もしも自分の顔を自由に描き換えられたら・・・。
整形手術をすることなく、気軽に好きな顔になれるのは嬉しいですね。
今回はそんな風に顔を書き換えることができるひみつ道具『取り消しゴムと目鼻ペン』の紹介です。
取り消しゴムと目鼻ペン
顔と同じぐらいの大きさの消しゴムと普通サイズのペンがセットになっている道具です。
取り消しゴムで顔を擦ると、目や鼻や口を消してしまう事ができます。
消された人間はノッペラボウみたいなってしまうんですね。
顔のパーツを消したところに目鼻ペンで目や鼻を描き込む事で別の顔になります。
ちなみに、消しゴムで顔のパーツが消えている間でも目や鼻や口の機能は生きていて、本当にノッペラボウが会話をしているような不思議な光景になります。
ドラえもん8巻「消しゴムでノッペラボウ」P155:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
本編での使われ方
自分の顔があまり美少年じゃないことに悩むのび太にドラえもんが出したのが『取り消しゴムと目鼻ペン』というひみつ道具です。
今までの顔を消し、好きなようにかっこいい顔を描けばいいと提案しますが、絵心が無いドラえもんが描く顔はまるでマンガ!
ドラえもん8巻「消しゴムでノッペラボウ」P154:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
何度やり直しても納得のいく顔にはなりません。
そこでのび太は友達の五郎くんに頼み込み、超絶イケメンに生まれ変わることができたのでした。
簡単に整形できるが、リスクあり
『取り消しゴムと目鼻ペン』を使うにあたり、絵心のある人間が必ず必要になります。
物語の後半、皆が顔を消し、絵が得意な五郎くんに描いてもらえばいいやという安直な考えで家を訪問したところ、五郎君が右手を怪我したので絵が描けないという悲惨なオチが待っていました。
ドラえもん8巻「消しゴムでノッペラボウ」P157:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ケガは仕方ないにしても、一定以上の画力を持つ人が近くにいる状態でないと、安心して『取り消しゴムと目鼻ペン』は使えません。
全体的なノリは赤塚テイスト
消しゴムで顔のパーツを消し去り、ペンで描き込むというハチャメチャな設定は、シュールを通り越して実にカオスな空間を作り出しています。
皆でのっぺらぼうになって五郎君の家に向かう様子はかなりのインパクトがありましたね。
こういったノリは、藤子先生テイストというよりも、同じトキワ壮出身の漫画家でもギャグマンガの大家・赤塚不二夫先生の領域に近いものを感じます。
70年代の赤塚作品は、当たり前のように整形手術で顔を変え、人体改造で化け物のような姿になってしまうという展開がほとんどで、一歩間違えばギャグを超えて、とんでもない猟奇作品になりそうな世界を繰り広げていました。
トキワ壮出身者同士で藤子先生と赤塚先生はとても仲が良かったという事なので、ひょっとしたら何かしらの影響があったのかもしれませんね。
似たひみつ道具
『取り消しゴムと目鼻ペン』に似た道具として挙げられるのは、藤子不二雄ランド19巻に登場する『ふくわらい石けん』があります。
この石けんで顔を洗うと、目や鼻などの顔のパーツを落とすことができ、自分の顔で福笑いを楽しめるという道具です。
簡単にのっぺらぼう状態になり、しかも元に戻す人間がいないとどうしようもなくなってしまうという所も似ていますね。