あいまいな美の基準を正確に見抜ける道具があったらどうでしょうか?
今回はそんな『めんくいカメラ』というひみつ道具を紹介します。
めんくいカメラとは?
一見すると普通のカメラですが、美の基準を選定する高性能AIが搭載されているようで、平均以下の美である場合は、その部分だけが写真に写らないようになっています。
例えば顔が平均以下と判断されたら、首なし人間のように写ります。
ドラえもん8巻「めんくいカメラ」P131:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
全身が合格ラインなら問題なく写りますが、使い方によって余計なあつれきを生んだり、人を深く傷つけてしまう恐れがあるので使う時は注意が必要です。
コミックでの使われ方
めんくいカメラを見つけたがのび太が自分を写すと、予想とおり顔が写りませんでした。
友達で試してみようと、まずしずかちゃんを写したところ、問題なく全身が写ります。
次にジャイアンを写そうとしたところ、ドラえもんが「もし写したら君だけでなくカメラも壊されるかも」と恐ろしい忠告をしてきます。
そこへ更に「さっさと写さないとカメラをぶっ壊す」とジャイアンが追い打ちをかけてきたため、のび太は恐る恐るシャッターを切りますが、写っていたのはジャイアンの全身。
本来であれば、ジャイアンの顔は平均以下の美なのでめんくいカメラに写るはずがないのですが、ジャイアンに壊されるかもしれないという恐怖心から、カメラがウソをついたんですね。
ドラえもん8巻「めんくいカメラ」P133:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
自分の美しさが証明されたと喜ぶジャイアンでしたが、「カメラのくせに心にもないおべっかを・・・」とカメラに呆れるのび太君でした。
表情豊かなめんくいカメラ
本編中では特に明記されていませんが、今でいうAIが搭載されているようで、人間並みの感情のような物も見えて、その表情はかなり豊かです。
例えばのび太を写したときの表情はかなり渋めで、写真を出したときも効果音が『ペッ』と、いかにも嫌なもののように扱っていました。
逆にしずかちゃんを写すと、表情は『ニッコリ』でした。
ドラえもん8巻「めんくいカメラ」P132:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
そしてジャイアンを写す前には怯えた表情を見せ、おべっかまで使ってしまうあたり、いわゆるロボット的な思考ではなく、プライドよりも生命の大切さを重視する非常に人間的な思考をしているのが分かります。
実はみんなナルシスト
まず顔を写されなかったことに腹を立てるのび太や、少しでもイケメンに見えるようにお化粧をしてくるドラえもん、初めから自信満々のジャイアンなど、みんな自分の容姿には多少の自信は持っていたのはちょっと意外ですね。
ただこの中で一番のナルシストのはずのスネ夫の反応が、顔をが写らないという結果だったにも関わらず、異様に薄いのが気に掛かります。
これは予想ですが、ページ数の都合ではないかと思われます。
美の判断基準はあいまい
カメラが美しいと判断すれば被写体として認識されるめんくいカメラ。
しかし国が違えば、例えば美の基準は顔の美しさではなく身体の大きさであったり、民族や人種によって様々です。
めんくいカメラがどこまで人種の違いを理解し、的確な判断をするかは不明ですが、ドラえもんの世界の道具のことですし、地域設定を変更すれば柔軟に対応できるのではないか?と予想されます。
めんくいカメラに似た道具
めんくいカメラに似た道具としては、コミックス7巻『グラフはうそをつかない』に出てきた『正かくグラフ』があります。
抽象的なことを数値化し、誰が見ても平等に表現する道具として紹介されました。
めんくいカメラのように顔を写さないという直接的な判断方法ではありませんが、美しさを正確に数値化するという意味で、美を競い合うこともできますね。