誰でもかんたんにレコードを作成することができるひみつ道具『レコード製造機』。
この道具が登場した当時はレコード最盛期でしたが、現代はCDですら終焉を迎え、ダウンロードもしくは定額配信が主流です。
当時の雰囲気を楽しみながら読んでいただければ幸いです。
ジャイアン、歌手デビュー!
いつか歌手になることを夢見るジャイアンにのび太が持っていった道具が『レコード製造機』です。
自分の歌声を録音したレコードをその場で製造することができ、おまけにレコードのジャケットまで作ってくれる便利仕様。
ドラえもん11巻「ジャイアンの心の友」P169:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
特に製造原価などはかからず、ボタンをポンポンと押すだけで誰でもかんたんに歌手デビューできるのが魅力ですね。
このあとはもちろん地道な販売活動が必要なわけですが、形だけでも歌手デビューできるのは魅力です。
街ではジャイアンの美声(?)が至るところで聴かれるようになりました。
ドラえもん11巻「ジャイアンの心の友」P172:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
押してダメなら引いてみろ
そもそも、どうしてのび太がジャイアンに自分の首を締めるような提案(歌手デビュー)の話を持ちかけたかというと、その背後にはドラえもんのアドバイスがありました。
いつものび太の顔を見てはいじめてくるジャイアンに対し、こちらは力で対抗するのではなく、逆にジャイアンに親切にすることでその矛先を別に向けようとしたのです。
ドラえもん11巻「ジャイアンの心の友」P167:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
いつもは物事を柔軟に考えるのび太でさえ考えつかなかった策です。
のび太、ジャイアンとも長い付き合いのドラえもんだからこそ出来た提案といえるでしょう。
ジャイアンの根っこは乙女心?
ジャイアンのデビュー作タイトルは『乙女の愛の夢』。
ドラえもん11巻「ジャイアンの心の友」P170:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
「♪オレはジャイアン、ガキ大将♪」で知られる有名なあの歌ではなく、こういうところをチョイスしてくるあたりのセンスが疑われます。
大事なデビュー策に乙女関係を持ってくるのは、やはりジャイアンの根っこにある乙女心が影響しているのでしょう。
コミック5巻『おしかけ電話』では、ジャイアンの趣味がままごとであることが暴露されています。
ドラえもん5巻「おしかけ電話」P172:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
事あるごとにジャイアンの乙女チックな内面が公開されますね。
普段は威張り散らして強い男のイメージがあるジャイアンですが、大長編などで見せる優しさはこういう乙女の心から来ているのかもしれません。
今後のジャイアンに期待?
衝撃のデビューを果たしたジャイアンですが、空き地でのリサイタルはちょくちょく開催しますが、これ以降レコード(CDなども)を出すことはありません。
形に残るものが出来てしまったので、本人も満足したのでしょう。
収益を考えず、趣味で音楽活動をするだけならこういうひみつ道具もアリかもしれませんね。