瓶入りの錠剤ひみつ道具。
クイックを服用すると、感覚が研ぎ澄まされ、行動や意思決定が素早く行えます。
一方スローを服用すると逆に感覚が鈍くなり、行動や意思決定に普段以上に時間を要することになります。
のび太に飲ませたかったはずなのに
普段からのんびりした性格ののび太、いつもどおり宿題が進みません。
今日もどら焼きをドラえもんに進呈して、宿題をやってもらおうとお願いすることに。
毎日のこのような行動に業を煮やしたドラえもんが出したひみつ道具が「クイック」と「スロー」です。
ドラえもん5巻「のろのろ、じたばた」P7:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
「クイック」は行動と意思決定をより素早く、「スロー」は逆により遅くなってしまいます。
ドラえもんとしてはのび太に「クイック」を服用させることにより、宿題や日常生活全般をきびきびと過ごしてもらいたいという意図でしたが、服用すること自体の判断もしないのび太。
「そんなに良いものならまずはドラえもんが飲んでみて」との要請に、物語は「クイック」を服用したドラえもんのドタバタ劇を中心に展開されます。
大きなトラブルに発展するクイックとスロー
のび太に促されてクイックを服用したドラえもん。
すると、ドラえもんの行動が薬の効能をはるかに超えた問題行動として現れます。
例えば、
- 宿題のわからないところを尋ね終わる前に質問を終える
- おやつのイモを見ただけでオナラを出す
など、素早い行動というよりもむしろ、尋常ではないせっかちという表現の方がふさわしいかも知れません。
ドラえもん5巻「のろのろ、じたばた」P10:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
クイックを服用したドラえもんの精神バランスを安定させようと、のび太は「スロー」を服用させようとします。
ところが、瓶の形状が同じなため、のび太はうっかりドラえもんにクイックを追加で服用させてしまったのです!
さらにヒートアップし始めたドラえもんをなんとか落ち着かせようと、自分でクイックを服用したのび太でしたが、誤って逆にスローを服用してしまったため、ドラえもんとのび太のトラブルはさらに深刻化してしまうのです。
ドタバタ騒動に発展
クイックを過剰摂取したドラえもん。誤ってスローを摂取したのび太。
行動スピードの違いから、問題解決の糸口すら見つける事ができず、結果、薬の効能が切れるまで待つことに。
その間、のび太のパパもママもクイックを服用してしまい、家の中が大変な騒動に発展してしまいます。
ドラえもん5巻「のろのろ、じたばた」P19:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
この場合の教訓として、あえていうのであれば、「問題解決は自己の判断で行うべき」といったところでしょうか。
薬関連のひみつ道具
未来のひみつ道具として、今回のように薬が描かれる事がたくさんあります。
人類の誕生とともに常に私たちの身の回りには、アルコールや薬草、タバコやおちゃ葉に至るまで、人間の脳や精神になんらかの高揚感や抑うつ感などを及ぼす物質とともに時代を歩んできたと言っても過言ではないと思います。
藤子先生もその点を見抜き、ドラえもんの世界に数多くの薬に関するひみつ道具を登場させているのかもしれませんね。
上手に使いこなしたい
クイックとスローは、効き目が大変わかりやすく、薬としては劇薬のように描かれていますが、薬の効能が切れると、そこで全てがクリアとなり、常習性もなく、健康面での問題には発展しません。
あらゆる危険薬物をついに人間が完全にコントロールできるようになり、子供でも服用可能で、安心安全なものとして、漫画の中で描かれているのかもしれません。
ただし、さらに深読みすると、そんな完全コントロールが出来ようになった薬物ではあっても、結局は使用する人間次第である…という示唆なのかもしれませんね。