プカリクリームは、体に塗ると水に沈まなくなるひみつ道具です。これさえあれば泳げない人でもへっちゃらです。水面にプカプカと浮かんで遊べるようになります。コミックプラス6巻「ペタリ甲板」のエピソードに登場し、泳げないのび太が海を楽しむために使われます。クリームという手軽な形状で、塗るだけで即効果が出るというシンプルな設計が特徴です。
海に浮かぶのび太
イルカにペタリ甲板を取り付けてヨット(潜水艦)として一緒に遊んでいたドラえもんとのび太。
イルカが会場に出たところで海水浴をしたかったのですが、泳げないのび太にプカリクリームを使い、海上浴(?)を楽しみます。
溺れる心配がない 出典:ドラえもんプラス6巻「ペタリ甲板」P61:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
水の上で心ゆくまで遊ぶことができたのでした。
のび太にとって泳げないことは水遊びをする上での最大の障壁です。海に行ってもしずかちゃんやスネ夫が楽しそうに泳いでいるのを見るだけ、という経験があるのび太にとって、プカリクリームは文字通り夢のような道具です。溺れる心配なく海の上をぷかぷかと漂うことができるなら、水が苦手な人にとって最高の海遊びになります。
この道具が登場したエピソードは、スネ夫へのライバル心からイルカに乗った海旅へ、そして迷子のイルカを助けるという展開まで続きます。プカリクリームはその旅の中の一場面で登場しますが、のび太が海を楽しむという体験を完成させるための重要なピースになっています。道具の出番は短いながらも、その役割は大きいといえます。
水面が遊び場に
プカリクリームを体に塗ると水に沈まなくなり、水面に立つことができます。
ドラえもんはコンガリ焼けてもコンピューターは大丈夫なのだろうか? 出典:ドラえもんプラス6巻「ペタリ甲板」P62:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
泳げない人も溺れる心配がなく、ユラユラ揺れる地面に立っているような感覚なんだとか。
ゴロンと横になるとハンモックに揺られている心地よさを感じます。
水面に立てるということは、水上を歩けるということでもあります。池や川の上をそのまま歩いて渡ったり、嵐の中で船から落ちても溺れずに済んだりと、使い道は海水浴以外にも広がります。むしろ緊急時の安全装置として持っておくという使い方も理にかなっています。
水に沈まないということは、体が水よりも軽い状態になっているとも言えます。浮力の原理から考えると、体全体が水面より上に押し上げられる状態が維持されているわけで、22世紀の技術がどんな仕組みでこれを実現しているのかは興味深いところです。おそらく体の表面張力を極限まで高めるか、水との摩擦を変化させているのかもしれません。
泳ぎの練習にはならない
プカリクリームは水に沈まなくなるだけで、泳ぎの練習目的では全く使えません。
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クリームの持続時間は不明ですが、お風呂に入っても体がお湯をはじきますし、生活する上で支障が出るのは間違いないでしょう。
プカリクリームを塗ったまま日常生活を過ごすことは難しそうです。お風呂に浸かれない、雨に濡れない、台所で水仕事ができないなど、水を使う場面が軒並み不便になってしまいます。クリームの効果が自然に消えるとすれば一定時間後に解除されるはずですが、それがいつなのかわからないのが不安要素です。
また、水泳の練習という観点では全く役に立ちません。水に沈まないということは水の抵抗を利用した泳ぎの動作ができないということで、クロールや平泳ぎの練習には不向きです。プカリクリームはあくまでも「水の上で楽しく遊ぶ」ための道具であり、泳ぎを上達させたいなら地道な練習が必要です。のび太が泳げない問題の根本的な解決策にはならないということも、この道具の限界を示しています。
傘のいらない世界
プカリクリームを体に塗っておけば、雨が降っても体が濡れることもありません。
服の上からクリームを塗る必要はあるものの、わずらわしい傘が無くなるのは画期的なことではないでしょうか。
水をはじく性質は防水効果にも使えるわけで、大雨の日でもびしょ濡れにならずに過ごせる実用性は高いです。スポーツ選手が雨天のスポーツをする時に塗れば、ウェアの重さが増すことなく動けるなど、現代のスポーツ科学と組み合わせたら面白い応用ができそうです。
また、溺れるという水難事故のリスクをゼロにできるという点で、安全面での貢献は計り知れません。海難事故や川での溺水事故は毎年多くの命を奪いますが、もしプカリクリームが現実に存在すれば、その多くを防ぐことができます。ひみつ道具としての遊びの側面だけでなく、命を守る道具としての価値も持っているのがプカリクリームです。
のび太が泳げないという弱点を補うためにドラえもんがこの道具を使ったことは、のび太への思いやりの表れでもあります。スネ夫がヨットを持っているから羨ましいというのび太の気持ちに寄り添い、泳げなくても海を楽しめる方法を提供する。ドラえもんの道具の使い方の根底には、常にのび太の気持ちへの共感があるのです。
効果の似たひみつ道具
水に浮かぶひみつ道具として、カラー3巻に登場する「あめんぼう」があります。
これを食べると体が水をはじき、水面に浮かぶことができます。
他にもバリヤーポイント「カサイラズ」も似たような効果が期待できます。
あめんぼうが食べ物として体の内側から効果を発揮するのに対し、プカリクリームは外側から塗るという違いがあります。食べる道具と塗る道具では使い方の感覚が大きく異なり、プカリクリームのほうが局所的に使えるという利点があります。腕だけ塗るとか、足だけ塗るといった部分的な応用も理論的には可能かもしれません。
プカリクリームは移動系の道具としての側面もありますが、ペタリ甲板のように生き物に乗って移動するわけではなく、自分自身が水の上を動けるようになるという点で、より個人の自由度が高い道具です。海の上を自分でどこへでも行けるという意味では、水上のタケコプターとも言えるかもしれません。
同じコミックプラス6巻のペタリゴンドラは空飛ぶイルカを使った道具で、プカリクリームが水上を楽しむ道具であるのとは対照的です。水と空という異なる舞台での冒険を支える道具が同じ巻に収録されており、コミックプラス6巻は自然の中での冒険をテーマにしたエピソードが充実していることが伺えます。
ペタリ甲板とプカリクリームは同じエピソードに登場しており、一緒に海を楽しむための道具セットとして機能しています。ペタリ甲板でイルカに乗り、プカリクリームで海の上を遊ぶという組み合わせは、海という舞台を最大限に活用した道具活用術です。海に関する道具が同じエピソードにまとめて登場する展開は、ドラえもんの話の構成の巧みさを示しています。
プカリクリームは外見も使い方もシンプルな道具ですが、その効果は泳げない人の海への恐怖をゼロにするほどの革命的なものです。地味な名前と見た目とは裏腹に、水に関するあらゆる場面で応用できるポテンシャルを秘めており、ひみつ道具の中でも生活に密着した実用性の高さが際立っています。




