照射した対象物の中身をなんでも吸い取って別の場所に移せる「ナカミスイトール」。スイカの中身だけを取り出したり、機械の内部部品を取り出したりと、外側を傷つけずに中身だけを抽出できる万能なひみつ道具です。ドラえもんカラー作品集1巻「ナカミスイトール」として収録されたこのエピソードは、自慢したいのび太が道具の悪用で大失敗するという定番の笑いを提供します。外側はそのままで中身だけを取り出すという発想は、現実にはなかなか実現できない操作を可能にするひみつ道具らしい一品です。食品加工から工業利用まで、用途の広さが光る道具でもあります。
中を吸い取って空っぽに!
ナカミスイトールを使えば機械の中や、スイカの中身、虫かごの中身などなんでも吸い取って別の場所に移動させることができます。
中身だけキレイに吸い取ります ドラえもんカラー1巻「ナカミスイトール」P65:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
のび太は友達に道具を自慢して歩くのですが、途中でジャイアンを吸い取ってしまい、素っ裸のジャイアンがしずかちゃんの手提げ鞄から出てくる結末を迎えてしまったのでした。
ジャイアンを吸い取るというのは、人間の中身を吸い取るということになりますが、これはかなり危険な使い方です。無事に元に戻せたとはいえ、人を対象に使う場合のリスクは非常に高いといえます。のび太の軽率な使い方が招いた必然的な結果でもあります。
中身を吸い取ります
ナカミスイトールを対象物に当てて中身を吸い取り、別の場所に出現させることができます。
まるごとスイカを吸い出すと可食部だけをキレイに外に出すことができます。
こういうスイカはなんとなく気持ち悪い? ドラえもんカラー1巻「ナカミスイトール」P66:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
何かに覆われている内側のものをそっくりそのまま吸い上げてしまう効果があるんですね。
食べ物の中身を取り出すという使い方は非常に実用的です。スイカだけでなく、卵の黄身と白身を分けたり、果物の種だけを取り除いたりと、料理での活用法は無限大です。外側の皮や殻を傷つけずに中身だけを取り出せるという特性は、食品加工の分野で特に役立ちます。
一度に複数のものを吸い取ることも可能
スネ夫の虫かごの中身とジャイアンの両方を吸い取っていた様子から、複数のものをナカミスイトール本体に一時的に保存し、同時に外に出すことも可能なようです。
吸い取られたものはどうなっているのか?
ナカミスイトールの中に入っている間に内部でどんなことになっているのでしょうか?
明確な解説はありませんが、おそらく細かく分子レベルまで分解されていたり、超極小サイズに縮小されて保存されていたり、ハマグリパックの要領で中で時間の流れが止まっている可能性が考えられますね。
いずれにせよ、生き物が吸い取られた場合も無事に元の状態で出てくるだけの安全性は確保されている道具であることは確かです。ジャイアンが無傷で出てきたのがその証拠です。
悪用しないよう気をつけよう
悪い考え方を持った人が使えば、お店のショーウィンドウの中から商品だけ吸い取ったり、箱の中の商品だけ吸い取ることも可能でしょう。
でもそんな悪いことばかりしているとタイムパトロールに目を付けられてしまうでしょうし、バカな考えは捨ててまっとうな生活を送るべきでしょう。
ナカミスイトールの悪用防止という観点では、使用記録が残る仕組みや、特定の用途にしか使えない制限が設けられているとより安全でしょう。未来の道具でもモラルに従った使用が求められるというのは、現代のテクノロジーの使い方にも通じる普遍的なテーマです。
体・生活系の道具として、スモールライトのように物を小さくする道具や、フエルミラーのように物を複製する道具と比べると、ナカミスイトールは「外側と内側を分離する」という独自のアプローチで物の扱い方に新しい視点をもたらします。また、ビッグライトで大きくした後にナカミスイトールで中身を吸い出すという組み合わせも面白い活用法です。
食品分野での活用法
ナカミスイトールの最もわかりやすい実用例が、食べ物の中身を取り出すという使い方です。スイカの可食部だけを取り出す場面がエピソードに登場しますが、他にも様々な食品加工への応用が考えられます。
例えば卵の殻を割らずに黄身と白身を別々に取り出したり、果物の種だけを除去したり、魚の骨だけを取り除いたりといった使い方ができれば、料理の手間を大幅に省けます。特に食べにくい食品の下処理を自動化できる点は非常に便利です。また、食品アレルギーを持つ人のために特定の成分だけを取り除くといった使い方も考えられます。アレルギー成分だけを精密に除去できるなら、これまで食べられなかった食品を安心して食べられるようになるかもしれません。
食品加工の工場レベルで使えば、大量の食品から特定の部位だけを効率よく分離する作業が劇的に効率化されます。現実の食品加工では機械化が難しい繊細な作業も、ナカミスイトールを使えば精密に行えるかもしれません。
機械や電子機器への活用
エピソードでは機械の中身を吸い取るという使い方も示されています。この応用法は非常に興味深く、例えば故障した機器の内部部品だけを取り出して修理したり、鍵のかかった箱の中身だけを取り出したりといった使い方ができます。
現代の精密機器は分解すること自体が難しいものも多く、内部の部品を取り出すためには専用工具や専門知識が必要です。ナカミスイトールがあれば外側を傷つけずに内部にアクセスできるため、修理作業が格段に楽になります。
一方で、セキュリティの観点からは非常に危険な道具でもあります。金庫の中身を外から吸い取れてしまうとしたら、どんな鍵も意味をなさなくなります。このような悪用を防ぐための対策が未来の世界でどのように取られているかも気になるところです。
ナカミスイトールの限界
ナカミスイトールが吸い取れる「中身」の定義がどこまで及ぶかという点は、道具の限界を考える上で重要です。液体の中に含まれる溶解物を取り出せるか、気体の中から特定の成分だけを分離できるか、といった応用が可能かどうかは明らかではありません。
固体の物体の中に入っている別の固体や液体を取り出すという基本的な使い方は確認されていますが、もっと複雑な状態のものにどこまで対応できるかは未知数です。
また、取り出した中身をどこに移動させるかについても、ある程度のコントロールが可能なのかどうかが気になります。意図しない場所に中身が出現してしまっては困る場面も多いため、出口の場所を指定できる機能があるとより使いやすい道具になります。ジャイアンがしずかちゃんの鞄から出てきた場面からすると、吸い取った中身はナカミスイトール本体の中に一時保管され、別の場所に向けて照射することで出現させられるようです。この仕組みを理解した上で使えば、輸送ツールとしての応用も可能かもしれません。ナカミスイトールの名前は「中身」と「吸い取る」を組み合わせた、機能をそのまま表現したネーミングです。道具の名前が機能の説明になっているという点では、ドラえもんのひみつ道具の中でもわかりやすいネーミングのひとつです。初めて聞いた人でも名前から大まかな機能が想像できるという点で、優れた命名センスを感じます。ひみつ道具の中には複雑な名前や機能と名前が一致しにくい道具もある中で、ナカミスイトールは機能説明型のわかりやすい名前の代表例です。このシンプルさが道具の印象を親しみやすいものにしています。





