誰かを探すときは、その人の行きそうな場所などを歩き回らなければならず、けっこう大変です
今回は、だれがどこにいるのかをすぐに分かるようにしてくれるひみつ道具、『トレーサーバッジ』を紹介します。
本編での使われ方
ジャイアンズ(ジャイアンが率いる野球チーム)のマネージャーを引き受けてしまったのび太は、メンバーに試合の日などを知らせるために、夏の暑い中をメンバーを探し回らなければいけません。
当時はスマホも携帯もない設定のため、自ら足を使って人を探すしかないんですね。
そんなのび太をみてドラえもんが出したのが『トレーサーバッジ』でした。
色々な形をしたバッジ数種類とモニターからなり、バッジがアンテナ代わりになって、バッジを付けている人の場所をGPSのように特定することができます。
ドラえもん9巻「トレーサーバッジ」P133:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
これで友達の動きを把握できるようになったのび太ですが、だんだん友達のプライバシーにまで踏み込むようになってしまいます。
プライバシーの侵害になりうる道具
こうしてみんなの行方をすぐに把握できるようになる『トレーサーバッジ』ですが、他人の行動範囲を知るという事は、それ即ちプライバシーの侵害にもなります。
しかしのび太は調子に乗り、スネ夫にアイス屋でアイスを買っていたことを言い当てる電話をして驚かせたり、果てはジャイアンを始めとするメンバーの母親に、メンバーの居場所をこっそり教えてしまいます。
ドラえもん9巻「トレーサーバッジ」P138:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
これらは完全にプライバシーの侵害に当たり、もし訴えられたとしたら完全に負けてしまいます。
一連ののび太の行動を気味悪く思ったメンバー(特にスネ夫)にバッジが怪しいと感付かれ、のび太はメンバーたちから報復を受ける羽目になってしまいました。
バッジを使うわずらわしさ
バッチの居場所を特定してモニターでチェックするトレーサーバッジですが、それはつまり、常にバッジを身につけていないと機能しないということになります。
カバンにこっそり忍ばせておいても大丈夫ですが、手放してしまうとダメなんですよね。
この仕組みにいち早く気付いたスネ夫の鋭さはさすがですね。それを逆手に取ってのび太をおびき寄せるわけですから、大快挙です。
ドラえもん9巻「トレーサーバッジ」P138:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
1970年代当時では最先端の技術だったかもしれませんが、今みると随分と時代遅れの感も否めません。
実は実現している道具
使いたかたを間違えると危険な道具ともなり得る『トレーサーバッジ』ですが、現実世界で実現しているひみつ道具の一つとなっています。
もうわかりますよね、GPSです。
衛星から対象物の電波を受信し、その位置を知るGPSは、古くは自動車に搭載されていたカーナビから発展し、爆発的に広まりました。
今ではスマホの地図や各種アプリでも使われているため、知らない人はいないといっても過言ではありません。
のび太のように、他人のプライバシーに抵触するような使い方はできませんが、迷子になった子どもや、認知症で徘徊するお年寄りを探す時に役立っています。