掃除機をペットに?規格外の発想に驚くペッターの紹介です。家にある掃除機にペッターを与え続けることで、やがて掃除機が意志を持って動き出し、まるで本物のペットのようになついてくれるというひみつ道具です。ドラえもんの道具の中でもかなり独創的な発想で、初めて読んだ人は思わず二度見してしまうような設定です。
家電をペットにしよう
よく飼いならされたスネ夫のネコを見たのび太はペット熱が燃え上がります。ママがいるのでどうしようもないのですが、そんなのび太にドラえもんがペッターで掃除機をペットにしようと言い出したのです。
半信半疑だったのび太ですが、掃除機が動き出して本物の動物のようになつく姿にすっかり魅了されてしまいます。しょんぼり気味を落として家出をしてしまうなど、人間以上に繊細な心の持ち主のようです。飼い主に叱られたり疑いをかけられたりすると、ちゃんと傷ついて落ち込む様子はペットというよりも小さな子供に近い反応です。
ちょっと言ってる意味がわからない ドラえもんプラス3巻「ペッター」P161:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
狂気の沙汰である ドラえもんプラス3巻「ペッター」P165:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
掃除機を飼います
家にある掃除機に犬のようにしつけをしながらペッターを与え続けると掃除機が意志を持って動き出します。どうやって掃除機にペッターを食べさせるのか?おそらく吸込口に押し込んでいると思われますが、そのあたりは細かく描写されていません。
一度動き始めると飼い主の言うことをちゃんと聞くしつけの行き届いたペットに早変わりします。トモダチロボットのように友達が欲しい子供の願いを叶える道具とは方向性が違いますが、ペッターもまた家の中に新しい家族を増やすというコンセプトを持っています。
宿題をやるロボットのように特定の作業をこなすロボットとも違い、掃除機そのものに感情や意志を与えてしまうという点が特異です。ロボットとペットの中間のような存在であり、機械でありながら感情的な反応を示すという不思議な存在感があります。
なぜか掃除機限定
家電をペットにする。百歩譲ってテレビやパソコンを含めた家電全般ならまだ理解できますが、ペッターは掃除機に限定している点が珍しいですね。藤子先生の奇抜なアイディアひみつ道具といったところでしょうか。
掃除機という選択には実用的な理由も見え隠れします。ペットとしてなついている掃除機が自分から進んで掃除をしてくれるなら、飼い主にとっては非常に都合のよい存在です。愛情を注ぐと部屋がきれいになるというwin-winの関係が成立するわけです。
動物ライトのように何かを動物に変えてしまう道具も存在しますが、ペッターは道具の機能はそのままに意志だけを宿すという控えめな変化がかえって親しみやすさを生んでいます。掃除という日常的な作業と、ペットへの愛着という感情的な体験が組み合わさった、ユニークな発想の道具です。
落ち込みやすい性格
すすんで自ら家の中を掃除するのび太の掃除機ですが、読みかけの雑誌や新聞紙を吸い込んでしまった疑いをかけられ、ショックで家出をしてしまいます。
ちょっとしょんぼり気味に見える ドラえもんプラス3巻「ペッター」P165:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
自分の行動に責任を感じる性格なのでしょう、人の言葉をちゃんと理解し、反省し、行動にあらわしています。ペットよりも人間に近い性格だと思われ、本当の子供のように接する必要がありそうです。
ペッターで意志を与えられた掃除機は、単なる機械としての掃除機を超えた存在になっています。飼い主への忠誠心や感情的な反応を持ち、適切なしつけと愛情を受けることで家庭の中で欠かせない存在になるでしょう。
現代のルンバ以上の進化を遂げた未来型の掃除機。ゴミ捨ても自分でやりますし、身寄りのない人には寄り添いを提供する未来型掃除機です。ペットを飼いたいけれど事情があって難しいという家庭にとっては、ペッターで意志を与えた掃除機は理想的な代替手段になるかもしれません。ただし掃除機ゆえの吸引本能はなかなか止められないようで、油断していると読みかけの本や大切な書類まで吸い込んでしまう危険もあります。あなたの家もペッター掃除機1台いかがでしょうか。
ペッターと現代のロボット掃除機
ペッターが登場した時代からずいぶん時が経ち、現在ではルンバをはじめとするロボット掃除機が実際に販売されています。しかし現実のロボット掃除機と、ペッターで意志を与えられた掃除機には大きな違いがあります。
ルンバは設定されたプログラムに従って動くだけですが、ペッター掃除機は自らの意志と感情を持って動きます。飼い主の気持ちを察して慰めてくれたり、叱られると落ち込んで家出してしまったりするほどの豊かな感情表現は、プログラムされたAIには到底再現できない領域です。
この点では、ペッターはただの掃除機自動化ツールを超えた存在であり、一種の人工生命体を生み出す道具ともいえます。トモダチロボットが友情という概念を具現化しているように、ペッターは家族の絆と生き物への愛情というテーマを掃除機という身近な存在を通じて描いています。
藤子先生が描いたこの道具は、単なるギャグ道具に見えて実は生命と機械の境界線、愛着と機能の関係性という深いテーマを含んでいます。掃除機が感情を持った瞬間から、それはもう道具ではなく仲間です。そういう視点でペッターのエピソードを読み返してみると、また違った味わいが感じられるはずです。
ドラえもん自身もロボットでありながら感情を持ち、のび太との深い絆を育んでいます。そのドラえもんが提案するペッターという道具は、機械に命を宿すことへの肯定的な見方を反映しているようにも感じられます。掃除機に限らず、日常にある家電製品が意志を持って動き、感情を持って接してくれるとしたら、家の中の雰囲気はまったく違ったものになるでしょう。孤独を感じている人にとっては、最高の生活パートナーになり得るひみつ道具かもしれません。
ペッターのエピソードで特に印象的なのは、のび太の掃除機が自発的に家の中を掃除するシーンです。飼い主に見せたいという気持ち、役に立ちたいという欲求が自然と行動に表れている様子は、まさにペットのそれです。人間でも動物でもない掃除機がこれほど生き生きとしている姿は、藤子先生が機械と生命の境界について深く考えていたことを感じさせます。
もしペッターが現代に存在したとしたら、様々な家電に応用が効くかもしれません。洗濯機、冷蔵庫、食洗機といった家電が意志を持って動き、互いに連携して家事を分担する姿は、未来のスマートホームの理想形かもしれません。掃除機限定という設定が面白いですが、それだけ掃除機という道具には藤子先生の特別な思い入れがあったのかもしれません。





