姿見型の鏡のひみつ道具『フエルミラー』。
その鏡に写したものを本物と同じものとして複製することができます。
ただし、鏡型のひみつ道具のため、複製されるものは鏡像として複製されるため、文字や数字、記号などの情報が入るものについては左右が逆になります。
お金、本、ポスターなどを複製しても文字が反対になって使い物になりませんが、食べ物などは味も含めて問題なくコピー可能です。
のび太の天才的な思い付き
たくさん欲しいものがあるのび太ですが、お小遣いも貯金も足りません。
せっかくのおやつのどら焼きも、自分の分はママにお願いしてお金でもらうようにしたぐらい。
ドラえもん5巻「かがみの中ののび太」P44:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
隣でどら焼きを食べようとしているドラえもんに羨ましそうな視線を送るのび太を見て、ドラえもんが取り出したひみつ道具が『フエルミラー』でした。
鏡に写したものを本物と同じくコピーできる能力を活かし、どら焼きを増やしてみせたドラえもん。
ところがのび太は、全く別の使い方を思いついたのです。
のび太が思いついた画期的なプラン
それは、友達のおもちゃを借り、フエルミラーでコピーし、欲しいものを手に入れてやろうというものでした。
友達からレンタルし、片っ端からフエルミラーに写して複製を作るのび太。
サッカーボール、野球グラブ、ラジコンなど、何でもフエルミラーでコピー可能です。
ドラえもん5巻「かがみの中ののび太」P46:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
もうウハウハですね。
フエルミラーを使う上での注意点
フエルミラーを長く使い続けると、使用者本人のコピーが作成されてしまうことがあります。
ドラえもんはそれを恐れ、ミラー使用後は必ず電源を切るよう口酸っぱくのび太に注意していました。
ところが、やっぱりそこはのび太くん。フエルミラー使用後も電源を入れたままで放置してしまったのです。
そして鏡の中から現れたコピーのび太は、本物ののび太をフエルミラーの鏡の世界に閉じ込め、電源を切ってしまったのです。
ドラえもん5巻「かがみの中ののび太」P47:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
フエルミラーの疑問点
フエルミラーを描くコミックを読んで感じる疑問点が2つあります。
複数のコピーを作れるのか
例えばサッカーボールをフエルミラーに写すとコピーができますが、コミックの中ではアイテ1点に対して複製は1回のみ描かれています。
何度も鏡に写せば複数のコピーができあがると思うのですが、そうは描かれていません。
単純にのび太が1点以上欲しがらなかったためなのか、それともフエルミラーには複製1点までしか作れない制限があるか、詳しい解説はありません。
コミックの中でドラえもんが2回目にどら焼きの複製を作ろうとした時に、全く新しいどら焼きを取り出していたことを考えると、1アイテム1コピーの法則があるのかもしれませんね。
鏡の世界の謎
コピーとして複製されたコピーのび太は、本物ののび太をフエルミラーの鏡の世界に閉じ込めて電源を切ってしまいました。
いったい鏡の世界とは何のために存在しているのでしょうか?
コピーのび太が作られたと同時に誕生した世界なのか、それとももともと鏡の世界として存在していたのか、その辺の細かいことは詳細不明です。
コミックのエンディングでは、現実世界に嫌気がさしたコピーのび太が「僕帰る。こんな厳しい世界はこりごりだ」と言ってフエルミラーの中に戻ろうとするシーンが描かれています。
ドラえもん5巻「かがみの中ののび太」P49:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
厳しい親もいない、規則もない、ひょっとすると鏡の世界は人々にとって理想郷なのかもしれないですね。
やっぱり欲しいフエルミラー
フエルミラーの効果は絶大です。
限りある資源との共生が課題の現代において、鏡に写すだけで複製が作れるというのは、無限の資源を手に入れたようなものです。
食料、燃料はもとより、少し生々しいですが、自身のクローンによる臓器の確保、余命宣告を受けた愛する人の存在選択の自由に至るまで、倫理的な課題はあるにしても、技術面では様々なことが実現されることと思います。