タイムコンパス

タイムコンパスは時間移動した時の具体的な年代を測定することができるひみつ道具です。タイムマシンで移動した際に現在地が何年前・何年後なのかを正確に把握するために使います。

危険なタイムトラベル

野良犬イチを3億年前の世界に放ち、その後の様子を確認するため、ドラえもんたちはタイムマシンで移動します。ところが途中で時空間の乱れに遭遇し、タイムコンパスで正確な年代を計測したところ目標の年代から1000年もずれが生じてしまったのです。

タイムコンパス

大長編のび太のワンニャン時空伝P52:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

目の前に広がるのはこの時代にあるはずのない発展した都市でした。この都市はいったい?

イチという犬を主役にした大長編

タイムコンパスが登場するワンニャン時空伝は、のびたが保護した野良犬のイチを3億年前の地球に送り届けるという感動的な物語です。この大長編は人間とペットの絆をテーマにしており、タイムコンパスはその旅の技術的な側面を担う道具として登場します。3億年という気の遠くなる時間軸を舞台にしながら、犬と少年の絆という普遍的なテーマを描く大長編の中で、タイムコンパスは物語に現実的な重みを与えています。

何年の移動をしたか?

タイムコンパスは時間移動を開始しした時代を起点に何年間移動してきたかを測定することができるひみつ道具です。現時点でのみ機能するのか、それとも時空間ナビや時空振カウンターのように物を特定して時代の流れを測定できるのか、具体的な機能は不明です。

普段はタイムマシンで時間移動する際に自分で任意の時代を設定するため、わざわざ再確認することはありません。もしくはタイムマシンが音声で案内してくれるのでそもそも意識することもないかもしれませんね。タイムコンパスが登場したのはタイムマシンが壊れてしまったからで、自分たちが今いったい何年分の時間移動をしたのか把握できなかったためです。こういう緊急時での使用を想定されたものと思われます。

時空間ナビ時空振カウンターが特定の対象物の時代の流れを測定できるのに対し、タイムコンパスは現在地が何年分の移動をしてきたかを確認するという用途で使われる点に違いがあります。

通常は目にしない道具

タイムマシンで時間移動する時は自分で任意の時代を設定するため、わざわざ現在地を確認するタイムコンパスが必要になる場面は通常ありません。もしくはタイムマシンが音声で現在地の時代を案内してくれているのでそもそも意識することもないかもしれません。タイムコンパスが登場したのはタイムマシンが壊れてしまったからで、そういう緊急時の使用を想定した道具です。

1000年のずれという事態

タイムコンパスで計測したところ目標年代から1000年ずれていたというのは、タイムマシン旅行においてかなり深刻なトラブルです。1000年という時間のずれは、目的地の時代と全く異なる文明・環境・生態系を意味します。のび太たちが向かっていた3億年前の地球は現在とは地形も生物も全く違う世界ですが、そこからさらに1000年前後にずれると、計画していた調査や目的が根本から狂ってしまいます。ワンニャン時空伝では目的地のはずの時代に見慣れない都市が現れるという不思議な状況が生まれましたが、これはタイムコンパスがあったからこそ時代のずれに気づけたわけです。もしタイムコンパスがなければ、何の疑問も持たずに見知らぬ時代を目的地と信じ込んでしまうところでした。

あっけなく壊れるタイムマシン

それにしても事あるごとにタイムマシンは壊れてしまうようです。

タイムコンパス

大長編のび太のワンニャン時空伝P53:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

もちろんかなり精密な機械であることは間違いありませんが、大長編になるとしょっちゅう窮地に立たされますね。しかも都合のいいことにタイムふろしきや復元光線を持ち合わせていないということですから、ご都合主義にもほどがあります。

タイムマシンが壊れた際の脱出手段としてタイムベルトがあります。タイムベルトは腰に巻いて気軽に時間移動できる道具なので、タイムマシンのトラブル時のバックアップとして持っておくと心強いでしょう。タイムコンパスとタイムベルトのセットがあれば、タイムマシンが壊れても現在地を把握して帰還することができます。

タイムマシンが時間移動の主力道具なのに対し、タイムコンパスはその補助装備という位置づけです。普段は意識することはないけれど、いざという時に頼りになる縁の下の力持ち的な存在です。

スピードどけいが時間の速度をコントロールする道具なのに対し、タイムコンパスは時間移動後の現在地を確認するだけの計測器という点で、能動的か受動的かという大きな違いがあります。

コンパスという名前が示す役割

タイムコンパスという名前は、方位を知るためのコンパス(羅針盤)から来ていると考えられます。通常のコンパスが空間上の方向を示すのに対し、タイムコンパスは時間軸上の位置を示します。現在地が東西南北のどちらにいるかを知るのではなく、時間軸上でどの時代にいるかを知るための羅針盤という発想は、時間旅行という概念をうまく道具の名前に反映させています。方位磁針がなければ正確な方向がわからなかった時代と同様に、タイムマシンが壊れた状況ではタイムコンパスがなければ現在地の時代がわかりません。探索や冒険における現在地を知る道具の重要性は時代を超えて変わらないのです。

ワンニャン時空伝という舞台設定

タイムコンパスが活躍するのびたのワンニャン時空伝は、野良犬のイチを3億年前の地球に送り届けるという独特の設定を持つ大長編です。3億年という気の遠くなるような時間を旅するという設定だからこそ、タイムコンパスのような精密な計測器が必要になります。通常の時間旅行では数十年〜数百年程度の移動が多いですが、3億年という単位では1000年のずれでも目的とする時代の環境とは全く異なる状況になりえます。このエピソードでタイムコンパスが機能した場面は、ドラえもん一行が自分たちがどこにいるかわからないという恐怖を解消するために道具が使われるという、ひみつ道具の本質的な役割を示しています。

縁の下の力持ちとしての道具

ドラえもんのひみつ道具には、派手に活躍する道具と、縁の下の力持ちとして地味に機能する道具があります。タイムコンパスは明らかに後者です。自分で何かをするわけでも状況を大きく変えるわけでもなく、ただ今がいつかを教えてくれるだけの道具です。しかしそれが分からなければ次の行動が取れないという場面では計り知れない価値を持ちます。時空間ナビのような多機能な時間関連道具と比べると地味に見えますが、シンプルな機能に徹しているからこそ緊急時に信頼できる道具と見られるでしょう。タイムマシンという強力な移動手段を補完する小さな道具の存在が、大長編の物語全体を支えているのです。現代のスマートフォンが単体の地図アプリ・時計・コンパスなど複数の機能を持つように、未来ではタイムコンパスの機能もより多機能な道具に統合されているかもしれませんが、単機能に特化することで信頼性を確保するというコンセプトは今も昔も変わらない設計思想です。

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