人の感情を動かすというのは物凄く難しくて大変な事です。
だからこそ人間は感情を動かすものや存在に惹かれるのかもしれません。
しかしドラえもんの世界だと人の感情を簡単に動かせるひみつ道具が存在します。
今回はそんな『ジーンマイク』の紹介です。
ジーンマイクとは
一見すると普通のマイクですが、このマイクに吹き込まれた音はたとえ何気ない挨拶でも、車のクラクションの音でも、聞いた人間を心の底から感動させることが出来ます。
効果音は『じぃぃぃぃん』です。
マイクの音が聞こえる範囲で有効で、効果の持続時間は不明です。
本編での使われ方
色々あって落ち込んでいたのび太は、「目は前を向くために前についている」という先生の言葉に感動し、立ち直ることが出来ました。
ドラえもん9巻「ジ〜ンと感動する話」P6:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
早速この感動を友達に伝えようとしますが、タイミングが悪かったり、のび太の話し方があまり良くなかったりなどで、なかなかうまく伝えることができません。
ちなみにドラえもんもいまいちピンと来てない感じでした。
ドラえもん9巻「ジ〜ンと感動する話」P8:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
そこでとドラえもんが出したひみつ道具が、吹き込んだ音を何でも感動させてしまう『ジーンマイク』でした。
感動とは何か?
さぞかし感動的な物語が展開されるのかと思いきや、実際はそんなことはありません。
のっけからただの感想や挨拶に涙を流さんばかりに感動するドラえもんやママのギャグ展開が繰り広げられます。
のび太がマイクをどこかに落としてしまったため、車のクラクションの音にジーンと感動したり、むしろ感動を逆手に取ったギャグという初期を彷彿とされる展開ですね。
アイドルのロケに皆が感動してる中、のび太も歌ってその場を感動させようとしますが、うっかりおならの音がマイクに入り、全員がのび太のおならに感動するというオチまでシュール極まるものでした。
実はコラボ作品だった
単行本では単体のお話となっていますが、雑誌掲載時は別の藤子作品である『バケルくん』とのコラボ作品でした。
バケルくんは人形を使って色々なものに変身できるお話で、この話ではアイドル歌手に変身するという役回りでした。
ちなみにいうと作中でのび太の言葉に感動している犬は、バケルくんのレギュラーキャラです。
ドラえもん9巻「ジ〜ンと感動する話」P11:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
結末も随分違っていて、アイドル人形とジーンマイクのお互いの道具の効果を有意義に使い、変身したアイドル歌手と普通の人間の2重生活を送るオチを迎えています。
ちなみにこの改定前のお話は、藤子不二雄大全集の20巻に収録されています。
ジーンマイクに似た道具
似た道具として挙げられるのは、コミックス第32巻『本をおいしく読もう』に登場する『本の味の素』があります。
本に振りかける事で効果を発揮します。
これを振りかけられた本はどんな内容でも面白く感動的に見えてしまい、電話帳ですらハラハラドキドキと読めてしまうという、話の展開もジーンマイクとにたような空気となっていました。
コミックス36巻『ドラマチックガス』は、使うと何でもかんでもドラマチックに感じられてしまうガスです。
何のことの無いママのお使いが、感動的でスペクタクルな話になり、ある種のシュールな世界が展開されていました。
しかしガスの効き目が切れてしまうと、ガスによる暗示も無くなってしまうので、一体何に感動していたのかがさっぱり分からなってしまいます。