マグマ探知機

海底のマグマ溜まりを探し出すマグマ探知機は、コミック9巻のエピソードで土地の高い日本の問題を切り口にした話の中に登場する道具です。マグマを見つけることそれ自体では意味が薄く、他の道具と組み合わせて初めてその真価を発揮するタイプです。

マグマ探知機の本編での使われ方

のび太とドラえもんのお小遣いとパパのたばこ代が減らされました。ママ曰く家の家賃が値上がりしたからだそうです。なぜ日本は狭く、土地も高いのか。何かいい方法はないかとのび太とドラえもんの2人が出した結論は、新しく土地、つまり島を作ってしまえばいいというぶっ飛んだ発想でした。

海底火山を噴火させて新しい土地を作り、そこを自分たちの島にするという計画です。現実の地球でも火山活動によって新たな島が形成されることはあるので、この発想は科学的に的外れではありません。そこに目をつけた藤子先生の視点は、子ども向けコミックの枠を超えた知的好奇心を感じさせます。

自分たちの島を作りたいドラえもんとのび太
ないものは作れればいい、素晴らしい考え方

ドラえもん9巻「無人島の作り方」P89:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

2人は日本周辺の海底を歩き、マグマ探知機でマグマ溜まりを探す旅に出かけます。海底を歩くという発想の時点でドラえもんの世界観らしいですが、そこにマグマ探知機という専門的な道具を使うことで探検の目的が明確になっています。のび太が無謀な計画を立てるたびにドラえもんが道具で補助するというパターンは初期コミックの定番ですが、このエピソードはスケールが特に大きく、土地問題という社会的なテーマを絡めているところが深みを持っています。

効果音が独特

マグマ探知機を使ってマグマを見つけたら音で知らせてくれるのが特徴ですが、その音はマグマグマグという独特のものです。

マグマ探知機の音
不思議な効果音

ドラえもん9巻「無人島の作り方」P94:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

マグマだからマグマグマグという音。とてもわかりやすいですね。藤子先生の擬音センスはドラえもんの随所に光っていますが、このマグマグマグは特に覚えやすく、読者の記憶に残りやすい擬音の一つです。探知機という機能的な道具に、こういうユーモラスな音を与えることで、道具の存在感がぐっと増しています。

単体では意味が薄い

マグマ探知機でマグマの位置を突き止めたとしても、それ単体ではあまり意味がありません。後ほど登場する強力岩トカシを使い、海底の地かくをやわらかくしてマグマを意図的に噴出させて土地を作るという手順があって初めて計画が成立します。マグマ探知機はその前段階として活躍する道具で、単独では何も変えられないが、適切な次の道具と組み合わせることで巨大な結果をもたらすという役割を担っています。

ドラえもんの道具の中には単体で完結するものと、組み合わせて使うことで力を発揮するものがあります。マグマ探知機は明らかに後者で、位置情報を得るための最初のステップを担う道具です。かなり大それたことをやってのけるのがのび太とドラえもんなのですが、その過程の中でそれぞれの道具が役割を持って連携しているというのは、ドラえもんのひみつ道具体系の深さを示しています。

日本の土地問題

この話自体は70年代の高度成長期に描かれたものですが、日本が抱える土地が狭いという問題については現在もあまり変わりません。地価の高騰は現代でも都市部を中心に続いており、のび太の家族が家賃値上げに悩むという設定は、いつの時代でも刺さる内容です。

子どもの頃はいまいちピンと来なかったのですが、大人になってから見ると、色々と身につまされる内容です。土地がなければ作ってしまえばいいという発想もぶっ飛んでいますが、科学的な面から見てもこの島の作り方は実際の地質学的プロセスに即した方法で、藤子先生の知識の深さが偲ばれます。海底火山を利用して島を形成するという手法は、ハワイ諸島などが実際にたどってきた形成過程とも重なります。

マグマ探知機が本当にあったら?

マグマ探知機が実際にあったとしたら、地震の動きを調べるために色々と役に立つはずです。地震や火山の噴火はもともとマグマが活性化することでおこる自然現象です。マグマの動きをあらかじめ知っておくことが出来たら、地震の発生をあらかじめ予知する事も出来るかもしれません。日本は世界有数の地震大国であり、地震予知という技術は長年研究されていますが、現代の科学でもまだ十分な精度には達していません。マグマ探知機のような道具があれば、その困難を一気に解決できる可能性があります。

もう少し小さな使い方だと、温泉の源泉を見つけたり、地熱発電の熱源を探すなどといった応用も考えられます。地熱発電はクリーンエネルギーとして注目されていますが、熱源の位置を正確に把握することが難しいという課題があります。マグマ探知機があれば、その課題をクリアできるかもしれません。

うかつに島を作るのは危険

そもそも現実的にできるできないは置いておいて、海底を歩いてマグマ溜まりを見つけ、ドラえもん達のように島を作るのは実はかなり難易度が高いことです。島ができると海流が変わってしまい、これまで魚が獲れていた場所で突然水揚げがなくなってしまったり、付近を航行する船も航路が変わるので混乱をよんでしまいます。土地が増えるのはいいとしても、その後の影響まで考えておかないと後から大変な思いをしてしまうのです。

また、新たに生まれた土地の国籍はどの国に属するのかという問題も発生します。公海上に人工的に作った島の帰属については現実でも複雑な国際問題になりえます。のび太とドラえもんが無邪気に自分たちの島を作ろうとしているのは微笑ましいですが、実際にやったとすれば相当な国際問題に発展する可能性があります。

似たような道具として、地中のものを探すという点ではここほれワイヤーがあります。こちらは土の中や床の中に埋まっているものを見る装置で、マグマのような大深度ではなく身近な地中の調査向けです。また強力においついせき鼻のように何かを追跡・探知する道具もドラえもんには多く登場しますが、マグマ探知機はそれらの中でも地球規模のスケールで活躍するところが面白いところです。場所をさがす機械と比べると対象が具体的でピンポイントな分、専門性の高い道具といえます。

このひみつ道具が印象に残る理由

このひみつ道具の面白さは、ただ便利なだけではなく、使った瞬間に日常の見え方が少し変わるところにあります。ドラえもんの道具は、困りごとを一発で解決してくれるように見えて、実際には使う人の性格や判断がそのまま結果に出ます。のび太が使えば楽をしたい気持ちが前に出ますし、ドラえもんが使えば助けるための道具になります。同じ道具でも、誰がどんな目的で使うかによって印象が変わるのです。

また、名前や見た目が身近であるほど、効果とのギャップが強くなります。普通ならありえないことが、手の届きそうな形の道具で実現してしまう。そこに読者が「自分ならどう使うだろう」と想像したくなる余白があります。物語の中での出番が短くても、発想がはっきりしている道具は記憶に残りやすいですね。

日常で使うなら注意したいこと

もし現実にこの道具を使えるなら、まず考えたいのは周囲への影響です。自分にとって便利でも、家族や友達、近くにいる人に迷惑がかかるなら正しい使い方とはいえません。ドラえもんのエピソードでは、最初は小さな願いから始まった使い方が、だんだん大きな騒動に広がることがよくあります。便利さに気を取られるほど、基本的な確認を忘れてしまうのです。

効果の範囲、持続時間、元に戻す方法、失敗した時の対処。これらを分からないまま使うと、どんなに魅力的な道具でも危険になります。ひみつ道具は夢をかなえるアイテムである一方、使う人に責任を求めるアイテムでもあります。そこまで含めて考えると、単なる便利グッズではなく、未来の技術との付き合い方を教えてくれる存在だといえるでしょう。

読者が想像を広げやすい道具

作中で描かれた使い方は、この道具の可能性の一部にすぎません。学校で使ったらどうなるか、家で使ったらどうなるか、旅行や災害時に役立つのか、逆にどんなトラブルが起きるのか。そう考えていくと、短い登場シーンだけでは見えなかった魅力が広がります。

ドラえもんのひみつ道具紹介の楽しさは、性能を確認するだけでなく、その先の使い道を読者自身が想像できるところにあります。この道具も、便利さ、危うさ、ユーモアが同時に詰まっているからこそ、もっと深く考えたくなる一品です。

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