『かげきりばさみ』は自分の影を切り取って分身として命令できる便利な道具です。
上手に使えば二人馬力になりますが、使い方を間違えると影が意思を持ち始め、本体の人間を乗っ取ろうとするおそろしいひみつ道具でもあります・・・。
草むしりをしよう
庭の草むしりをパパに言いつけられたのび太はドラえもんに助けを求めます。
そこで登場するのが『かげきりばさみ』。
のび太を明るい場所に立たせ、影が出来たところをかげきりばさみでジョキジョキ切ると影がむくむくと持ち上がり、命令に素直に従う部下の出来上がりです。
影の分身は忠実な部下
かげきりばさみで生まれた影は周りの命令に素直に従う存在です。
ドラえもんから言いつけられた草むしりを、文句一つ言わずにやり遂げます。
放置するな危険
便利な存在の影ですが、30分以上連続して放置しておくと危険な存在になります。
実は時間が経つと影は自ら意思を持ち始め、影が誕生してから2時間経過すると本人と入れ替わり、存在を乗っ取られてしまうのです。
ドラえもんは「30分たったら専用のノリでくっつけるように」ときつく念を押しますが、そこはさすがのび太、影をおつかいに行かせて30分以上経過してしまいます。
お使いから影が戻らないと心配し始めた頃、だんだんのび太の体が黒く変色し始め、存在を影に乗っ取られ始めたことに気付きます。
意思を持ち始めた時の対処法
影が意思を持つと捕まえるのは一苦労。
そんな時は影を捕まえる専用のひみつ道具『かげとりもち』を使うしかありません。
これで影を捕まえて専用のノリでくっつければいいんですが、影はすばしっこく、取り押さえたと思っても影なので隙間からスーッと抜けてしまうんです。
これじゃあマズい!ということで、急きょママの影を切り取り、かげとりもちを持たせてのび太の影を捕まえることに成功したのでした。
ドラえもん1巻「かげがり」P123:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄著
上手に使えば作業効率アップ
こうやって書くと、あたかも影は危険な存在に聞こえてしまいます。
でもそれは30分以上放置してしまったのび太が悪いだけ。
30分以内に専用のノリで元に戻すのであれば、命令に忠実に働く自分の分身がお手軽に誕生するわけです。
簡単な作業は影に任せ、自分は別の仕事をする。30分経過しないうちに元に戻せばいいので、上手に使えば作業効率が大幅にアップしますね。
労働力不足の手助けとなるか?
もしかげきりばさみが実用化されることになると、一時的ではありますが、労働力不足の解消につながる可能性があります。
使用時間に気をつけさえすれば頼もしいひみつ道具なので、そこは時間をちゃんと管理できる仕組みを作り上げたいところ。
分身したのび太の影はママの影を苦手としていたことから、影も本人の能力や特徴を受け継ぐものと考えられます。
そのため、できるだけ優秀な人の影を切り取ることにより、労働力と生産性が2倍にも3倍にも膨れ上がることが期待されますね。
犯罪に使われると危険
一方、かげきりばさみが世の中に普及すると「影きられ事件」が発生することが考えられます。
人通りの多い晴れた日の屋外で、悪意を持った人がかげきりばさみをこっそり使い、歩行者の影を切り取ってしまう事件が起こるかもしれません。
切られた本人が気付かないまま30分以上経過すると、だんだん体が黒く変色し始め、自分の影に存在を乗っ取られてしまいます。
普段から専用のノリを持ち歩くか、常に日陰を歩くようにするかしないと、この類の事件は防止できないかもしれないですね。
いや、そこは警官の影に監視させることで対応できるかもしれません。
いずれにしても想像の域を出ることができませんが、かげきりばさみを実現しようとするのはちょっと待ったほうがいいのかもしれません。