二十二世紀の科学が生み出した新しい生命体、それが『ウマタケ』です。
見た目は竹馬、でもちゃんとした生き物なんです。
不思議な不思議なウマタケに迫ります。
プライドの高い生き物
ウマタケには命があります。
ドラえもんがポケットから出したひみつ道具というより、未来の世界から連れてきた生き物です。
今でいうところの犬やネコと同じと考えればわかりやすいですね。
後ろからなだめながら乗る方法をドラえもんが教えているところを見ると、ウマタケは人を乗せて移動する目的で生み出されたんでしょうね。
見た目は竹馬そっくりなんですが、汚い足で乗ろうとすると蹴飛ばされてしまいます。
ドラえもん1巻「走れ!ウマタケ」P186:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
しっかり意思を通わせないと、乗りこなすことはおろか、近づくことすらできないプライドの高い生き物、それがウマタケです。
馬と竹の子ども
ウマタケは高度な科学技術を集めて創り出されました。
生き物の馬、植物の竹をかけあわせたというから驚きです。
未来の世界は命さえも自由にコントロールできるようになっているんですね。
倫理団体や動物愛護団体の動向が気になります。
ウマタケは現代の生物学でいうところの「キメラ(Wiki参照)」に当たります。
ニンジンを食べ、フンをする
ウマタケは生き物なので、ご飯が必要です。
ニンジンをあげて機嫌を取る様子が描かれているので、馬と同じものを食べると推測されます。
コミックの最終コマでは、ジャイアンの家の中で馬糞をしたことが紹介されているので、構造の大部分は馬が占めているんでしょう。
ものすごいスピードで走るのは危険
一旦ウマタケが走り始めると、家の屋根を飛び越え、乗っている人の髪が風でぺったんこになるくらいの猛スピードを出します。
屋根の上ということは、地面から10メートル前後の場所を駆けていることになります。
しかし、のび太の姿を見る限り、ヘルメットや安全器具を装着しているようには見えず、普通なら恐怖で怯えているところでしょう。
ドラえもん1巻「走れ!ウマタケ」P187:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
運動神経が鈍く、体力も人一倍少ないのび太が、この状態でウマタケにしがみつくのは相当な危険が伴います。
にも関わらず、のび太が笑顔を浮かべているのは、ひょっとすると次のような理由があるのかもしれません。
- ウマタケが乗り手の体の負担を減らす特殊フィールドを張り、しがみつく力が弱くても平気
- 気分を高揚させる香りのようなものがウマタケから出ている
- のび太がふっきれた
正確な答えは誰もわからないままです。
ドラえもんの道具は真剣に突っ込むと色々と議論の余地があるんですが、そこは漫画ということで、流しておきましょう。
ウマタケが生まれた理由を考える
未来人はどうしてウマタケを創ろうと思ったんでしょうか。
純粋な馬であれば、
- 人を乗せることができる(大人2人くらいまで)
- 長距離移動できる
- 競馬で活躍する
- 馬車を引く
- 観賞用
など、馬本来の役割があります。
これをウマタケが担おうとしても、どれも役不足な感が否めません。
のび太が家の屋根を飛び回っただけでウマタケがバテているので、持久力は高くなさそうです。
プライドが高い様子を見ると、観賞用としてじっとしていることも考えづらいです。
ウマタケレースはあるかもしれませんが、レース目的だけで新しい生命体が創られるはずがありません。
個人の移動手段という考え方もできますが、二十二世紀にはすでにタケコプターが開発されていますよね。
この謎を解くカギは、実はドラえもんの発言にあります。
「二十二世紀には竹馬は流行らない」
ドラえもん1巻「走れ!ウマタケ」P185:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
そう、ドラえもんがいる二十二世紀には、日本古来の竹馬はすっかり廃れてしまい、子どもは見向きもしていないらしいです。
これは完全に推測ですが、日本の伝統的な遊びである竹馬が廃れてしまったことを憂い(うれい)、二十二世紀の科学者たちは現代に竹馬を復活させようと、新しくウマタケを創り出したのではないでしょうか。
馬と同じ能力を持たせてしまうと、馬かウマタケのどちらかが不必要になるかもしれず、あえて劣った能力しか持たせていないのではないでしょうか。
「ビュンビュン走り回るウマタケの起源は日本の竹馬という遊びでね」と、未来の人が子どもに言い聞かせている姿が目に浮かびますね。
未来の技術に期待
ドラえもんが未来の世界から連れてきた生命体は、実はこのウマタケだけです。
他のひみつ道具は人の手が加わった機械なので、命があるとはいえません。
やはり二十二世紀は遺伝子情報の組み合わせが発展し、新しい生命体が登場しているんですね。
これからの技術の発展に期待です。