電話は電波で音と映像を届ける技術ですが、もし『触覚』を電話で届ける事が出来たらどうでしょうか?
今回はそんなことを可能にしてしまう『手ぶくろ電話』というひみつ道具を紹介します。
本編での使われ方
ある夏の夜、のび太の家の電話が鳴りました。
「今夜お前の家にお化けが出る」。
これに怯えてしまったのび太は夜中トイレに行くことができず、おねしょをしてしまいました。
ドラえもん9巻「電話のおばけ」P150:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
しかもごまかしの言い訳が『ゆたんぽの栓が外れた』というバレバレなのものび太らしいですね。
勿論この電話の正体はジャイアンとスネ夫であり、のび太は電話の声から正体を突き止めた2人に仕返しを計画します。
ドラえもんが出したのは『手ぶくろ黒電話』。
受話器が手ぶくろの形になった物で、これを電話に取り付けると、電話をかけた相手の受話器が自分の手になり、相手を掴んだり殴ったりできます。
のび太たちはこれを使って、ジャイアン達への仕返しを実行します!
昔懐かしい黒電話がモデル
この話が描かれたのが70年代なせいか、コミックに登場するのはダイヤル式の黒電話です。
現在はプッシュ式でコードレスなものが主流なのであまり馴染みの無いものとなってしまいましたが、昔はどの家庭にもこのタイプが普及していましたね。
ドラえもん9巻「電話のおばけ」P151:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
『手ぶくろ電話』は、電話に繋げるいわゆる電話用のモジュラーの一種ですが、22世紀のひみつ道具にも拘らず、1970年代の黒電話にも何気に対応しているのは、よく考えるとすごい事ですね。
手ぶくろ電話に対するみんなの順応性が高い
手ぶくろ電話は、相手側の受話器が手の形に変形し、話者の動きにシンクロする不思議な動きをします。
受話器がいきなり変形することに、コミックの中で驚く人がかなり少ないのも凄いことです。
不意を突かれてつねられたスネ夫はともかく、受話器に殴りかかられたジャイアンは、驚きながらも怖がらすきっちり応戦しようとします。
オチのしずかちゃんは、肩に手を回してくる受話器に対して「なれなれしい電話ね!」と呆れ返っているだけで終わっています。
ドラえもん9巻「電話のおばけ」P152:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
普段からドラえもんのひみつ道具を目の当たりにし、色々な体制が出来上がっているからなのか、友達の反応は今ひとつですね。
スマホが変形したら・・・
今の電話の主流はスマホです。
スマホで会話中、もしもスマホが変形して殴りかかってきたり、肩に手を回してきたらと考えると、ちょっと怖いものがありますよね。
時代を越えて愛されるドラえもんなので、どうしても道具の古い・新しいはあるものの、自分たちの身の回りのものに置き換えて考えてみると、非常にわかりやすくなりますね。
もしも現実にあったとしたら
手ぶくろ電話が現実にあったとしても、受話器が変形するだけということもあり、正直それほど使いみちがありません。
物を掴んでこっちまで取り寄せることができたりすれば便利ですが、そうもいかないようです。
それに加え、黒電話そのものが数を減らしていることもあり、固定電話すら使わない人が増える中、手ぶくろ電話が活躍するシーンは限られてくるでしょう。
似た道具
手ぶくろ電話に似た道具として、コミックス30巻『体電送アダプター』があります。
電話機の送話口に取り付けて電話をかけて送話口に手を突っ込むと、先方の受話器からその手が飛び出すようになっています。
これによって品物を相手に送ったり、逆に電話先から品物をこちらへ取り出すことができるので、手ぶくろ電話の不満点を解消した後継機ともいえます。