チクタクボンワッペンは、時計の形をしたワッペンで、指定した時間になったら巨大な爆発を引き起こすひみつ道具です。服の上から相手に貼り付けることができ、粘着力も高いためちょっとやそっとでは剥がれません。コミックプラス6巻「チクタクボンワッペン」に登場し、のび太のパパのしゃっくりを止めることから始まり、ジャイアンを驚かせようとする計画へと発展するエピソードです。
ジャイアンをびっくりさせよう!
パパのしゃっくりを止めるためにチクタクボンワッペンを驚かすことに成功したドラえもんとのび太。
パパもびっくり 出典:ドラえもんプラス6巻「チクタクボンワッペン」P91:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
次はジャイアンをこの巨大な爆発で驚かせようと計画します。
ところがこんな時に限ってジャイアンは急に親切になり、思うようにいきません。
結局自分たちの手元に戻ってきたワッペンのせいで、まっ黒焦げになってしまったドラえもんとのび太なのでした。
なかなかうまくいかないものである 出典:ドラえもんプラス6巻「チクタクボンワッペン」P95:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ジャイアンをびっくりさせようとしたら、自分たちが被害を受けるというのは、ドラえもんの道具エピソードの中でも特に皮肉の利いた展開です。チクタクボンワッペンは時間が来たら必ず爆発するという自動タイマー型の道具のため、貼り付けた後は状況がどう変わっても止められません。だからこそ、ジャイアンが急に親切になるという予想外の変化が生じた時に対処できなかったわけです。
しゃっくりを止めるためにドラえもんがチクタクボンワッペンを使ったというのも面白いポイントです。巨大な爆発音と衝撃でしゃっくりを止めるという方法は、確かに理にかなっています。現実のしゃっくりを止める方法のひとつに「突然驚かせる」というものがありますが、チクタクボンワッペンはそれを極端に大規模にしたものといえます。しゃっくり止めという日常的な問題に、巨大爆発という過剰な手段で対応するというギャップが笑いを生んでいます。
巨大な爆発を引き起こします
チクタクボンワッペンは時計の形をしたワッペンで、爆発させたい時間を決めたら時計の針を手書きして指定の時間で爆発します。
ワッペンなので服の上から相手に貼り付けることが可能で、粘着力も高いためちょっとやそっとでは剥がれません。一度貼ったら相手が気づいて剥がそうとしても容易には取れないという設計は、タイマー爆発型の道具として理にかなっています。
半径2〜3メートルのものを吹き飛ばし、大人(のび太のパパ)1人がまっ黒焦げになるレベルです。
命に別状はなさそうで、服を焦がしたり、相手をびっくりさせることに向いています。爆発後に相手が焦げた服姿で立っているというのは、コミックのコメディ表現として定番ですが、現実であれば相応のダメージがあるはずです。その意味ではひみつ道具の世界特有のゆるやかな物理法則に助けられています。
時計の針を手書きで設定するという仕組みは、シンプルながらも確実なタイマー機能を実現しています。デジタルのタイマーではなくアナログの時計形というのも、ひみつ道具らしいユニークな設計です。正確な時間設定ができれば、いつ誰がどこにいる時に爆発させるかを計画的にコントロールできます。ただし、一度設定したら止められないという設計は、使う前に十分な計画と状況判断が必要だということを意味します。状況が変わった時に対応できないという弱点は、チクタクボンワッペンを使う際の最大のリスクです。
ひとりがまっ黒焦げ
チクタクボンワッペンの爆発力の目安として、半径2〜3メートルのものを吹き飛ばし、大人(のび太のパパ)1人がまっ黒焦げになるレベルです。
威力は高い 出典:ドラえもんプラス6巻「チクタクボンワッペン」P91:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
命に別状はなさそうで、服を焦がしたり、相手をびっくりさせることに向いています。
ドラえもんの爆発系ひみつ道具の中でも、相手を傷つけずに驚かせることを主目的にした設計というのは珍しいです。爆発の威力が絶妙に調整されており、致死的でない範囲で最大限の驚きを与えるという22世紀の技術の精密さが感じられます。
実際のところ、しゃっくりを止めるために大人が真っ黒焦げになるほどの爆発を使うのは明らかにオーバースペックです。それでもドラえもんがこの道具を選んだということは、ひみつ道具の世界ではこの程度の爆発は軽度な効果として扱われているのかもしれません。あるいは他に手頃な驚かせ道具がなかっただけかもしれませんが、いずれにしても日常的な問題への対処として非常にインパクトのある選択です。
思い出される時限バカ弾
コミック41巻に登場した時限バカ弾がありますが、これも指定した時間で爆発し、相手にバカな行動を取らせる道具でしたね。
相手に危害を与えるのがチクタクボンワッペン、相手にバカな行動を取らせるのが時限バカ弾。
用途に合わせて使い分けましょう。
どちらも指定した時間に発動するという共通点がありますが、効果の方向性が全く異なります。チクタクボンワッペンが物理的な驚きと焦げを与えるのに対し、時限バカ弾は精神的・行動的な変化を引き起こします。状況と目的に応じて使い分けるとすれば、ジャイアンのような体力的に強い相手には時限バカ弾のほうが効果的かもしれません。
タイマー型の道具という観点では、時間に関するひみつ道具の仲間にも含まれます。タイムマシンやタイムシーバーのように時間移動に関わる道具とは異なり、チクタクボンワッペンは未来に起きる爆発をあらかじめ設定しておくという、より実用的で単純な時間利用の道具です。時間という概念を「いつ何が起きるかを決める」という形で使っているという点では、タイマー系道具として独自の位置を占めています。
チクタクボンワッペンがジャイアンに貼り付けられなかった時のドラえもんとのび太の判断も気になるところです。時間が来てしまう前に剥がすか、安全な場所で爆発させるかという選択肢があったはずですが、そのどちらも間に合わずに自分たちの手元で爆発してしまったというのは、状況への対応力の低さを示しています。道具の扱いには常に出口戦略が必要だという教訓を、このエピソードはコミカルに示しています。
同じコミックプラス6巻のうつしぼくろは性格を変える道具、はなバルーンは鼻から風船を作る道具と、この巻には多彩な道具が収録されています。チクタクボンワッペンはその中でも攻撃・防御系の色合いが強い道具ですが、結果的に自分たちが被害を受けるという展開は、攻撃的な道具の使い方の難しさを笑いに変えた秀逸なエピソードです。標本採集箱でジャイアンを標本にするエピソードと並んで、ジャイアンへの仕返しを試みるが失敗するという、この巻のもうひとつの笑いのテーマを体現しています。
ジャイアンへの仕返しを試みた結果が自分たちへの被害という皮肉な結末は、ドラえもんシリーズを通じて繰り返されるパターンです。のび太がジャイアンに対してひみつ道具で優位に立とうとするたびに何らかの形でしっぺ返しを食らうのは、まるで宇宙の法則のようです。それでも懲りずに次の道具を試みるのび太の姿が、このシリーズの笑いと愛おしさを生み続けています。チクタクボンワッペンもその長い歴史の中の一ページです。






