実物はさみ

実物はさみでカタログの写真を切り取ると、本物と同じ性能のものが出来上がります。おもちゃの写真を切れば本物のおもちゃが、高価な宝石の写真を切れば本物と同等の輝きを持つ宝石が手に入ります。カタログさえあれば欲しいものが何でも手に入るという夢のような道具です。

のび太のラジコンたち

ラジコンが欲しくてカタログを眺めるのび太。

ドラえもんもラジコンが欲しくなり、実物はさみでカタログのロボットやラジコンを切り抜き、小さいながらも目の前に本物が登場したのです。カタログから切り取るだけで欲しいものが手に入るとなれば、のび太でなくても興奮してしまいますね。

実物はさみ
器用にハサミを使うドラえもんの団子の手

ドラえもんカラー2巻「実物はさみ」P100:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

ラジコンはイスを弾き飛ばすなど強力なパワーがあり、なんとジャイアンとスネ夫を連れて空を飛んでしまうのでした。カタログの写真から切り出したとは思えないほどの性能で、元の商品のスペックを完全に再現しているようです。

カタログや写真が本物に

欲しいおもちゃのカタログを用意して実物はさみでキレイに切り取ると、紙が膨らみ、本物かそれ以上の性能を発揮するようになります。

実物はさみ
夢のような道具である

ドラえもんカラー2巻「実物はさみ」P100:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

細かいディテールに沿って切るのは難しいと思われるので慎重にやりましょう。切り口が雑だと、それに比例して出来上がったものの品質も落ちてしまうかもしれません。丁寧にゆっくりと切り抜くことが、高品質な実物を得るための秘訣です。

写真から実物を取り出すという発想は、描いたものが本物になる紙とも通じるところがあります。あちらは自分で描いたものを実体化しますが、実物はさみは既存の写真や印刷物から直接本物を取り出せる手軽さが魅力です。描く手間が不要なため、絵が苦手な人でも気軽に使えます。

小さければビッグライト

切り取ったままの大きさで本物になるので、実物より小さめになります。

ぜひビッグライトを使ってサイズアップし、本物と遜色ない仕上がりを楽しみたいですね。

ビッグライトなんて手に入らない!

そんな人はぜひ腕時計や宝石など実物大の写真が掲載されたカタログから切り抜いてみるといいですね。1/1スケールの写真を使えば、サイズの問題は解決できます。実物大の商品写真は通販カタログや店舗のPOPなどで見つけることができるかもしれません。

それらを売って稼いだお金で本物のラジコンを買う、まさに錬金術です(おそらくこの使い方は未来の世界では禁止されていると思われますが)。

ロボットペーパーもどうぞ

コミック11巻に登場したロボットペーパー。動物や車など切り取った形で本物と同じ性能のものが仕上がります。

想像力と手先の器用さがあればロボットペーパーを、そうでなければ実物はさみを使うのがよさそうです。

実物はさみとロボットペーパーの最大の違いは、ロボットペーパーは好きな形に切り抜ける自由度がある一方、実物はさみは既存の写真や印刷物がなければ使えません。それぞれ得意とする場面が異なる道具と言えます。ロボットペーパーはゼロから新しいものを作り出せる創造性がある一方、実物はさみは既存の商品をそのまま再現できる確実性があります。

本物になるペンとの比較

また、本物になるペンと比べると、ペンは描く能力が必要ですが、実物はさみはカタログさえあれば誰でも使えるという点で敷居が低いのが特徴です。描写力や想像力がなくても、切り取るだけでよいという手軽さは大きなアドバンテージです。

一方でペンは現実に存在しないものでも描いて実体化できるのに対し、実物はさみは必ず元となる写真や印刷物が必要です。創造性の面では本物になるペンが上ですが、既存の商品を手に入れるという目的では実物はさみの方が確実です。

カタログを眺める楽しさが倍増

カタログを眺めながら「これが欲しいな」という気持ちが、そのまま現実になる道具。実物はさみはドラえもんの道具の中でも、夢と現実の距離を一番縮めてくれる道具のひとつかもしれません。

欲しいものを眺めるだけで満足していた時代から、欲しいものを切り取れば手に入る時代へ。この道具があれば、カタログを手にした瞬間から購買体験が始まります。どのページを切るか選ぶ楽しさも加わり、ショッピングの概念そのものが変わるかもしれません。

ただし、これを誰もが使えるようになれば、当然市場経済や商品価値に大きな影響が出るでしょう。おそらく22世紀の未来でも、実物はさみの使用には何らかの制限が設けられているはずです。

切り抜き技術が問われる道具

実物はさみを使いこなすには、ハサミ使いの技術が意外に重要です。切り口が綺麗かどうかが出来上がったものの品質に直結するとすれば、丁寧に切れば切るほど質の高いものが手に入ります。

逆に雑に切ってしまうと、形がゆがんだり一部が欠けたりした実物が出来上がるかもしれません。例えばラジコンカーの写真を切り取る際に車輪部分が切り取れていなければ、車輪のないラジコンが出来上がってしまう可能性があります。

精密な切り取り作業という観点では、繊細な手先を持つしずかちゃんが実物はさみを使えば、非常に精巧な実物が得られるでしょう。ドラえもんも手先が器用なので、団子の手でありながら繊細な切り作業をこなしている場面はコミックの見どころの一つです。コミックカラー2巻でその活躍をぜひ確認してみてください。

欲しいものを手に入れる手段の変革

実物はさみは「欲しいものを手に入れる方法」を根本から変える道具です。現在の購買行動は、お金を稼いで商品を購入するというサイクルです。しかし実物はさみがあれば、カタログを見て切り取るだけで手に入ります。お金という媒介が不要になるわけです。

これはある意味で、お金の概念そのものを揺るがす道具とも言えます。お金が必要ない世界では、経済システム全体が変わります。22世紀の未来でも実物はさみが厳しく管理されているのは、この道具が社会の根幹を揺るがしかねないからかもしれません。

逆に言えば、実物はさみを正しく管理し、適切な場面でのみ使用できる仕組みが整っていれば、物資不足で困っている地域への支援など、社会的に有益な使い方もできるでしょう。カタログさえあれば必要な物資を現地で生産できるという道具として活用すれば、災害救援や発展途上地域の支援に役立てられるかもしれません。薬品のカタログから薬を切り出したり、食料品のカタログから食材を取り出したりすれば、物資が届かない緊急時の命綱になり得ます。実物はさみはのび太が遊びのために使う道具として登場しますが、その可能性は非常に広いです。カタログが存在しさえすれば、どこでも必要なものが手に入る力を持つ道具です。使い方次第で社会を大きく変えられるほどの力を秘めたこの道具を、コミックカラー2巻でドラえもんとのび太がどう活用したか、ぜひ確認してみてください。実物はさみは手に持てるハサミという身近な形をしていながら、その効果は世界を変えうるほどの潜在力を秘めています。そのギャップこそが、ひみつ道具の面白さと言えるでしょう。のび太とドラえもんがラジコンを取り出して楽しむという何気ない場面が、実は非常に画期的な道具の初お目見えだったことに気づかされます。日常的な遊びの中に革命的な道具が登場するのも、ドラえもんならではの魅力です。欲しいものを手に入れることへの子どもの純粋な気持ちと、それを叶えるひみつ道具の力、そして思わぬ結末という流れが実物はさみのエピソードに詰まっています。

おすすめの記事