ちぎるとフワフワ浮かぶ不思議な紙、それがトビレットペーパーです。巻き付ける長さを自分で調節することで、登山補助から空中浮遊まで幅広く活用できるひみつ道具です。トイレットペーパーそっくりのロール状をしていますが、その実態はドラえもんらしい発想に溢れた浮力道具です。
登山の味方
体力に自信がないのび太がハイキングに行くことになり、出発前から意気消沈していました。山道を登るだけでへとへとになるのが目に見えているのび太に、ドラえもんが取り出したのがトビレットペーパーです。
これをリュックに詰めたり体に巻いたりすることで浮力が生まれ、まるで体が軽くなったような感覚で山道を楽々と登ることができます。重力に逆らうようにふわりと体が持ち上がる感覚は、タケコプターで空を飛ぶのとはまた違った面白さがあります。タケコプターは頭に取り付けてプロペラで飛ぶのに対し、トビレットペーパーは全身を優しく包むようにして浮力を生み出す点が特徴的です。
しずかちゃんとともに先に山頂に到着し、トビレットペーパーのおかげで楽しい登山になったのでした。ジャイアンとスネ夫に負けないようガンガン登るのび太の姿は、普段のダラダラぶりからは想像できないほど頼もしいものでした。
ふわふわ不思議な紙 ドラえもんプラス3巻「トビレットペーパー」P102:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
空飛ぶトイレットペーパー
トビレットペーパーはちぎると浮かぶ性質があり、体に巻いたりカバンに入れることで力を発揮します。フワフワオビが帯状の浮力道具であるのと同じ発想ですが、トビレットペーパーはロール状なので必要な分だけちぎって使える手軽さが特徴です。帯状の道具は既製品の長さに縛られますが、トビレットペーパーなら自分でちぎる長さを決められるのが大きなメリットです。
長すぎると浮力が大きくなりすぎてしまうため、用途に合わせて長さ調整が必要です。ドラえもんによると、のび太の体重から考えると2メートルが登山に適した長さなんだとか。この数値から逆算すると、1メートルあたりの浮力がある程度計算できそうです。
また、空とぶじゅうたんや快速シューズと違い、操作する必要がなく自然に体を持ち上げてくれる受動的な道具なのが面白いところです。目的地を口に出しながら使う必要もなく、ただ巻き付けるだけでよいというシンプルさが魅力です。登山や坂道など、自分の足で進む動きを補助する場面に特に力を発揮しそうです。
頼りになるドラえもん ドラえもんプラス3巻「トビレットペーパー」P103:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
適切な長さをかんがえる
トビレットペーパーは長くなるほど浮力が増大します。タケコプターのようにどこまでも自由に飛べるわけではありませんが、ちょうどよい長さにすることで体が軽くなる絶妙な感覚を楽しめます。
のび太の体重を考えるとほとんど体重を感じないぐらい軽くなっていることが想像できます。仮にのび太の体重を35kg(小学4年生・10歳男児の平均体重)とすると、トビレットペーパー1cmあたり175gを支える計算となり、これを基準にして自分の体重をみながら適切な長さにしていけばいいわけですね。
登山中、ドラ、のび、しずの3人は山頂に向かって天女の羽衣のようにトビレットペーパーを使って空中浮遊するシーンが描かれています。3人分の体重をそれぞれ異なる長さのトビレットペーパーで支えながら進む様子は、なんとも不思議で幻想的な光景です。
この特性を応用すれば、旅行用の荷物を持ち運ぶ際に荷物にトビレットペーパーを巻き付けておけば、重い荷物でもまるで軽くなったように持ち運べるかもしれません。あるいはガリバートンネルで自分を小さくした状態にトビレットペーパーを組み合わせれば、さらに少ない量で高い浮力が得られる可能性もあります。
巻きすぎ注意
トビレットペーパーは長くなりすぎると体が浮かび上がってコントロール不能になってしまいます。登山中、適切な長さで使っていたはずのトビレットペーパーが何らかの理由で緩んでしまったり、さらに長い量を追加してしまったりすると一気に浮力が増大する危険があります。
下手するとこのまま空高く浮かびすぎる危険があり、コントロールが利かなくなった状態では自力での降下も難しくなってしまいます。
飛びすぎ注意である ドラえもんプラス3巻「トビレットペーパー」P105:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
その場合はトビレットペーパーをさらにちぎって浮力を少なくすればゆっくり下降するのでしょうが、空中でちぎる作業は間違いなく恐怖を感じる瞬間でしょうね。地上で事前に適切な長さに調整してから使うのがもっとも安全な使い方です。
空を飛ぶ道具としては空とぶふろしきのような布系の道具もありますが、トビレットペーパーは消耗品ゆえの手軽さと使い捨て感覚が独特の魅力です。何度でも使える道具が多いなか、ちぎって使い切るというアナログな消耗品感は、ドラえもんの道具の中でもかなり珍しい特徴です。
ちぎる長さを体重や用途に合わせて慎重に調節することが、トビレットペーパーを安全に楽しむ最大のコツです。日常使いには少量をリュックに仕込むだけで坂道や階段がぐっと楽になるはずです。重い荷物を抱えて階段を上るのが大変な時、荷物にトビレットペーパーを巻き付けておくだけで体への負担を大幅に減らせるなら、実用性は非常に高いと言えます。フワフワオビのように常時装着する道具と組み合わせれば、さらに快適な移動が実現できそうです。
トビレットペーパーというネーミングのセンスも秀逸です。飛ぶ(トビ)とトイレットを掛け合わせた言葉遊びは、藤子先生らしい遊び心が感じられます。身近な日用品がひみつ道具のモチーフになっているパターンはドラえもんに多く見られますが、トビレットペーパーはその中でも特にユーモアが際立っている道具のひとつです。
トビレットペーパーの応用法
単純に体に巻き付ける以外にも、トビレットペーパーにはさまざまな応用が考えられます。荷物に巻き付ければ重い荷物が軽くなり、運搬が格段に楽になります。特に引越しや買い出しで大量の荷物を運ぶ場面では非常に頼りになるでしょう。
また、ロール状の紙という形状を生かして、必要な分だけを切り取って使えるというのも大きなメリットです。用途に合わせて自由に長さを調節できるため、体重の違う人でも同じロールを使い回すことができます。一本のロールを家族で共有しながら、それぞれの体重に合った長さに切り分けて使う、という使い方も可能です。
浮力の調節が命取りになる場面では、あらかじめ地上で適切な長さに切っておき、使用中は足したり減らしたりしないというルールを設けると安全です。タケコプターのように電池切れの心配がないのも、消耗品という性質ゆえの安心感です。
登山やハイキング以外にも、急な坂道の多い街での移動補助、重い荷物を持ちながらの長距離移動など、日常のさまざまな場面で活躍してくれるはずです。空とぶじゅうたんのような本格的な空中移動は難しいですが、重力を少し和らげるという点では非常に実用的な道具といえます。ちょっとした坂道で息切れしやすい方や、荷物を持って移動するのが大変な方にとっては、毎日使いたくなるような道具ではないでしょうか。
トビレットペーパーの最大の魅力は、使い方がシンプルでわかりやすいという点です。ちぎって体や荷物に巻き付けるだけという操作性は、老若男女誰でも直感的に使えます。説明書いらずで即座に効果が出る道具というのは、ドラえもんのひみつ道具の中でも使いやすさの点で上位に入るでしょう。残念ながら消耗品なのでいずれはなくなってしまいますが、ロールなので持ち歩きにも便利です。登山バッグの隙間に一本忍ばせておくだけで、いざという時の保険になる優秀なひみつ道具といえます。





