はなバルーン

はなバルーンは、鼻につっこんで息を出すと浮力のある風船を作ることができるひみつ道具です。たくさん集めると人が浮かぶほどの浮力を持ち、空飛ぶ風船のような乗り物を作ることができます。コミックプラス6巻「はなバルーン」に登場し、フーセンガムがうまく作れなかったのび太がドラえもんからこの道具を借りる場面から始まります。鼻から風船を作るというシュールな発想が印象的な道具です。

のび太の鼻風船、飛んでゆけ

フーセンガムがうまく作れずに恥をかいてしまったのび太。ドラえもんからはなバルーンを借り、鼻から風船を作って空を飛べるようになりました。

はなバルーン
鼻風船である

出典:ドラえもんプラス6巻「はなバルーン」P76:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

たくさん風船を作ってしずかちゃんと一緒に遊んでいたところ、スネ夫が大きすぎる風船を作ってしまい、コントロールが効かず、飛んでいってしまったのでした。

スネ夫が大きすぎる風船を作ってしまうのは、自慢したいという気持ちから必要以上に力を入れた結果でしょうか。コントロールを失ったまま飛んでいくスネ夫の姿は、目立ちたがりがかえって窮地に陥るという、スネ夫らしいオチです。のび太とスネ夫が同じ道具で対照的な使い方をして対照的な結末を迎えるという展開は、ドラえもんのひみつ道具エピソードの典型的なパターンの一つです。

しずかちゃんと一緒に鼻風船で遊ぶという、のんびりとした休日の光景から始まったこのエピソードが、スネ夫の飛行という緊急事態に発展するのは予想外の展開ですが、のび太の創造力とスネ夫の自慢癖という二人のキャラクター的特徴が見事に組み合わさった結果です。はなバルーンという一見シンプルな道具が、こういった多彩な展開を生み出す触媒になっているのがドラえもんの面白さです。

鼻から風船

はなバルーンを鼻から注入し、鼻から息を出すと風船が作られます。

ヘリウムガス入りの風船のように浮力を持ち、たくさん集めると人が浮かぶほどの浮力を持っています。

鼻から風船という見た目のシュールさが特徴的な道具ですが、仕組みとしては単純です。注入したはなバルーンが、鼻から出る息と反応して浮力のある風船素材を生み出すというものです。通常のフーセンガムが口から作るのに対し、はなバルーンは鼻から作るという違いがあります。鼻から風船を出すという行為は普通では考えられませんが、ひみつ道具の世界ではこういった発想の逆転がしばしば見られます。

作った風船の大きさは息を吹き込む量で調整できるようです。小さくたくさん作れば細かい浮力調整が可能で、大きく作ればより素早く大きな浮力を得られます。スネ夫が大きすぎる風船を作ってしまったのも、この調整を誤った結果といえます。適切なサイズの風船を適切な数だけ作ることが、はなバルーンを安全に使いこなすための鍵です。

色の違い

はなバルーンを使う時、赤・青・黄・緑の4色を選ぶことができますが、色の違いが見た目の違いだけなのか、それとも浮力や耐久力の違いなのか、詳細はストーリーでは触れられていません。

もともとこの話は小学二年生の雑誌に掲載されたもので、低学年の子供向けの展開のため、おそらく色を変えて楽しませる設定だったのでは?と思われます。

子供が好む鮮やかな4色を揃えているのは、見た目の楽しさを重視した設計だと考えられます。もし色によって浮力が違うとすれば赤が最も強力で、青・黄・緑と続くという想像もできます。また耐久力に違いがあれば、長時間飛び続けたい時は特定の色を選ぶという使い分けも生まれそうです。コミックの見た目上は色が違うだけで同じ風船ですが、低学年向けの楽しい設定として4色展開にした意図は十分に伝わってきます。のび太がカラフルな風船をたくさん作ってしずかちゃんと遊ぶ光景は、とても微笑ましいものがあります。

のび太の飛行機の危険性

大量のダンボール箱に風船を詰め、ダンボール同士をつなげてオリジナルの飛行機を作ったのび太。

はなバルーン
これをのび太一人で作ったのだから大したものである

出典:ドラえもんプラス6巻「はなバルーン」P79:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

こういうことにかけては、のび太は誰にも負けない才能を発揮しますね。

さて、この飛行機ですが、上に浮かぶ力はあっても推進力を生み出したり舵が備わって無く、風まかせの気球のようなものなんです。

気球は火を調整して上昇・下降ができるのでまだマシですが、のび太の飛行機は一切操作ができず、このまま風に流されてどこまでいくかわかりません。

ドラえもんがいるからなんとかなるかな?ぐらいに思っているのでしょうが、リアルにこれをやってしまうと本当に危険です。推進力のない乗り物で上空を漂流するというのは、現実の気球事故や飛行物体の漂流問題とも重なります。のび太の無邪気な創造力が危険と隣り合わせになるというのも、ドラえもんというシリーズが持つテーマのひとつです。

優しく膨らませましょう

はなバルーンを使う時は、優しく鼻から息を出すようにしましょう。

普段よりも鼻汁(というか風船の素?)が大量に出るようになり、勢いがありすぎると単に汚くなってしまうだけです。

はなバルーン
たしかに汚い……

出典:ドラえもんプラス6巻「はなバルーン」P80:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

連続して使う時も鼻がヒリヒリしてくる可能性もありますので、しっかり注意しましょうね。風船を作る素材が鼻の粘膜に負担をかける可能性を考えると、短時間の使用に留めるか、使用後にしっかりケアするのが望ましいでしょう。22世紀の道具とはいえ、使う人間の体への影響には注意が必要です。

はなバルーンの風船はいつまでも浮かんでいるのか、時間が経つと萎んで落ちてくるのかも気になるところです。もし時間が経過すると自然に萎んで落ちてくるとすれば、安全性という観点では好都合ですが、長時間の飛行には向かないということにもなります。のび太の自作飛行機も、風船が萎む前に着地できれば問題ないのですが、操縦ができないため着地も風任せになってしまいます。

空を飛ぶためのひみつ道具としては、タケコプターフワフワオビ空飛ぶワッペンなど多くの道具が存在します。これらが体に装着して個人が移動する道具であるのに対し、はなバルーンは風船を複数作って乗り物を自作するという点で、より創造的な使い方が求められる道具です。タケコプターのような既製品の乗り物ではなく、自分で組み合わせて乗り物を作るというプロセスが楽しい道具ともいえます。

また、タケコプターやフワフワオビと違い、はなバルーンは風船そのものを増やすことができるため、複数人での使用や大型の乗り物の作成に対応できます。のび太が自作した飛行機がまさにその例で、一人では持ち上げられない重量も、大量の風船があれば浮かせることが可能です。この応用力の高さは、はなバルーンが他の飛行系道具とは異なる可能性を秘めていることを示しています。

同じコミックプラス6巻のペタリゴンドラも空飛ぶ乗り物ですが、イルカという生き物を使うのに対し、はなバルーンは自分の鼻息から作った風船という、全く異なるアプローチで空を飛びます。どちらも空への挑戦という共通テーマを持ちながら、その手段の違いがそれぞれの道具の個性を際立たせています。コミックプラス6巻は海と空の両方での冒険を描いた道具が充実した一冊といえます。

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