ドラえもん自身がタイムマシンで未来から来ているという関係からか、ひみつ道具には時間にまつわるものが数多く登場します。
今回はそんな道具の一つで、時間を巻き戻せるという「逆時計」について解説していきます。
逆時計とは?
一見すると普通の時計に見えますが、作動させると丁度ビデオテープを巻き戻すように、時間が逆行していきます。
しかし巻き戻す前の人間の記憶は残っているようで、突然時間が巻き戻ってしまって困惑する人たちが出てきます。
ドラえもん8巻「人間製造機」P56:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
今まで作っていたものが、突然元の材料の姿に戻ってしまうような現象も起こり、当の本人たちだけが驚いてしまう不思議な状態になります。
ただし使った人間本人に影響はないようです。
本編中での使われ方
『人間製造機』の欠陥を知らず、恐ろしい超能力を持ったミュータントを作り出してしまったのび太。
恐ろしい事態になったことに気付いた時にはすでに遅く、ミュータントは自身の力で周りに被害を与え始めます。
人間製造機の機械を壊そうとしたドラえもんは叩きのめされ、その毒牙がしずかちゃんにまで向けられるのです。
とっさの判断でドラえもんが逆時計を作動させ、ミュータントを作る2時間前に戻し、事なきを得ました。
本編中では非常に重要な役目を果たしたのですね。
しかし時間を巻き戻した影響が周囲にまで及んでしまったため、ジャイアンとスネ夫が組み立てていたプラモが突然バラバラになって困惑するという副作用もありました。
ちなみに使っていたドラえもん自身に時間の影響はないらしく、人造人間にハンマーで叩きのめされて変形した頭部はそのままになっていました。
ドラえもん8巻「人間製造機」P56:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
再登場はなし
時間を巻き戻せるという便利な機能を持ちつつも、この話以降の再登場はありません。
コミックス34巻「時はゴウゴウと流れる」では、のび太が逆時計を貸してほしいとドラえもんにねだるシーンがあります。
しかしドラえもんはドラミちゃんにあげたとの事で、これ以降は逆時計の名前すら本編に登場しません。
このあたり、他の時間関連の道具と比べると扱いが不遇な感じがします。
時をあやつるひみつ道具
時間に関係すひみつ道具はたくさんあります。
ビデオ式なんでもリモコン
逆時計と似たような効果を持つひみつ道具では、時間を巻き戻せるという点だと、「ビデオ式なんでもリモコン(コミック32巻)」があります。
人間の行動をビデオのように一時停止や早送り・巻き戻しが出来るという道具で、巻き戻された本人の記憶も一緒に昔に戻ります。
対象者のみの時間が変化するため、周囲への影響もありません。
現実ビデオ化機
コミックス35巻「空ぶりは巻きもどして…」に登場する「現実ビデオ化機」。
これもビデオのように時間を早送り・巻き戻しする道具ですが、ビデオ式なんでもリモコンとの違いは、すべての時間に影響を与えてしまう事で、一度巻き戻すと全世界に影響が及びます。
逆もどし(アニメ版)
アニメオリジナルの道具として「逆もどし」というカートリッジ式の逆時計が出てきます。
こちらはビデオカメラに組み込む事で、逆時計と同じ効果を出します。
対象はカメラを向けられたものだけなので、周囲の時間には影響はありません。
ちなみに元ネタは別作品の「ポコニャン」に登場する道具です。
他の藤子作品での似たような道具
藤子F不二雄先生の別作品「T・Pぼん」のタイムパトロール隊員の道具の中には「巻き戻し」という機能の物があります。
その名の通り時間を巻き戻すことができるのですが、巻き戻せる時間はわずかなので、使うタイミングが難しい道具です。
短編の「オヤジロック」では、町中の小さな研究所で偶然作られたタイムマシンが登場し、時間を巻き戻すことができます。
しかし、使用者以外の記憶が残らないので、実演してみせても相手が「暑さのせいで夢を見たんだ」と思い込んでしまい、タイムマシンの立証が出来ないという不遇な機械となっています。