あらかじめ決めた予定を確実に実行させてくれる道具、それがドラえもんのひみつ道具人間用タイムスイッチです。時間と作業内容を声で吹き込んでおくと、指定した時刻になると体が自動的に動き出し、やめようとすると手首がきつく縛られて痛みを感じるという強制型のToDoマシンです。意志の弱さを道具の力で補うという発想は、現代の自己管理ツールとも重なる部分があります。
規則正しく生活したかっただけなのに
約束したことを守れない効率の悪いのび太は、ドラえもんから人間用タイムスイッチを借りることに。事前に決めた予定時刻になったら体が勝手に動くので、規則正しく生活を送ろうと計画を立てます。
ところが午前と午後の入力を誤り、夜中の2時から宿題や遊びをするハメに!
こういう計画を毎日立てると本当はいいのだが ドラえもんプラス4巻「人間用タイムスイッチ」P156:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
昼夜逆転生活になってしまったのです。さらに夜中に動き回るのび太を見たママが心配して様子を見にくると、ハート柄のエプロンをつけたママの姿が。意外と乙女なママの姿に思わず笑ってしまいますが、のび太本人は笑っていられない状況です。
ハート柄のエプロン。意外と乙女なママ ドラえもんプラス4巻「人間用タイムスイッチ」P161:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
機械のせいとはいえ、のび太は自分で決めたことを都合が悪いと知りながらやり続けてしまい、結果的に悲惨な結末を迎えてしまいます。一度決めたこととはいえ、それが自分にとってマイナスと知りながらやり続けることは不幸を招くいい勉強といえるでしょう。午前と午後を間違えるという単純なミスから始まった悲劇は、設定前の確認がいかに重要かを教えてくれます。
高性能ToDoマシン
人間用タイムスイッチに時間と作業内容を声で吹き込み、腕時計のようにはめておくと、時間がきて体が自動的に動くようになります。途中で作業をやめようとすると手首がきつく縛られて痛みを感じるので、最後までやり抜くしかありません。強制的にToDoリストを消化するマシンです。
人間用タイムスイッチは時間管理の観点からは非常に優れた道具ですが、一度設定したことは変更が効かないという弱点があります。現代のスマートフォンのリマインダー機能は通知するだけで実行を強制しませんが、人間用タイムスイッチは文字通り体を動かしてしまうのですから、その強制力は現代の技術をはるかに超えています。
声で設定するというインターフェースは、現代のスマートスピーカーにも通じる発想で、半世紀以上前に描かれたとは思えない先見性があります。○時に勉強すると言葉で命令するだけでその行動が自動実行されるというシステムは、AIアシスタントが普及した現代においても体そのものを動かすというレベルでは実現されていない夢の技術です。
強制目覚ましにおすすめ
人間用タイムスイッチをあらゆる行動管理で使うのは難しいものの、朝起きてからの行動を自動化させるのはとてもおすすめです。
寝ながら起きて着替えも歯磨きもできますし、目が覚めたら朝の準備がすべて完了しているなんてことも出来ます。
自動行動します ドラえもんプラス4巻「人間用タイムスイッチ」P158:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
人間の意思に関係なく自動的に体が動く点がすばらしいですね。朝が苦手な人でも、前日に朝6時に起床・歯磨き・着替え・朝食と設定しておけば、眠ったまま体が動いてくれるのです。意識が戻った時には準備万端という理想の朝を実現できます。
時間管理に関するひみつ道具としてはスピードどけいや驚時機(マッドウォッチ)などもありますが、人間用タイムスイッチは時間を操るのではなく人間の行動そのものを制御するという点でユニークな立ち位置です。時間の流れを変えるのではなく、人を動かすことに特化した設計が際立っています。
同じ機能のタイマー
コミック15巻で登場したタイマーは同じ機能を持ったひみつ道具です。
最終的にはネコが運営する会社で使われることになりましたが、機能は全く同じです。人間用タイムスイッチは名称に人間用とあることから、ネコや他の動物にも同様のデバイスが存在することが示唆されています。ネコが会社を運営するためにタイマーを使うという設定は、コミックの中でも特に印象的な展開の一つです。
また時計のように時間を正確に刻む道具や、時間をゆっくりにする驚時機など、ドラえもんの世界では時間に関する道具が豊富です。これらはいずれも時間という概念に対して異なるアプローチを取っており、人間用タイムスイッチはその中でも予定通りに動くという日常的な課題に直球で答える実用的な道具といえます。
教訓:変化することの重要性
人間用タイムスイッチで学べる大切なこと、それは変化することの重要性と、設定の確認を怠らないことです。
機械のせいとはいえ、のび太は自分で決めたことを都合が悪いと知りながらやり続けてしまい、結果的に悲惨な結末を迎えてしまいます。一度決めたこととはいえ、それが自分にとってマイナスと知りながらやり続けることは不幸を招くいい勉強といえるでしょう。
変化することは時に怖いかもしれませんが、思い切って変えてみると物事すんなり行くことだってあるのです。人間用タイムスイッチを使う際は、午前と午後の設定を間違えないよう、事前確認を徹底することが最重要です。また、設定した内容が本当に自分にとって正しいかどうかも出発前に確認する習慣をつけることが、この道具を賢く活用する第一歩となります。
スケジュールどけいのように予定を管理する道具や人間用タイムスイッチのように強制実行する道具を組み合わせれば、理想的な生活習慣の実現も夢ではないかもしれません。意志の弱さを道具で補うというドラえもんの世界観を体現した一品です。
自分を律することの難しさ
人間用タイムスイッチが存在するということは、未来の世界でも人間は自分を律することの難しさに悩んでいるということでしょう。現代の私たちと変わらず、22世紀の人々もやると言ったことをやれない決めた時間に起きられないという人間的な弱さを持っているのかもしれません。
のび太が人間用タイムスイッチを借りたのも、自分の意志だけでは規則正しい生活を維持できないという本人の自覚があったからです。これは恥ずかしいことではなく、人間として正直な自己認識といえます。自分の弱さを認め、それを補う手段を探すという姿勢は、ある意味で賢明です。
ただし道具に依存するだけでは根本的な解決にならないことも確かです。人間用タイムスイッチがのび太に与えたのは、機械的な行動の強制であって、内面的な動機づけではありません。最終的には自分自身の意志で行動できるようになることが目標であり、人間用タイムスイッチはあくまでそのための補助輪といえるでしょう。






