見た目がちょっと怖い『スパイセット』。
目と耳のパーツが分離し、対象物の周りをフワフワ飛び回り、離れた場所の音声と映像を盗み見ることができるひみつ道具です。
スネ夫の弱みを握る
教室で花瓶を割ってしまったのび太。その現場を目撃したスネ夫。
黙っておく代わりに掃除やおつかいをスネ夫に押し付けられてしまうのび太なんですが、その様子を不憫(ふびん)に思ったドラえもんがスネ夫の弱みを握ってやろうということで使うひみつ道具がスパイセットです。
やられたらやり返す。これがドラえもんの流儀です。
見た目はアレだが高性能
スパイセットを使う時は頭の突起をポンと押します。
すると目と耳のパーツが飛び出し、フワフワと周囲を飛び回ります。
もう少しコンパクトに作れそうな気がしますが、実はスパイセットの優秀な情報分析機能があるために大型化しているのではないかと推測されます。
というのも、コミックの中でドラえもんは「何かスネ夫の弱みを握れ」というなんとも曖昧な指示をスパイセットに出すんですが、結果的にスパイセットは見事にそれをやり遂げます。
ドラえもん1巻「スパイセット」P49:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄著
スネ夫がどこの誰で、どんな容姿をしているかも指示せずスネ夫のもとにたどり着き、弱みを握るという曖昧な任務を一切バレることなく達成してしまいます。
ドラえもんが操縦している様子もないため、スパイセット自らが状況を分析・判断してスネ夫にばれない位置を計算し、音声と画像をこっそり送っているわけです。
これだけ優秀なAI(人工知能)が開発されているとは、さすが二十二世紀ですね。
どうしてバレないのか?
コミックで登場した様子を見る限り、スパイセットはドラえもんの背丈の3分の2ほどの高さなので、約100cmはあろうかと推測できます。
その大きさから比較すると目と耳のパーツは20cmほどある計算なのですが、それだけ大きなパーツが飛び回っていてもスネ夫は気づかないものでしょうか?
斜め上から撮影している様子が描かれていたり、部屋の隅っこから撮影しているんだろうと思うシーンはあるものの、そんなものが浮かんでいたら周りの人間も気づきそうなものです。
ひょっとするとバレそうになると姿が透明になる機能がついているかもしれませんが、コミックではそこまで描かれていません。
現代ではドローンが最も近いか
スパイセットのように優秀な機械は発明されていませんが、現代ではドローンが最もそれに近いかもしれません。
カメラを搭載し、空中をある程度自由自在に飛び回るドローン。
今後は飛行性能が向上し、周囲の音を拾えるようになると、ますますスパイセットの実現が近づいていきます。
ドローンにAIが搭載されて人間の指示を理解できるようになればおもしろそうですね。
とはいうものの、ドローンは落下した時の周囲への危険性が高いため、実用に向けてクリアするべきハードルは高そうです。
災害地や危険な場所で役立ちそう
被災地や放射能で人が立ち入ることができない危険な場所の調査で使われることが期待されるスパイセット。
その名のとおりスパイ活動で使うには難ありですが、使いみちを考えることで用途が広がります。
しかしドラえもんの世界ではテキオー灯なる高性能ひみつ道具があるため、人が立ち入れない場所もずいぶんと限られているかもしれません。
そうなるとますますスパイボットの出番がなくなるんですが、そこはご愛嬌。