強力ウルトラスーパーデラックス錠をきかなくするくすり

強力ウルトラスーパーデラックス錠をきかなくするくすりは、その名の通り強力ウルトラスーパーデラックス錠の効き目を打ち消すための薬です。セットで持っておくべき道具ですが、品物がどんな形をしているかは作中では明らかにされていません。強力な道具には必ず止める手段があるという、ドラえもんのひみつ道具の世界の一側面を体現する存在です。

恐怖の男の子を解放しよう

のび太がドラえもんに黙ってこっそり購入した強力ウルトラスーパーデラックス錠を、誤ってしずかちゃんのいとこの男の子が飲んでしまいました。強大なパワーを手に入れた男の子は部屋の中を引っ掻き回すわ、トラックをもちあげるわ、やりたい放題に暴れ続けます。スーパーマン並みの力を持った幼児など、普通の手段ではどうすることもできません。

のび太としずかちゃんはなんとかなだめようとしますが、怪力の幼児にはどうにもなりません。事態を重く見たドラえもんは、効果を打ち消す強力ウルトラスーパーデラックス錠をきかなくするくすりを求めて未来の世界へと急いで向かいます。道具が引き起こした問題を、また別の道具で解決しようとするというのは、ドラえもんにおけるよくある構図です。のび太の管理不足が引き金になり、ドラえもんが後始末をするという役割分担も、このシリーズの定番といえます。

ドラえもんが未来へ取りに行かなければならなかったということは、この解除薬はあらかじめ四次元ポケットに入っていなかったということでしょう。もともとセットで持ち歩く設計にはなっていなかったのか、あるいは使い切ってしまっていたのかは不明ですが、緊急事態に備えてセットで持っておくべきだったと痛感させられる場面です。

また、ドラえもんが未来へ取りに行けるというのも、この設定の重要な点です。四次元ポケットに入っていなくても、未来へ行けば手に入るという選択肢があるのは、タイムマシンを持つドラえもんならではの強みです。現代の私たちにはその選択肢がないわけで、だからこそ最初からセットで持っておくことがいかに大事かがわかります。

強力ウルトラスーパーデラックス錠をきかなくするくすり
急げ、ドラえもん!

出典:ドラえもんプラス5巻「強力ウルトラスーパーデラックス錠」P173:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

ニコイチで持っておきたい

強力ウルトラスーパーデラックス錠をきかなくするくすりはその名の通り、強力ウルトラスーパーデラックス錠の効果を消すための薬です。登場したのは名前だけで、品物はどんな形をしているか不明です。錠剤なのか液体なのか、それとも注射のような形なのか、作中では一切描かれていません。

今回の男の子の誤飲のように、いつ誰が飲んでしまうかはわかりません。強力ウルトラスーパーデラックス錠を持つなら、常にこの解除薬もセットにして持っておくべきです。危険な道具を持つ時には必ず解除手段を準備しておくというのは、ひみつ道具を扱ううえでの基本中の基本といえます。のび太がそれを怠ったことが、今回の騒動を招きました。

名前からしてすでに長いこの道具ですが、ドラえもんのひみつ道具の命名センスの一端を示してもいます。強力ウルトラスーパーデラックス錠をきかなくするくすりというそのままの名前は、効果を正直に示しているという点では合理的です。ただ、緊急事態にあの強力ウルトラスーパーデラックス錠をきかなくするくすりはどこだ!と叫びながら探すのは、なかなか大変そうです。

効果切れを待てない人向け

ドラえもんの持つひみつ道具には基本的に効果に期限があるものが多いです。

例:
スモールライトで小さくなっても時間経過で元に戻る

強力ウルトラスーパーデラックス錠もある程度時間が経つと効き目が無くなると思われますが、今回は相手が小さな男の子です。何をするかまったく予測できない状況で、時間が経つまでじっと待っていることはできません。その間にどれほどの被害が出るかわかりませんから、ドラえもんが急いで解除薬を取りに行くのは当然の判断です。

強力ウルトラスーパーデラックス錠をきかなくするくすり
放っておくと町が大変なことに。

出典:ドラえもんプラス5巻「強力ウルトラスーパーデラックス錠」P172:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

放置しておくと被害が際限なく拡大していく恐れがある状況で、ドラえもんはすぐさま行動を起こしました。効果が切れるのを待つという選択肢がない以上、解除薬を取りに行くしかなかったのです。強力な道具の暴走を止めるためには、こうした解除手段の存在が不可欠であることを、このエピソードは強く示しています。

一方で、ドラえもんが取りに行っている間ののび太としずかちゃんの苦労も相当なものです。スーパーマン並みの怪力を持つ幼児を、二人でなんとかしなければならないのですから。子守りが大変なのはいつの時代も同じですが、怪力付きとなると次元が違います。このエピソードのコメディ的な緊張感は、ドラえもんが不在の間の二人の奮闘にも大きく依存しています。

この薬が必要になった根本的な原因は、のび太が道具の管理を怠ったことにあります。正規品をわざわざ購入するほど欲しかった錠剤にもかかわらず、保管場所を誤り幼い子供の手の届くところに放置してしまいました。ひみつ道具はいかに便利でも、管理する側の人間がしっかりしていなければ意味がないどころか、危険な存在になり得るのです。

ドラえもんの道具の世界では、強力な道具の副作用や暴走を止める手段がセットで用意されていることがあります。自動しかえしレーダーのように制御が難しい道具も存在する中で、この解除薬のようなカウンター道具は非常に重要な役割を果たします。チャンピオングローブペンシルミサイルにも、使いすぎた時の止め方があれば、のび太がそれらを使った時の騒動も違う展開になっていたかもしれません。解除手段を持つことで、道具を安心して使える環境が整うのです。この解除薬はそういう意味で、強力な道具の安全装置として機能しています。

道具を正しく使うためには、使い方だけでなく止め方を知っていることが同じくらい大切です。この薬はそのことを端的に教えてくれる、地味ながら重要なひみつ道具です。日ごろから準備を怠らないことの大切さを、身をもって示してくれているのがこのエピソードといえるでしょう。

ドラえもんシリーズでは、こうした強力な道具とそのカウンターという組み合わせが他にも登場します。強い力を与える道具があれば、その力を消す道具も存在するという世界観は、力のバランスを保とうとする22世紀の設計思想を感じさせます。どんなに強大なものにも解除手段があるという発想は、現実世界に置き換えてみると非常に示唆的です。薬には必ず解毒剤があるように、道具には解除手段があるという考え方は、非常に合理的な安全設計です。

今回のエピソードを通じて感じるのは、ひみつ道具は便利で強力だからこそ、扱う側の責任も大きいということです。のび太はその責任を怠り、ドラえもんがそのフォローをするという構造が繰り返されますが、それでもドラえもんが見捨てずに助け続けるところに、この作品の温かさがあります。強力ウルトラスーパーデラックス錠をきかなくするくすりは、そんなドラえもんとのび太の関係性を象徴する一場面に登場した道具として記憶に残ります。

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