はさみを入れると世界中どの場所からでも天の川鉄道に乗車することができる『天の川鉄道乗車券』。
昔は行列しても買えないぐらい人気商品だったようです。
アレが発明されるまでは・・・。
変わりゆく鉄道事情
ドラえもんがうっかり落としていった『天の川鉄道乗車券』。
聞くところによると、この切符にはさみを入れるとSL型の宇宙船が迎えに来てくれ、ハテノ星雲まで連れて行ってくれるというのです。
スネ夫のSL自慢話に対抗するため、のび太はその夜、裏山で『天の川鉄道乗車券』を使います。
ドラえもん20巻「天の川鉄道の夜」P77:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
迎えに来た立派なSLは他に乗客が乗っておらず、なんとなく不思議な雰囲気。
宇宙空間を進むSLは最終的にハテノ星雲の端っこの星に到着しますが、この日をもってSLは廃止されるため、二度と列車が動くことはないんだとか。
地球に帰ることができず、途方に暮れていたところにドラえもんがどこでもドアで迎えに来てくれたのです。
そう、天の川鉄道は便利などこでもドアの発明によって廃止されることが決まっていたのですね。
わざわざ廃止しなくても・・・
天の川鉄道がスタートしたころは行列しても切符が手に入らないほど大人気のものだったようです。
たしかにどこでもドアのほうが便利で時間もかからずお手軽なのはわかりますが、だからといって路線を完全廃止することはないんじゃないかなと思います。
ドラえもん20巻「天の川鉄道の夜」P85:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
現代でもあえて列車を選んで旅そのものを楽しむ観光列車は多く存在して支持されていることを考えると、宇宙旅行を楽しむプランとしての存続もアリだと思うのです。
実際のところは採算性が低下することでサービスを維持できなくなったというのが実情なのでしょう。
のび太の銀河超特急へ
今回のストーリーは、大長編『のび太の銀河超特急』の基になった話だと推測されます。
宇宙を旅するロマンあふれる話は、ドラえもん読者の心をつかんで離さないことでしょう。
大長編『宇宙開拓史』との矛盾?
終着駅のハテノ星雲の端っこの駅は、宇宙の最も端に位置する星として紹介されています。
ドラえもん20巻「天の川鉄道の夜」P83:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
その一方で、大長編『のび太の宇宙開拓史』に登場するコーヤコーヤ星。
この星はどこでもドアを使っても行くことができない遠い宇宙の先にあることがわかっています。
どこでもドアの移動可能距離は10光年以内に制限されており、どこでもドアを使ってドラえもんがのび太たちを迎えにハテノ星雲に移動してきたということは、地球から10光年以内にハテノ星雲が存在していることを意味します。
しかし実はそのはるか遠い宇宙にコーヤコーヤ星が存在している矛盾。
いや、これは矛盾と考えるべきではありません。
ドラえもんの世界の技術を駆使しても宇宙の謎の解明はまだ途中だったと考えられます。
時間がたてばいつかコーヤコーヤ星の存在を解明できるかもしれず、ハテノ星雲の情報も修正される日が来るでしょう。
天の川鉄道とコーヤコーヤ星の関係は、どれだけ発達した技術を駆使しても解明できないほど巨大なロマンを子どもたちに伝えたい藤子先生の想いを表していると考えられますね(無理やり感)。