人類の進化や進歩の過程で現在の形に落ち着くまでには、様々な形のものが生まれました。
今回はそんな進歩や進化の過程を見ることができる『進化退化放射線源』の紹介です。
進化退化放射線源とは
銃のような形をしていて、銃口にあたる部分から放射線を出すことで、対象を進化させたり退化させたりできるひみつ道具です。
元々は生物の歴史や進化の過程を見るなど、学術的な理由で作られたものだといいます。
備え付けられた目盛りでどれぐらい進化(退化)させるかを調節し、その範囲は年単位から億年単位という範囲の広さがあります。
主な対象となるのは生物ですが、機械などの技術を進歩させることも出来ます。
コミックでの使われ方
のび太が持っているラジオは10年前のタイプとかなり古く、新しいものに買い替えたいと考えていました。
しかしパパからは「まだ使えるから買い替えの必要がない」と断られ、ドラえもんが出した『進化退化放射線源』で古いラジオを最新型に進歩させました。
動物や飲食物にも使い、色々な物の起源を勉強したドラえもんとのび太。
しかし、もとはといえばパパが古い人間だからダメなんだという結論に達し、あろうことか進化退化放射線源でパパを進化させます。
すると世にも奇妙な人間に進化してしてったという壮大なオチが待っていました。
よく分かる進化の過程
この話でまず特筆すべきなのが、進化や退化の過程で登場するものが非常に正確であるという事です。
例えばラジオですが、退化させたときに年代をさかのぼっていくラジオがきちんと年代順に描かれていて、最古の鉱石ラジオまで登場し、このあたり藤子先生のこだわりを感じますね。
ドラえもん8巻「進化退化放射線源」P117:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ネズミを退化させたときにも、げっ歯目の先祖から原始哺乳類、哺乳類型爬虫類と、実に分かりやすく正確で、この話だけでも生物の進化についてかなり勉強になりそうです。
進化させることも可能
のび太がネズミをうっかり退化させすぎて、大型爬虫類(恐竜ではない)となって外に飛び出して暴れ出してしまいます。
困ったのび太はネズミ捕りに進化退化放射線源を照射したのです。
未来のネズミ捕りはとても強力で、自動で動いて獲物を探し出す優れものに変わったのです。
たとえ相手が大型爬虫類であっても、たちまちネズミを捕獲してしまいました。
パパを進化させた時には非常に不気味な進化を遂げました。
- 機械に頼りすぎて退化した手足
- 脳が発達し過ぎて巨大になった頭部
- 汚れた空気を吸わないように発達した鼻毛
見た目はまるで宇宙人です。
ドラえもん8巻「進化退化放射線源」P123:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ちなみにパパのこの姿は、当時の科学雑誌などに載っていた『数万年後の超未来に進化した人類』の姿に酷似しています。
それにしても、パパは脈絡なくオチに使われることが多いですね。
進化退化放射線源に似た道具
似たような効果を持つひみつ道具として、コミック13巻「ハロー宇宙人」に登場した進化放射線源があります。
火星に生物を発生させるためにコケに照射して進化を促し、火星人を作り出しました。
その後はコミック21巻「野良犬イチの国」にも再登場し、古代世界に置いていった犬や猫たちが自立させるために使われ、機械が操作できる知能レベルにまで上げることが可能ですが、見た目などは変わりませんでした。