果時間と塗り直しのタイミングをうまく管理することが、長くシャシンシャベールを活用するコツになるでしょう。
自分との会話を楽しむ
シャシンシャベールを塗った写真と本人が向かい合えば本人同士で会話が成立します。例えば悩み事や考えていることを第三者視点から見る機会として活用できるかもしれません。人と会話することが悩み解決の一番の方法ともいいますし、ウソ800のような強制的に本音を引き出す道具とは違い、写真の人物が自発的に語るという点がシャシンシャベールの穏やかな使い方です。上手に使いたいひみつ道具ですね。
憧れの人の写真に塗ってサインをもらうという使い方も夢があります。ただし写真の中の人物は本人そのものではないので、法的にサインとして認められるかどうかは別問題ですが、ファンにとっては十分な意味を持つ体験になるでしょう。写真という普遍的なメディアと対話機能を組み合わせたシャシンシャベールは、情報収集から感情的なケアまで、実に多彩な用途を持つ奥深い道具です。歴史という観点でも大きな可能性があります。現存する歴史的人物の写真や絵画にシャシンシャベールを塗れば、その人物から直接話を聞けるかもしれません。もちろん絵画に塗る場合は効果があるのかどうか不明ですが、写真が発明される以前の時代の人物の肖像画に塗ってみたらどうなるかは興味深いところです。歴史の教科書が全く違うものになるような発見が得られるかもしれません。




