しゅん間リターンメダル

A・B2つの磁石からなり、ボタンを押すとAとBの磁石がくっつく性質を利用して、どこにいてもBの位置に瞬間的に戻る(リターン)ことができるひみつ道具、それがしゅん間リターンメダルです。

あらかじめ設定した基点(Bメダルの位置)に、どれだけ遠くにいても瞬時に戻ることができるのが最大の特長です。スポーツから日常生活まで、使い方次第でさまざまなシーンで活躍が期待できます。

野球で袋だたきののびた

運動オンチなのびたは、野球で出塁しても上手く走塁できずにチャンスをつぶしてしまいます。そこでドラえもんが出したひみつ道具がしゅん間リターンメダルです。2つの磁石がくっつくことを利用し、どれだけ遠く離れても瞬時に元の位置に戻れるようになったのびた。

試しにママで実験しても、絶妙のタイミングで勉強部屋にいるように見せかけます。外出しても瞬時に戻れるこの機能は、のびたにとっては怠け放題にできる最高の道具に映ったのでしょう。

しゅん間リターンメダルを使って勉強しているように見せかけるのびた
道具の使い方に定評のあるのびた

ドラえもん13巻「盗塁王をめざせ」P130:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

これなら野球で盗塁王も目指せると意気揚々とゲームに挑んだのびたですが、走塁中に転んだはずみでボタンを押してしまい、1塁に戻ってしまい、結局みんなからボコボコにされてしまうという残念なオチを迎えたのでした。

しゅん間リターンメダルで1塁に戻ってしまったのびた
ポケットに入れて使うのは危険が伴う

ドラえもん13巻「盗塁王をめざせ」P133:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

似たようなひみつ道具

しゅん間リターンメダルを使えば、Aの位置からBの位置に瞬間移動できます。はこび矢(どこでも行ける矢)にも似たような性質があり、あらかじめ設置しておいた的に向かって空を飛んで移動することができましたよね。

関連ひみつ道具

あらかじめ設置した的まで移動できます

はこび矢

移動の時間を考えると今回のしゅん間リターンメダルの方が便利かもしれません。瞬間的に戻れるという機能は、素早さが求められる野球の走塁という場面に特にマッチしています。ただし道具を使うことで生まれる不公平感という問題は残ります。

使い方の注意点

しゅん間リターンメダルを使う上で、いくつかの注意点があります。範囲は100mまでと決まっており、それより遠くなるとボタンを押しても反応しません。また、ボタンを押した時に体に密着するほど近くの距離に人がいると、その人まで一緒にAの地点からBの地点に移動してしまいます。さらにのびたのようにポケットにリターンメダルを入れておくと、ものの弾みでボタンを押してしまい、意図していないタイミングでBの場所に移動してしまう恐れがあります。

このような制約と誤作動リスクを考えると、しゅん間リターンメダルは道具の管理が非常に重要です。ボタンが押されやすい場所に置かず、意図的に使う時だけ取り出すという運用が理想的です。それができないのがのびたというキャラクターであり、そのために悲劇的なオチが生まれるわけですが。

使い所が難しい

色々な点を総合して考えると、しゅん間リターンメダルはなかなか使い所が難しい道具といえそうです。野球をやっていれば盗塁のリードを思い切って取ることに使えますが、他ではどうでしょうか。例えば100mおきにしゅん間リターンメダルを設置し、順番にボタンを押して少しずつ瞬間移動を繰り返して目的地まで移動するなんてことも出来そうですね。ただし、誰かがBメダルの位置を移動させてしまうとうまく働かなくなるため、目立たない場所に設置しておくことが重要ですね。

緊急の脱出手段としての利用も考えられます。危険な場所から素早く安全な基点に戻るという使い方は、大長編のような冒険的な場面でこそ真価を発揮しそうです。ただし100mという射程範囲が制約になるため、壮大な冒険の場面では物足りないかもしれません。使い手の創意工夫と状況判断が試される道具です。

快速シューズが移動速度そのものを上げる道具であるのに対して、しゅん間リターンメダルはあくまでも特定の基点に瞬間的に戻る機能に特化しています。タケコプターのように自由な方向への移動はできませんが、素早く確実に基点に戻れるという点は独自の強みです。野球の盗塁戦術のように特定の場面では他の道具の追随を許さない有用性があります。

のびたが野球でどれほど苦労しているかは、コミックの随所で描かれています。運動オンチであることがのびたの大きなコンプレックスのひとつで、野球の場面では特にその不甲斐なさが際立ちます。そんなのびたがしゅん間リターンメダルで盗塁王を目指そうとする姿は、努力ではなく道具に頼るという本末転倒さが笑いを生みながら、それでも何かを変えようとするのびたへの共感も呼びます。

結果的にポケットの中で誤作動してしまうというオチは、道具を正しく管理しなかったのびた自身の問題でもあります。しかしそれもまたのびたらしい失敗であり、読んでいて苦笑いしながらもどこか愛おしく感じさせます。ドラえもんのエピソードが何十年も読み続けられる理由の一つは、のびたの失敗が他人事ではなく自分自身のことのように感じられるからかもしれません。しゅん間リターンメダルはそういったのびたの人間臭さを引き出した道具として記憶に残ります。

しゅん間リターンメダルのエピソードを通じて、のびたの野球への不器用な挑戦と、道具への依存という構図が見事に描かれています。努力で克服しようとするのではなく、ひみつ道具に頼るという選択肢を選ぶのびたは、ある意味で現実的です。しかし道具の管理を怠ったことで自業自得の結果になるというオチは、便利な道具も正しく使わなければ意味がないという教訓を笑いの形で伝えています。その教訓がコミックの枠を超えて、読者の日常にも当てはまるところが、このエピソードの普遍性につながっています。

しゅん間リターンメダルのエピソードは、スポーツとひみつ道具という組み合わせが光る一本です。野球というのびたが特に苦手とする分野で、道具の力を借りて逆転しようとするという発想は共感を呼びます。うまくいきそうだったのに誤作動でオチがつくという展開も含めて、このエピソードはのびたのキャラクターの魅力を存分に引き出しています。転んだはずみでボタンを押してしまうというあまりにもタイミングの悪い失敗は、のびたでなければなかなかできない技です。コミック13巻に収録されているこのエピソードは、しゅん間リターンメダルという道具の特性とのびたの不器用さが完璧に噛み合った一本として、読み返すたびに笑いが込み上げます。盗塁王を目指したのびたの夢が、自分のミスで一塁に戻されるという皮肉なオチを持つこのエピソードは、しゅん間リターンメダルという道具の記憶と不可分です。野球というのびたにとって特別に難しい分野で、道具で奇跡を起こそうとした試みが自滅に終わるというドラマは、笑いの中に切なさが宿る一本です。しゅん間リターンメダルは、そんなのびたの人間臭さを引き出した道具として、コミックの中で特別な存在感を持っています。

しゅん間リターンメダルはそのシンプルな機能ゆえに、使いこなすためのアイデアが試される道具です。野球のエピソードで示された可能性を超えて、日常のさまざまな場面で応用できる余地がある。そういう想像の広がりを持つ道具は、ドラえもんのひみつ道具の中でも特に面白い部類に入ります。

野球で袋だたきののびたを読み直すポイント

野球で袋だたきののびたは、効果の派手さだけでなく、使われる場面によって印象が大きく変わるひみつ道具です。ドラえもんの道具は、性能を説明するだけなら一言で済むものも多いのですが、実際のエピソードではのび太たちの性格やその場の空気が重なって、単なる便利アイテム以上の面白さが生まれます。野球で袋だたきののびたもその一つで、困りごとを解決する力と、使い方を間違えた時の危うさが同時に見えるところに読み応えがあります。

読者目線で考えると、野球で袋だたきののびたを自分ならどう使うか想像しやすい点も魅力です。学校や家、友だちとの遊び、ちょっとした失敗の場面など、日常の延長に置いて考えると、便利そうに見える一方で守るべきルールも自然に見えてきます。そこまで含めて読むと、野球で袋だたきののびたは笑える道具でありながら、未来の技術とどう付き合うかを考えさせてくれる存在でもあります。

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